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絵本で始める性教育「げっけいのはなし いのちのはなし」を息子に読んでみた

毎月の月経。子供にどう伝える?

こどもが幼児の頃は一緒にお風呂に入るので、こどもが血を見てびっくりしてしまうことがある。

実際、私は、6歳の長男に「なんで血が出てるの?」と聞かれた時にうまく説明できなかった。

そんな時、母親アップデートコミュニティ(HUC)で性教育部部長を務めるまなっぺこと大石真那さんが、まさに、こども向けに月経について伝える絵本を出版された。それが「げっけいのはなし いのちのはなし」(未来パブリッシング)。

「月経は命をつなぐ大切なもの」という教え

この絵本は単に月経の仕組みを説明するだけでなく、タイトルにもあるように「命のはなし」になっているのが一番の特徴だ。

この表紙にも描かれているように、主人公は、「たろう」という小学校3年生の男の子。これは、女子だけが集められて月経の説明を受けるという従来の学校の性教育に疑問を持ち、男の子にも正しく月経を理解してもらうことが必要だというまなっぺの思いが込められている。

男子の月経への無理解によって、学校で女子をからかったり、ひいては女性の性を軽視することにも繋がっているのではないか。

この絵本では、母親が、たろうにこう伝えている。

もし からかうこがいたら おしえてあげて。「どのこも みんな おかあさんに げっけいが あったから うまれてきたの。げっけいは いのちを つなぐ、 たいせつな ものなんだよ」って。それを みんなが きちんと しっていると、きっと やさしい しゃかいに なるね。

これを読んで、私自身もはっとした。

これまで、私も月経をなんとなくネガティブにしか捉えていなかったかもしれないなあと思った。学校で、女子だけ集められて月経を習ったという経験が尾を引いているのか、生理であることを男性側に伝えるのは今でも多くの女性にとって難しいと思う。

「生理休暇」という制度がありながら、男性上司に対してそれを申請できないという話はよく聞く。それは、男性が圧倒的に月経に対して無理解だからだ。

以前、とある上級管理職の男性がこう言っていた。

「生理休暇なんてのは甘えだ。うちの妻は生理で会社を休んだことはない。」

この男性は、生理の痛みというのは、人によって全然違うことを知らないんだろうなあと思った。私自身も、生理痛は、1-2日間、鎮痛剤さえ飲めば乗り切れる程度だが、人によっては立つことさえままならない人もいると聞く。

社会における女性活躍のためにも、こういう大事な生理現象についても正しい知識と理解が必要だと改めて思った出来事だった。

こどもにセックスについていつ伝えるか

この絵本では、月経によって赤ちゃんが生まれることを説明しているので、そもそもどうやって赤ちゃんがおなかに来るの?というたろうの質問から、性交についても触れている。

「そして、おとこのひとの ペニスを おんなのひとの ワギナに いれて、せいしを らんしのところへ おくりこむの。これをセックスというのよ」

この文章と、それを表す絵を最初に見たとき、正直、ぎょっとした。

さすがに性交については、まだ早いんじゃないかと思ったので、著者のまなっぺに対象年齢を聞いてみた。

すると、全部ひらがなにしているから、幼稚園から小学校低学年くらいを想定している、とのこと。

まだ早いんじゃないか、という私の意見に対して、まなっぺは、こどもが小さい方が「交尾と一緒だね」とそのまま素直に受け入れるよ、とのこと。でも、親がドギマギしながら読んでしまうと、それが伝わっちゃうから、無理しなくてよいよ、とのことだった。

確かに、思春期に近づいてきた時に、急にセックスのことを親から聞かされるより、まだ親子の距離が近い幼児のうちの方がいいかもしれない。

そう思って、意を決して、平常心を保ちながら、息子に読み聞かせをしてみた。性交のところはちょっと緊張するけれど、それ以外の部分は、早めにちゃんと伝えたいと思っていたことばかりだったから。

以前、長男が保育園で「あかちゃんはお母さんのお尻から生まれるんだって」と聞いてきたので、私もそれを採用して、家では、2人ともママのお尻から生まれてきた、ということになっていた。

そこが今回の絵本の読み聞かせで、うんちの出る穴とおしっこの出る穴の真ん中にある穴、という正しい知識に訂正できて良かった。

赤ちゃんがどうしてお腹にくるかについては、これまで一度も話したことがなかったので、小1の長男の方が、ちょっとびっくりしていたような感じもあったけど、AVや卑猥なもので目にする前に正しく伝えられて良かったと思う。

1回しか読んでいないので、2人ともまだそんなに理解できていないと思うが、今後、疑問に思った時や、より興味が湧いた時に、いつでも自分でこの絵本を参照できるので、この絵本が家にあるということは大事なことだと思う。

いろんな生き方を選んでいい、を伝える

この絵本で私がとても好きなのが、次のパート。

「それとね、もうひとつ たいせつな はなし。『げっけい』が あるからといって、しょうらい かならず あかちゃんを うまなければ いけないって こともない」
「しごとも けっこんも、こどもを そだてるか どうかも、じゆうに きめる けんりが あるの。いろんな いきかたが あるんだって ことを しっておいて ほしいな」

そして、このページには、シングルマザーと娘、仕事している女性、女性どうしのカップル、など、いろいろな生き方のカタチが絵で描かれている。

これからを生きるこどもたちには、自分で信じる道を自由に選んでいい。

これも小さいうちからしっかりと子供に伝えておきたい大事な生き方の教育だと思う。

一家に一冊、お勧めの絵本です。

<参考リンク>


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