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短編小説「みんな、教祖を求めてる」作:鵠更紗


宗教を信仰する家に生まれ落ちた。

私には、当たり前の毎日。
祈りもお布施も慈善活動も。
今日も教祖様の教えを乞う為、教本を持って出かける。

近所には、別の宗教の集会所がある。
朝晩聴こえてくる鈴の音、祈りの声。

アヤシイ?
コワイ?
ヤバイ?

友人Aは、自己啓発セミナーに通っている。
毎月、会費を払って、
「自分を愛する方法」とか
「魂を磨く勉強」なんてものを学んでいるらしい。

友人Bは、推しの為に、オンラインライブで課金していると言う。
たくさんギフトを贈ると、名前を呼んでくれると喜んでいる。相談に回答してもらうには、高額ギフトが必要なんだ、と。

友人Cは、健康食品を扱うグループの会員で、「若返りの温泉水を買わないか」と、連絡がくる。500mlのペットボトル12本セットで3万円のところを、2万円にまけてくれると嬉しそうに話す。
紹介した人が購入するとランクアップして、更に安く買える制度があるのだ、と。

みんな、誰かに傾倒したい。
みんな、誰かに依存したい。
みんな、誰かに救われたい。
みんな、誰かに肯定されたい。
みんな、誰かに求められたい。

みんな、教祖を求めてる。
みんな、教祖を探してる。

終わり

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この物語はフィクションです。
普段、感じていることをもとに創作しました。
長編小説にしようかと思いましたが、
300ページくらい書く→文学賞応募→落選して落胆→作品がお蔵入り
のループがしんどいので、あっさり短編、かつnoteに投稿にしました。
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