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学生団体でありがちな、残念な「会議」のしんどさ。いったい何が問題か?

最近、すごく気に入っている記事がある。

ぜひともこの友人・後輩に読ませたいと顔がいくつかはっきり浮かぶ。

もし、その記事に新たなタイトルと見出し画像を付けられるなら、見出し画像の言葉にしたい。

その記事というのがこちら。

読者はたぶん、
この見出し画像とタイトルから

「グループディスカッションってのは、ピーマンとハムと納豆でカレーを作れってのとおんなじだ」

なんて話をしているとは夢にも思わないだろう。

そして、何を隠そうタイトルを付けたのはライターの僕なのです…。つらい…。せっかく面白い話をしていただいたのに。

てなわけで、今回はこの記事を応援を兼ねて考察。

学生団体を営む学生たちに。愛を込めて。

(この記事は途中で切り上げても、元記事は読んでねっ…)

■300億円ベンチャーの執行役員がグループディスカッションを切る

元記事の著者(ライターは僕)である諸戸友さんが勤めるのは、クルーズ株式会社。

創業20年で年商はなんと約300億円のベンチャー企業です。テレビでも広告を打っているショップリストの母体。

そんなクルーズで執行役員を務め、採用最終責任者でもある諸戸さんが、採用の場ではおなじみのグルディスについて切ります。

そんなの経営する上ではぜったい使わないよ、と。

おもしろそうじゃありません?

■ピーマンとハムと納豆でカレー作り

グループディスカッションとは「その場で急に与えられたテーマを元にランダムに選ばれた複数人のグループで話し合い結論を出す」というゲームです。採用の場では、よく使われている。

これに対し諸戸さんはツッコミます。

いや、会議って準備がすべてなんですけど。

即興で話し合えって何なんw

それを絶妙に喩えているのが見出し画像の「ピーマンとハムと納豆・・・」です。(自画自賛ではなく、諸戸さんの仰った比喩)

学生の僕としては、グループディスカッションというとビジネスパーソンの真似事をしているみたいでかっこいいなあ・・・

くらいに思っていたのですが、あれ、ビジネスの場では使わないそうです。あくまで採用の時に便利だから使っているだけ。

では、企業はグルディスを通して候補者の何を見ているのか。それは本編をお読みいただくとして。

これ、意外と知らない学生が多いのではないでしょうか?

■グルディスへの憧れが招く悲惨な「会議」

グルディスを採用でしか使わないものであると知らないことは、学生にとってけっこうな損失ではないか。

諸戸さんの話を聞きながらそんなことを思っていました。

どういうことかといいますと。

これまでに6つの学生団体の50くらいの「会議」を側から(または主催者・参加者として正面から)見たことがあるんですよね。

でも、その中で諸戸さんのいう「会議」ができていた話し合いがいくつあったか。ゼロじゃないかなあというのが率直な感想。

こんなことになるのは、複数人で集まって、頭の中に浮かぶアイデアを次々ぶつけ合うことが会議だと思っているからでしょう。

そんな話し合いは、カレー粉も水も米ないのにカレーライスを作ろうとしているようなもの。愚の骨頂です。

会議は準備がすべて。

たとえばクルーズなら、事前に全員が一つの提案に対し300個の事実データを集めてくるのが当たり前。前提。

この事実だけでも知っていれば、彼らもあんな失敗はしなかったのかもしれない…。

■学生団体の「会議」でありがちなこと

僕の周りには、「社会のためになることをして、お金を儲けてみよう」となにかを企画する学生たちがいます。

社会的な課題感を持って、意欲に満ちた表情でビジョンを語る彼らは眩しい存在です。特に地方にはなくてはならない原石でしょう。

彼らは、仲間を集め「会議」を開きます。僕は、それを側で聞いていたり、参加したりすることが何度かありました。

「会議」には、意欲も意識も高いメンバーが集まっている。

しかし、いつも残念なことが起こります。

よくある(本当によくある)ことなのですが、事前にきちんと情報収集をしてくる人がほとんどいないのです。

よく知らないことについて議論しても不毛。

社会人だと当たり前なのかもしれませんが、なぜか学生が何か企てる場合はこのことを非常によく忘れがちです。

僕だって未だにやってしまうことがあるくらい笑。

■小2とやる高校物理の研究くらいしんどい

その分野の本を20冊読めば、いっぱしの論者として話ができる。

みたいな話を聞いたことがあります。そんなに多過ぎず少な過ぎずで、妥当な数字なんじゃないでしょうか。

もし今僕が学生団体を作り、リーダーになるとします。その際、メンバーが僕の独裁でない形での決断を望むなら、つまり本当に「会議」をしたいなら、せめて数冊は事前に読んできてほしいなと思うはず。

じゃないと、しんどいでしょう。高校の物理部の研究を「影は太陽と反対側にできる」ことに最近気づいた小学生たちとしないといけないくらいしんどい。

それは、たとえばこんなレベルのアイデアを出されるからです。

「空に浮かぶ風船と浮かばない風船の違いを研究しようよ。解明したら、ウチらきっと全国科学コンテストでも優勝するよ」

ね、しんどいでしょ?

「研究テーマは僕が決めるから、その実験が見た目的に面白いかだけ感想をくれ」とも言いたくなります。

まったくの素人が少し考えて(一生懸命考えても同じかも)出した程度のアイデアや指摘は、たいていの場合その道で先をいく人たちにとっては当たり前のこと。もしくはあまりに的外れなこと。

堀元見さんのこちらの記事に詳しく書かれていますが、まさにこれと同じ。

上の記事の主張をまとめると

何者でもない人のアドバイスは
①分かりきっている問題についての
②トレードオフを考慮しない
指摘であることがほとんどだからしんどい。
ただし、感想は一つの事実データなので嬉しい。

この「何者でもない人」を「事前に情報収集していない人」に置き換えてもらえればいい。おなじことです。

■とはいえグルディスは行われる

グルディスでやらされていることは、なかなかしんどい。

だから、先ほども述べたように、実際のビジネスで使われることはなく、あくまで採用の場で人を見るために使われています。

諸戸さんもグルディスは「人を見るには効率の良い手段」と述べています。

まあしんどい課題だからこそ、短時間で優劣の差が見えやすいのかもしれません。体力を調べたいなら、一人ずつ歩かせるより、全員まとめてグラウンドを走らせろ、みたいな。

それを踏まえた上で。

いったい、どうすれば「良いグループディスカッション」になるのか。

それは、諸戸さんの今回紹介した記事の次の記事を読んでいただければわかります。

一応要点をまとめると、以下のようになります。ただ、これだけ見てもほぼ間違いなくディスカッションの質は改善されないので、具体的にどうするか本編を見て参考にすることをお勧めします。

グルディスでは
ゴールに向かって議論が積み上がっていくよう
①ゴールの形を決め
②進め方と決め方の合意を取り
③事実ベースで語るようにし
④発言の意図を明確にすること
が大事。


■最後に-諸戸さんについての個人的な印象

諸戸さんの話を聞くとき、僕はいつも身近な人の顔が浮かびます。心底あいつにこの内容をシェアしたい!という衝動が湧いてくる。

これは、諸戸さんの持つ若手への期待と愛が大きいためなのかなあと思います。

誰より若手のことを考え、応援したいと思っているからこそ、彼らにとって重要なことを心に響く形で話すことができる。かっこいいなあ。

僕はそんな方のライターを務めているわけで。

身の引き締まる思いです。

これからもしばらくは、諸戸さんと二人三脚で記事を書いていきます。同世代のみんなには楽しみにしといてほしいな。


今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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