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映画「ディア・エヴァン・ハンセン」を観て、三浦春馬君のことを思った話。

観てきた。
備忘がてら、感じたことをメモっておこう。
ネタばれはしないつもりなんで、どうぞよろしく。

2017年にトニー賞も受賞した、ブロードウェイミュージカルの映画化。
Wikipediaに書かれたあらすじは、以下の通り。

社交不安障害を抱えた高校生のエヴァン・ハンセンは、自分自身に宛てた手紙を書いていた。しかしある日、クラスメートのコナー・マーフィーに手紙を持ち去られてしまう。後日、校長に呼び出されたエヴァンはコナーの両親からコナーが自殺したと告げられる。両親はエヴァンの手紙を見つけ2人が親友だったと誤解してしまう。そして後にエヴァンは噓の親友との思い出を語ってしまう。

実は、結構前から、この映画の日本公開を楽しみにしていた。
とにかく楽曲がポップで美しいのだ。
10代の若者たちやその周りの人々の、心の機微をメロディアスに表現していて、素晴らしいの一言に尽きる。
ミュージカルの映画化なので、やはり劇中では、突然役者が歌いだしたりするのだけど(こういうの嫌いな方って一定数いますよね?笑)、これは映画館での良い音響で聴いてみるべきかも!と思い、映画館に足を運んだ。

結構、このサウンドトラックも聴いてから映画を観た。
そのつもりだったが、私はこの楽曲の聴き込みが甘かったと気づかされた。
リリックもさほど読み込んでおらず、表面的な音楽の聴き方をしていた。
というのも、この楽曲からは、爽やか青春グラフティ的な映画を想像していたのだが、実際には、思っていたストーリーと全然違う世界が、スクリーンの中では繰り広げられたのだ。
読みが甘かった。
ある種の、重~い衝撃を受けることになってしまった。

そもそもこの映画に興味を持ったのは、三浦春馬君が生前、2020年1月のシンシア・エリヴォらとのミュージカルコンサートで、この映画の原作にあたるミュージカルの楽曲「Waving Though A Window(ウェイビング・スルー・ア・ウィンドウ)」を歌ったから。

このようにご本人も呟いておられるように、実際にブロードウェイでミュージカルを観ていらした模様。
そこで、感激したんでしょうね。
このミュージカルの日本人キャストでやる機会があるならば、オーディションは受けたいとか、だけど年齢的に高校生役は厳しいから諦めるとか、ご本人が言っていたとか。
だから、
「三浦春馬君がエヴァンを演じたら、春馬君が歌ったらどんな風になるかな?ベン・プラットが演じるエヴァンに春馬君を重ねながら観ることになるかも!確かに、高校生役は映画だとアップもあるからしんどいけど、遠目で済むミュージカルならイケるんじゃないかしら?」
なんて、久しぶりに春馬君を投影できる何かを見つけられた気もして、若干ウキウキしていた。

が、実際はそんなんではなかった。
ストーリーが進むにつれて、この作品の訴えたいメッセージを徐々に理解し始めると、私の気持ちの底のあたりには、虚しさにも近い感情が湧いてきた。
映画のメッセージの解釈は見た人それぞれに思うだろうし、また、ネタばれしないためにも、私がこの映画のキー・メッセージをどう思ったは書かない。
映画とミュージカルでは、結末が若干違うというが、スクリーンの中のストーリーを追いながらも、「春馬君、どうして?」という思いが鳩尾のあたりで渦を巻く。
春馬君はこのミュージカルを実際に見て、この楽曲を聴いて、歌詞を読んで、このストーリーに心惹かれるものがあったのだろう。
きっと、このミュージカルのメッセージを理解していたであろう。
共感するものがあったからこそ、そのメッセージの伝え手にもなりたいとも思ったのだろう。
なのに、なぜ。
"You Will Be Found."

この映画(ミュージカル)での要ともなる曲。
きっと、春馬君も耳にしたであろう、この曲。
"You Will Be Found"とは、直訳すれば、「あなたは(誰かに)見つけられるだろう」。
映画の中では「ひとりじゃない」と訳されていた。
あぁ、きっと届いていただろうけど、救えるほどの力はなかったのだろう。

「ディア・エヴァン・ハンセン」。
こんな重いテーマの作品だったとは、つゆ知らず。
春馬君が演じてみたいと思った、作品のストーリーを知ることができて良かった。
映画館を出て上を見上げると、雲一つない秋晴れの空。
「"You Will Be Found"の”You”は、春馬君、あなたのことだよ。」と、空に向かって心の中で呟く。
これまでも何度感じてきたかわからないけど、今回も無念さは残る。


◇◇◇

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