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【B-3-1】勇者さまっ!出番です!

これは、選択肢によって展開が変わる
「なんちゃってゲームブック風物語」の一部です

▶ぼうけんをさいしょからはじめるばあい
https://note.com/kudotomomi/n/n9a641f1d1573

▶ぜんかいまでのぼうけんをふりかえるばあい
https://note.com/kudotomomi/n/n5618dd0afb27
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そして旅立ちへ…


勇者とブラウンの旅が始まった。

まずは、クエストの依頼主であるエーデルムート国に向かう。迷いの森を抜けて、アーガム湖に出る。そこから山道を進み…というルートでかなり時間がかかると思われたが、旅は順調に進んだ。

なぜなら、パートナーとして選んだブラウンは勇者よりもはるかにレベルが高く、ステータスも申し分ない状態。ちょっと強めのモンスターが出てきてもダメージは全くない。また、弱いモンスターたちはブラウンが睨みをきかせると、みな逃げていくのである。

勇者
「あっけないくらいサクサク進むな…ブラウンさんのおかげです」

ブラウン
「お誉めいただき光栄です」

アーガム湖の村で一泊した後、無事エーデルムート国に入国した勇者とブラウンは、大臣と面会した。

大臣は、現在のエーデルムート国が魔王によってかなり被害を受けていること、それが原因で王が心を病み臥せってしまっていること、また国民もみな不安な日々を送っていることなど、切々と勇者たちに語った。

大臣
「魔王・ブランドールはかなりの強敵…いままで何人もの勇者様が魔王に挑んでは命を落とされました…国王はそのことにとても心を痛めているのです。わが国王は優しいおかた、そしてこの国は農業を中心とした、優しい風と光が包む国でございます。国民も争いごとには慣れていないのです。しかし魔物たちは私たちのことなどお構いなしに、畑を荒らし、街を荒らし、平和を脅かしてきました」

ブラウン
「ブランドールのやつめ…!好き放題暴れおって、許せん!!」

ブランドールと戦ったことがあるというブラウンは、以前決着がつかなかったことに相当心残りがあるらしい。闘志を燃やしていた。

大臣
「勇者様、ブラウン様、どうか我々をお救いください!」

勇者
「よし、俺たちが必ずこの国に平和を取り戻してやるよ。楽しみに待っていてくれ!」

勇者とブラウンは、エーデルムートの城下町にある高級な宿に泊まり体力を全回復した後、早朝に出発した。

目指すは魔王・ブランドールのいる城である。

勇者
「…とはいったものの、俺の地図だとここから先のルートはわからないんだ。とりあえず進んでいくしかないか…?ブラウンさん、ブランドールと戦ったことがあるんでしょう?ヘレンクヴァールへの道のりはわかりますか?」

ブラウン
「勇者殿、任せてください。ここからは通いなれた道。城への最短ルートを案内しましょう。わたしが馬車を運転してよいですか?」

勇者
「通いなれた…道?なんですか?じゃあ、はい!よろしくお願いいたします」

ブラウンは馬の手綱をとると、一気に馬を走らせた!

ブラウン
「勇者殿!しっかり掴まってください!飛ばしていきます」

勇者
「うわあああっ。ちょっと運転荒くないっすか!?ブラウンさん!大丈夫…わああああ」

勇者の叫びも気にせず、ブラウンは急な傾斜の山道をものすごいスピードで走らせていく。

ブラウン
「あの、ブランドールのクソガキがぁああっ。待ってろおおお!!」

ブラウンが無茶苦茶粗ぶっている。さっきまでの紳士的な雰囲気はどこへ行ったのか、魔王の名前を叫んで切れ散らかしながら馬を走らせていく。

勇者
「ブラウンさん、魔王にすげえ恨みがあんのかな…もしかして…家族を殺されたとか…」

勇者はブラウンの意外な一面にちょっとビビりながら、振り落とされないように必死で馬車のへりにつかまっていた。

ふと勇者が後ろを観ると、なんと、空からグリフォンの大群が押し寄せてきていた!!鋭い鈎爪につかまれたら最後、身体が引き裂かれてバラバラになってしまうぞ…

勇者
「ブラウンさん!グリフォンです!グリフォンが来ます!!」

ブラウン
「なにっ?あのクソガキ…グリフォンを差し向けるなど!俺を甘く見やがって!」

そういうと、ブラウンは何やら呪文のようなものを唱えた!!!

ブラウン
παρακαλώ ακούστε την εντολή μου!!!

勇者
「え?呪文?ブラウンさん、魔法使えないんじゃ…?」

勇者が不思議に思ったと同時に、ブラウンさんから発せられた波動波みたいなものが、グリフォンに衝突した。飛んでいたグリフォンたちは一瞬よろっとバランスを崩す。

ブラウン
「勇者殿!これでもう心配いりません!」

ブラウンはそう言い終わると、口笛をピュ―っと吹いた。
するとどうだろう、グリフォンたちが再び勇者たちの馬車の方へ向かってくるではないか。

勇者
「ブラウンさん!グリフォンがまた来ましたよ!」

ブラウン
「大丈夫大丈夫!こいつらに、あのクソガキのところまで連れて行ってもらうのです!」

勇者はとっさに防御の姿勢をとったが、グリフォンたちは馬車の幌や馬のベルト、手綱などを優しくつかんだかと思うと、翼をはばたかせて、空へ飛びあがった。勇者たちの乗った馬車は空に浮かび、これまで全く見えなかった山のてっぺんにあるヘレンクヴァール城が勇者の目に映ったのである。

勇者
「ブラウンさん…これはどういうこと…」

勇者がそう言い終わる前に、グリフォンたちがぎゅんっとスピードを上げた。

勇者
「わわわわわ!!!なんだ!急発進するなよ!落ちる!!」

ブラウン
「勇者殿、もうすぐ城につきますのでしっかり掴まっててください!」

勇者とブラウンを乗せた馬車はグリフォンたちによって、城へ運ばれていった。

勇者
(いったい、これは、どういうことなんだ!?)

最終章へ続く…
https://note.com/kudotomomi/n/n99c68988fc11



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