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ダックスフンド

昔のこと

 僕が小学校にあがるかあがらないかそのくらいのときに、2匹のダックスフンドを飼っていた。2匹は親子の関係で、母親はローリー、息子ビックという名前だった。どちらも黒色のダックスフンドだった。
 しかし、ビックは僕が5才くらいのときに近所の山で毒ヘビに噛まれて死んでしまった。ビックはまだ1、2才くらいだったと思う。
 だから、僕の記憶に残ってるのは主に母親のローリーのほうだ。ローリーは家の外の犬小屋で飼っていた。今から30年くらい前の話だから、当時は犬を家の中で飼うという習慣が社会的にあまり広まってなかったのだと思う。近所でも犬を家の中で飼っている人を僕は知らなかった。

 僕は弟と一緒にローリーに向かっていつも砂利を投げていた。いじめているという感覚は希薄で、からかっている感じだった。砂利を投げてもローリーは僕たちに近づいてきて相手をしてほしそうに戯れてきた。
 小さな川魚を解剖して浮袋を取り出したり、ザリガニを焼いてみたり、子どもの頃にはずいぶんと残酷なことをした。犬も人間よりはそういった生物に近い存在として、僕は認識していたのだと思う。

 ローリーは僕が小学生になってすぐくらいに老衰で死んだ。僕はローリーを近所の河川敷に埋めてやった。
 今はもう、そのどこらへんに埋めたのか覚えていない。

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