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忙しない世界で人生の質を高めるために必要なのは注意をコントロールする力

ありがとう!
山ほどの記事の中から、僕のを選んでくれて。

noteにある記事は、去年の時点で1500万件を突破したらしい。
つまり、今僕らは、すごい確率で出会っている。

ま、他のどの記事を選んでていても、同じことが言えるけど。

ともかく、僕らは両思いってことだ。

それは置いといて。

今僕は、

君と目が合っているつもりで、
そして穏やかに話しかけているつもりで、

これを書いている。

やさしい微笑みを湛えてね。


いい?
想像してほしいんだ。

そうそう。そんな感じ。

君のまなざしから、熱いエネルギーが伝わってくるよ。

でも、惜しいな。
なにか、少し他のことを考えているんじゃない?

周りに何か気になることがあるか、やりかけていることがあるのか。それとも、僕がウザいか。(最後のにいちばん可能性がある・・・?)


さて、今日に限ってなんでこんな変な出だしで始めたか。

それは今回のテーマが、エネルギーの話だから。
今も君が、じっと注いでくれている、そのエネルギーだ。

心理学の言葉で、心理的エネルギーなんて呼んだりする。注意をコントロールする力と考えてもいい。

君は、膨大な心理的エネルギーに満ちている。

でも、それを絶えず四方八方に散らしていたら、得られるものは小さい。

代わりに、一点にじっと集中させれば、多くを得られる。

たとえば、健康とか、収入とか、幸せとか。

というわけで。

心理的エネルギーを上手く扱うこと、つまり注意をコントロールする力を培うことが、人生の質の向上につながる


そんな話をするよ。

<誰でも積み上げられる最強の資産>


ある調査によると、深い集中力を発揮しながら仕事に取り組めている人はわずかに5%だという。

そりゃそうだ。

僕だって、何かしていても、SNSの通知が気になったり、動画コンテンツを視聴したくなったりすることがある。

海外ドラマの『メンタリスト』なんて見始めたら、おしまいだね。毎回おもしろいのに、それがシーズン9まで続くんだから。

自分を惹きつけてくれるコンテンツが低価格で、ほとんど無限に手に入る。これって、たとえるなら超絶なモテ期だよね。


毎日毎時間、世界中のクリエイターと起業家たちから「こっちをみて!」と最高のコンテンツで誘われまくっているんだから。

いい気分だけど、あとでどっと疲れる。
やれやれ。

そんなわけだから、

情報量が激増する社会では、人間の集中力がもっとも重要な資産になる

by ハーバード・サイモン


GoogleやAmazonやNetflixを見れば分かるとおり、他人の注意を奪うことが文字通り、莫大な利益につながっている。

君の心理的エネルギーが、誰かの財布に「チャリン!」と転がり込むお金に変換されているんだ。

想像してごらんよ。君があてもなくスマホに指を忍ばせるたび、すでに何百兆円もお金を持っているシリコンバレーの男たちに、さらに少しだけお金を分け与えているんだ。チャリン。

そのうえ、ほんとうに君にとって大事なことに集中するための心理的エネルギーや視力を目減りさせてもいる。

これは腹立たしいことかもしれないけど、元凶とも言えるGoogleやAmazonやNetflixに勤めている社員は、きっとあんまり動画コンテンツを見てない。あてもなくネットサーフィンすることもないだろうね。

スティーブ・ジョブズは、息子にiPhoneもiPadも与えなかったらしい。


彼らは、心理的エネルギーという資産をうまいこと運用できたから、稼いでいるし、クリエイティブだし、健康なのだ。まあジョブズは早死にしたけど。


サイエンスライターの鈴木祐氏は、『ヤバい集中力』の中で2016年に計量経済学の大家であるジェームズ・ヘックマンがした研究を参考に、こう述べている。

「IQよりも集中力が高い人のほうが収入が多く、体を壊す確率も低く、なによりもメンタルを病まずに幸福に暮らす傾向が格段に強」い。

<没頭することと幸せの関係>


高い集中力を発揮できているとは
心理的エネルギーを一点に投射できている、ということだ。

ウォータージェットって知ってるかな。

小さい穴から水をすごい勢いで噴射してなんでも切断しちゃうやつなんだけど。これって感動だよね。

水でも、一点に集中して一気に投下すれば、
鉄だって簡単に貫く。これぞ真理。

ごめんごめん。

集中の話に集中しよう。

スポーツの世界では、プレーに完全に没入しているとき「ゾーンに入ってる」なんて言ったりするよね。

心理学の世界では、これを「フロー状態」という。

この分野の第一人者であるチクセントミハイ博士は、

できるだけ多くフローを体験するように自分の意識を組織できれば、生活の質は必然的に向上するようになる。

『フロー体験 喜びの現象学』

と述べている。

こんなことを聞くと、うちの息子、ゲームをしてるときだけはフローに入ってるんだけどな、なんて思ったりするかもしれない。


それは間違いない。

けど、本質的に大事なのは、何かしらには没頭できるってことではなく、意図した対象に注意を向ける術を持っているかということだ。チクセントミハイが「自分の意識を組織」すると言っていることだね。

要するに、ゲームをすべきでない時にしないことを選べなければ、ゲームに自分をほろぼさてしまうってことだ。

欲望に負けず、長期的に見て体や精神に良いことに取り組めることが大事なのにはきっと同意してもらえることと思う。


要点を繰り返すと、理性によって「何に心理的エネルギーを注ぐか」を決め、それを「的を絞った1点に集中させる」ことが肝心になるってことになる

もし君が、君自身の意識を統制し何に心理的エネルギーを注ぐかを決めなかったら、どうなるだろう?


特に目的なくやるゲームや動画コンテンツ、
生物学的な欲求や文化的な慣習にあれこれ奪われていく。


誰かの何兆円かの資産の上に、さらにチャリン、だ。

今の話をお堅くいうと、こうなる。

通常、人の注意は、遺伝的教示、社会的関係で、子供の時に学ぶ慣習によって方向づけられている。(略)。歳を経るにつれ、我々の体験は生物学や文化によって記された脚本に従うようになるだろう。自分の人生のオーナーシップを取り戻す唯一の方法は、自分の意図と一致するように心理的エネルギーを導く術を学ぶことである。

『フロー体験 喜びの現象学』


では、自分の意図と一致するように心理的エネルギーを導くにはどうしたらいいのか?


知覚を知覚し、問いを変えることだ。
それが、未来の過去を変えることにつながる。


はあ?

と思ったなら、それが次の章へ向かう合図だ。

受験業界のカリスマ先生の話から始めよう。

<なにに目を向けるか?>


受験業界には、
生徒に魔法のような成果を授ける講師が存在する。

「わずか3時間の授業で偏差値が10上がった」なんて、僕には信じられないけど、どうやらそれを可能にする先生もいるらしい。

そんな魔法使いの1人が、南極老人だ。
本名は知らない。

彼は、まず生徒のものの見方に影響することで、
信じられない成果へと導く土台を築く。


具体的には、質問の仕方を変えさせるのだ。

たとえば、
「合格できるだろうか?」と考える生徒に対して
「合格できるとしたら?」と聞く。

前者の「合格できるか」の問いは、筋が悪い。
答えが出ないし、考えるほどに気力を奪っていく。

「合格できるとしたら?」なら、「なにをすればよいか」と考えるのが自然な流れ。自らクリエイティブに、効果的な学習法を編み出すかもしれない。合格に必要な行動に的を絞って、注意を集中させられるようになるんだ。

問いを変えて、相手の注意の矛先を変える。
それによって、思いつきを変え、行動を変える。

これが、一流のコーチや塾講師がしていることだ。
そのために何百万円を払う人が後を絶たない。

でも、君が問いを変えるために、
わざわざ何百万円を払うことはない。

ただ知覚すればいいのだ。

もし君に何か上手くいっていないと感じることがあるなら、きっと何かまずい問いを抱えている。だから、まずはそのまずい問いを自覚すること。

自分で自分にしている誘導尋問に自覚的になろう。

<問いを検討する4つの問い>


頭の中でどんな問いを繰り返し、
それによってなにに焦点を当てているか。


これを知覚して、繰り返す問いを変える。


大事なのは、答え探しを急がないことだ。
いい問いさえ設定できれば、答えはほとんど自明なんだから。

問いが変われば、見えるものが変わる。

見えるものが変われば、
発想が変わり、行動が変わり、結果が変わる。

君が自分で自分にしている問いを検討するために、
ぜひヒントとなる4つの問いを紹介したい。

実際に使ってみよう。

何か嫌なことがあったとき、僕が「なぜ自分ばかりこんな目に遭うんだ?」と考えているとしよう。

この問いは、
答えの範囲をどう限定しているだろう?
どんな思考と感情を刺激するだろう?

僕にとっては、この問いは、気力を奪うし、答えが出せないし、出たとしても「世の中が悪い」とか「あいつがどうの」とか、自分には変えようのないものばかり出てくるものだ。

代わりに「私のなにが、こんなことになるお膳立てをしたのだろう?」と考える方が前に進める。(もちろん、自分以外のせいにした方が前に進めるならそういう問いを選べばいい。本質を見失わないこと)

もうひとつ例を出そう。営業マンなら
「どうやって彼を論破(説得)しよう?」と問うより、
「彼はなにを熱烈に求めているんだろう?」と
考えながら話を聞く方が、うまくいきやすい。

それは、前者の問いが、「相手は論破すべき対象である」という暗黙の前提を含んでいるからだ。顧客との関係が対立的になり、営業が尋問になってしまう。

後者の問いは、「相手のことを深く知りたい」という前提に立っている。売りつけることではなく、本質的なレベルで相手の人生に貢献することが目的になっている。こちらは協働的だ。

要領をつかめただろうか? 


行き詰まった時ほど、ぜひ4つの問いを活用して、価値ある問いに集中できるよう自分を導いてほしい。

<未来の過去を変えるとは>


最後に、お預けにしていた未来の過去を変える話だ。
良い問いは、未来の過去を変える。

というわけで、
さっそく突然の問いだけれど、

過去ってなんだろう?
あるいは、経験ってなんだろう?


君が死ぬとき、ベッドで考える「私の人生」っていったい?

過去とは、君の記憶の中にある、
起こった出来事に対する現在の解釈だ。

もちろん、客観的な過去の出来事ってのはある。
君が死のうと、世界は存在する。

だけど、人間は絶望的なレベルで記憶が下手だ。

正確に認識できないし、
正確に記憶できないし、うまく表現できない。

そういう意味で、過去は現在の解釈に過ぎない。

でも、過去が解釈なら、いくらでも変えることができる。

過去は、未来の出来事次第で、いくらでも解釈が変わる。

まだ半信半疑かもしれないので、続けよう。

今の君があるのは、なぜ?

と聞かれたら、「あの時あれがあったから」と
過去の話をするよね。

実際そのとおりだと感じるはずだ。

中学のときいじめられ、引きこもった。あのとき大量の本を読んだから、今作家として成功している、みたいな感じだろうか。

でも、もし今も相変わらず引きこもりだったら?

中学のとき引きこもって、本にハマってしまったから、部屋を出られなくなったのだ、と解釈するかもしれない。

このことからわかるのは、今君が辛い思いをしていたとしても、未来で自分なりの成功や幸せを掴めば、「過去にあれがあったから」という話に変換されるということだ。

逆に言えば、君が今していることに、良いも悪いもない。

それは、君の未来が決めることだ。

で、とってもステキなことに、人間は未来をリアルの想像したり、想像したキャラクラーになりきったりすることができる。

たとえば僕は中学時代に引きこもっていたとき、こう考えていた。

将来作家として成功する人間にとって、この時期は原体験になる。20年後に大きな舞台で「中学時代、孤独を本に救われたことが、僕をこの道へと導いてくれました」としみじみスピーチするのだ、と。

この想像を基点に、前進させてくれる問いが無数に生まれてきた。

南国老人が生徒に「合格できるとしたら?」と問うように
「作家になるとして、じゃあ今何をしておこうか?」
と考えることができた。


幸い、あれから7年くらいした今、
妄想は現実になりつつある。

長くなったけど、
これがつまり「未来の過去を変える」ということだ。

理想の未来をのびのび描いて、
そこから今や過去を捉えることで、問いを変えた。

その結果、迷いなく行動し続けられた。

だって、いいストーリーには、
挫折やなかなか成果が出ない時期が必要でしょ?

<まとめと終わりに>

だいぶ横道にそれたようにも思えるけど、改めて、今回のテーマは「心理的エネルギーをうまくコントロールすること」だった。


後で見返しやすいように、
かんたんに話をまとめてみよう。


最初にしたのは、
注意をコントロールする術が、
幸福度や心身の健康、業績につながる
という話だった。

では、注意をコントロールして、何に注目すべきか。


まずは、今している問いに注目しよう。
問いを知覚して、自分を前進させる問いに変換することだ。

最後にした話は、「未来の過去を変える」。
前進する問いを生み出す強力な手法がある。
それは、理想の未来を想像して、未来の過去を変えることだ。
ということだった。



いかがだっただろうか?

ちなみに、僕が人と話すときにしていることも、
未来の過去を変えることだ。

質問によって、
相手が自分の過去や現在をどう解釈するかに影響を与える。

もし君が周囲の人の力になりたいなら、
その心構えでいたらいいと思う。

過去の意味に影響を与える者は、過去を基準に行動を決める人たちの、未来の行動にも影響を与えることができる。

『脳は「ものの見方」で進化する』


<参考>

南国老人の話:
改訂版 E判定からの大逆転勉強法 (高校学参)

過去の解釈:
「イヤな気持ち」を消す技術

知覚の話:
脳は「ものの見方」で進化する

フロー体験の話:
フロー体験 喜びの現象学


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