九葉谷 稀沙 Kubatani Maresa

毒親育ち、アダルトチルドレン、パニック障害(70%治癒)、きょうだい児、ベビーシッター…

九葉谷 稀沙 Kubatani Maresa

毒親育ち、アダルトチルドレン、パニック障害(70%治癒)、きょうだい児、ベビーシッターによる虐待など、壮絶な私の人生。なんとか生き延びてアラ還に。同じ思いをしてる人に少しでも元気になってほしくて、書くよ。心をこめて。だけど、時々強烈なできごとも書いちゃうかも。その時は、ごめんね。

最近の記事

教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その23

 城石先生が繋がなければ、実現しなかっただろう。けれども、もう70歳をすぎてご自分の健康状態も危ぶまれるのに、きっとあちこち出かけて書類の提出なども代行してあげたのだと思う。  こんな先生もいる。  自分のことはさておき、頼まれたら全力で動いで見返りなど一つも求めない。本当に城石先生に出会わなければ、私は一生教師のほとんどは信用できないと決めつけていただろう。  母の場合は。  姪(私にとっては従妹)の学力が足りなくて高校受験がうまく行かず、伯母から進路について相談を受けたこ

    • 教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その22

       私とはもうかなり親しくなっていたので、わざわざよそ行きの答えを披露する必要もないから、本音だったのだろう。  まったく、それが当然というようなニュアンスだったけれど、全然当たり前ではないと思う。  現に同じ小学校の他の先生は、女子のバレエ発表会に誘われ招待券を受け取りつつ、 「もしかしたら無駄になっちゃうかもしれないけど、それでも良い?」  とあらかじめ言っていたのを見たことがある。  誘われて都合がついたら出かけていく、そういうことが自然にできる城石先生を、私は心の底か

      • 教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その21

         けれども。  そんな教師ばかりではないことが判明した時、私はどんなに嬉しかったことだろう。大袈裟だけれど、もう一度人間を信じてみても良いな、という気にさせてくれたのだった。  自分自身の恩師ではないことが残念ではあるけれど、その人は息子たちが通っていた小学校の校長先生だ。城石(仮名)先生は「妹みたいなものだから」でも詳しく書いたことがあるけれど、何の邪気もなく本当に尊敬できる男性の先生だ。  もちろん。  母と同じように、家では子どもたちや父母の悪口を言っている可能性もゼロ

        • 教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その20

           この先生の器の小ささを思い知ったけれど、このように偶然会ってしまっても、どうしても過去にされたことが甦ってしまうのだから、あえて嫌いな先生が明らかに出席している同窓会になど参加しないだろう。  だから母は、恵まれていたのだ。 「あの時は・・・」  などと過去のことについて言及されたこともないし、脅迫状を受け取ったことなどすっかり忘れ、ほぼ全員が母の崇拝者だという美談にすり替わっている。  捏造。  改ざん。  お見事だ。  ところで、とっくに中学校を卒業した今なら70、

        教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その23

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その19

           もちろん、嫌われてもいただろう、杓子定規で融通も利かず、正しい正しくないで判断するから、感受性豊かな生徒ほど、好き嫌いが分かれると思う。  カウンセラーの川波先生のけだし名言。 「そういう人は、同窓会には来ないから」  たしかに嫌な思いを抱いている人は出席しないだろう。そうするといきおい、母を好きな教え子ばかりが集まってきて、母はますます、 「自分は好かれている」  という思いを強くするのだ。  他のエッセイにも書いたけれど、中学時代の部活の同期会が20歳を過ぎた頃に催され

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その19

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その18

           このすさんだ学校で、母は急に不良少年の更生に燃えだし、毎日終電で帰ってくるようになった。そして私は成り行きで、毎夜父と弟の夕食を作ることになり、今で言う「ヤングケアラー」にならざるを得なかった。  これは、本当に辛かった。気が狂いそうだった。  夕食時の6時半ごろになると、 「腹減ったぁ~」  と叫ぶだけで何もしない晴信。 「飯はどうするんだろうなぁ!!」  とヒステリックな声色で、独り言を言う父。  そう思うのなら日曜日にでも母とこの状況を改善するための話し合いでもすれば

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その18

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その17

           息子たちの学校の先生にも色々なタイプがいて、たとえば保健室の先生は最初に、 「調べて何もなかったから、一応報告しますけど」  とまずこちらを安心させてくれてから、ケガなり病気の説明に入ってくれたものだ。  とてもありがたかった。  ただでさえ、学校から電話があれば何があったのか、とドキッとしてしまうので、この言い方は見習いたいと今も思っている。  反対に、一番伝えるべきことをなかなか言わない先生もいた。まどろっこしくて、 「良い話なのか悪いことなのか、先に言って!」  と思

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その17

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その16

           そうして、事件は起きた。  母の給食に、いたずらが施されたのだ。  帰宅するなり、 「お母さん、給食に毒入れられちゃった~」  と私に。  え。   毒?  私は、蒼ざめた。毒ということは、万一の場合死んでしまったかもしれない。  いったいどういうことなのだ。  詳しく聞いてみると、男子生徒の一人がほんの軽い気持ちで、自分の常備薬を母の給食のおかずに忍ばせたという。カプセル状だったので、そのうちに溶けて見た目ではわからなかったらしい。  食べてみた母は、なんとなく苦かった

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その16

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その15

           異動の季節になると、 「あ~、今年も大丈夫だった。だけど来年こそ私の番よ。もうかなり長いから」  と数年に渡り、安堵のため息をついていたけれど、とうとう順番が回ってきた。  家から通える範囲で、3校くらい希望を出すシステムだったと思うけれど、その中で一番行きたくない学校に当たってしまったらしい。  ぶーぶー文句を言っていた。 「あの学区域は、商売人が多いから」  商売人のどこがいけないのだ。お店をやってくれている人がいるからこそ、食事ができたり、買い物ができたりすると言うの

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その15

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その14

           それは。  一種の脅迫状だった。細かい文面は忘れてしまったけれど、 「おまえを地獄に落としてやるから、今に見ていろ」  というような脅しの文句が、細かい字で書かれていた。  名前がないのに、母は犯人を竹山くんだと決めつけている。  もしかしたら、彼の筆跡を覚えていて、そう思ったのかもしれない。  たとえ。  それでも、娘の前でこんなふうに騒いで良いものだろうか、100%決めつけてかかっている。  私には、祖父の葬儀に来てくれて所在なげに空き地に立っていた彼の姿しか知らないの

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その14

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その13

           本当に止めてほしかった。  人の悪口、ましてや会ったこともない人の話など聞いているだけで、疲れてしまう。  中一の5月末に、祖父が亡くなった。母の実父である。  祖父が最期を迎えた東京郊外の自宅で葬儀が行われたのだけれど、すぐ隣りに空き地があり、弔問客はそこに留まって、自分の知り合いが出てきたら、お悔やみを述べるという流れがなんとなくできていた。   葬儀が済み、焼き場に行くまでの短い時間だったか、私たちも外に出た。  その時。  母が、騒ぎだした。 「竹山よ! 竹山がい

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その13

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その11

           写真を撮りたい気持ちは山々だけれど、背に腹は代えられないので、ママ友に事情を話して代わりに撮ってもらうよう頼んだ。  まだ携帯電話の写真機能が熟していない時代、気の良いママ友は何枚も湊の写真をデジカメで撮り、紙で渡してくれた。  データのやり取りも普及していない頃だったのだと思う。  湊は。  恨みつらみを一切言わなかった。  私は翼の事情を説明して最初に謝ったし、その撮影会の様子を帰宅後に色々聞いて、思いを共有したからだと思う。  おそらく湊はこの日のことをまったく覚えて

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その11

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その10

           教師をしていたがために母が体験した「事件」に対しても、違和感を感じたものだ。  まず私と同い年の竹山(仮名)くんのこと。他のエッセイでも書いたけれど、私が中学に入学した年、母も中学一年の担任になった。  なぜ記憶しているのかと言うと、同じ学区域内の学校だったため、入学式が同じ日だったから。母は、私の入学式に出られなかった。  そぼ降る雨が冷たい4月の初旬、皆は親と一緒に指定の体操着などを選んでいるのに、私は一人ぼっちだった。  それ以上に本当に嫌だったのは、やはり母の言動。

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その10

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その9

           また、晴信が笑い話として教えてくれた話にもびっくり。  ある日母がリビングで、同僚と生徒の噂話をしていたらしい。電話の向うの同僚教師が、誰か特定の生徒のことを言い始めたのだけれど、 「あの、みつ〇ちの子?」   と言ったらしい。  え。  そんなこと、どうして言うのか。  晴信は、どちらかと言うと、その表現がまずいことを知りつつ、そういうストレートな言い方をしてしまう母を、ちょっと世間知らずの憎めないキャラクターとして捉えていたようだ。  だから、笑いをまぶして私に報告して

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その9

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その8

           そうすると。  その度に行かれない口実を見つけなければいけない母は、 「あの子がこんなのを送ってくるから」  と彼のことを逆恨みし始めるのだ。  それは、濡れ衣というもの。  だったら相手が傷つかないような理由で、送ってもらうのを断れ。 「いつも送ってくれるけれど、私は合唱にあまり興味がないので・・・」  など言いようがあるだろう。それでも合唱を否定しているわけだけれど、義眼を見るのが嫌だ、よりはよほど傷つきは浅く済む。  心の中でいくら何を思おうとも、それは自由。誰も傷つ

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その8

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その7

           また、 「〇〇くんの歯は、ちょうどこんな色してるのに虫歯が一本もなくて丈夫なのよね。こんな色してるのに」  と茹でた黄色いトウモロコシを指して言う。  これはほめ言葉か? いや違うだろう。  ホワイトニングをすることが推奨されているのだから、トウモロコシのような黄色い歯は世間的には見苦しいと思われているのではないか。  そんなことをわざわざ私に言ってくるのは、どうしてだろう。たまたまそこに茹でたトウモロコシがあって思いだしたにせよ、10歳くらいだった私は、トウモロコシが歯に

          教師の心の表と裏(見せつけられた娘の私)その7