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フラットな間柄では親切なのに、権力が絡むと人が変わる中国人のお話

ちょっと何か見て、思い出したことがあったので、今日はそのことについて書きます。

わたしにはメンターがいます。先生はメンターというか憧れの存在です。今後A先生とします。A先生は何かを教えようとはしませんでしたが、いつもわたしのことを良く見てくれてました。

そうそう、Aさんはアメリカ人です。ですから基本的に言葉使いはシンプルです。

さてさて、とある作業を行うためのグループ分けを作っていたとき、できあがった表をみてA先生は「面倒くさがらずに、メンバーのことを分析したね」と言います。

実はわたしは適当に班分けをしたので、個々の人のことなんて考えてませんでした。それで「A先生、そんなことはありません。適当に割り振ったんです」と答えると、「なら偶然にこんな素晴らしい班分けができたのか」と呟いたあと、「リーダーは、人を扱うのであり、表を扱うのではない」と言われました。

特にA先生はとがめ立てするような雰囲気ではなく、最初から最後まで穏やかでしたが、この時の先生の真剣なまなざしがいまでも忘れられません。

以降、なにかをマネージメントするときに、この「人を扱うのであり、表を扱うのではない」という言葉はわたしにとって原則となりました。もちろん、いつも原則通りに行動できるわけではありませんが、理想の実現のためにできることをしたいと思っています。

さて、中国で暮らしていて「为人民服务(人民のためのサービス)」という標語をよく見かけます。日本で言うところの市役所や、各種行政サービスの窓口には大抵その標語が掲げられています。

しかし、ほとんどの中国人はその言葉を信じてはいません。

わたしも、ここで人間味のあるサービスを受けた記憶はありません。担当者が愛想が良いことなんてまずありません。申請書や手続きが滞りなく受理されれば満足で、相手の態度や対応に期待することなどありません。

地元民である中国人のほとんども行政サービスに対して同じような印象を持っています。良くある公共放送などで、お年寄りを助け、子どもを思いやり、困っている人や不遇な人に思いやりを示す人々の様子が映し出されますが、あれは幻想です。

もちろん、個人として親切な人はかなりいます。

地下鉄やバスでお年寄りに席を譲るスマートさや、車内にベビーカーを持ち込む人への大らかさなどは見倣いたいと思ってます。でも、そこにある人間関係はフラットです。上下関係や利害関係がない場合、親切を示す中国人がある程度います。

しかし、フラットな関係なら人間味のある行動をする人でも、そこに権力が関係すると急に横暴になったりします。口では「みんなのために奉仕したい」と言っているわりに、実際の行動様式は完全に自己中心的だったりします。

親切を示すどころか、人の足を引っ張ってみたり、ちょっとした嫌がらせを繰り返す人もいます。

以前、そのことを中国生活が長い友人に話したら、それは中国のお家芸だからねと言われました。昔から今に至るまで、皇帝に気に入られるために自分の評判を上げることと、ライバルの評判を下げることが大事だそうです。

そして、彼らの考えるライバルの範囲はかなり広く、誰が将来のライバルになるかわからないので関係者すべての足を引っ張るくらいのことはやるよねと友人は笑います。

そして社会でも、会社でも学校でも、自分たちの皇帝、つまり影響力を発揮できる人の歓心を得ることを目標に、互いに張り合ってるのさと彼は切り捨ててました。

自分はこういうのが嫌いなんだなと、最近改めて思いました。

中国人のなかに「口ではいやだと言っても体は正直なものだ」的なことを言う人がいます。

この言葉の解釈は日中では異なってます。

中国人は「口で言っていることではなく、行動が本音を示す」という意味で、この言葉を使ってます。引用元がアレなので、良識のある人は使わない方が良い言葉だと個人的には思います。

表現方法が下品ですが、わたしだって、行動が真実を示すというのは、その通りだと思います。

人の真価は行動により測られると思います。そして行動には、何をするか、そしてそれ以上に大事なこととして、何をしないかが関係しています。

それで、今後とも「人を見ている」ということを、行動で示したいと思います。相手のためになることを行い、そうならないことは行わないようにしたいです。

そして、口では「人のために」「みんなのために」と言いながらも、結局は自分の気持ちをスッキリさせることを行動理念にしている人たちからは、できるなら距離をとり関わらないようにしたいなって感じてます。

でも、そんなことをしてしまうと、A先生から「自分とは違う価値観を持つ人も、人なんですよ。見てあげなさい」なんて言われそうな気もします。

A先生の境地にたっするにはまだ時間がかかりそうです。でも、わたしもアラフィフ・・・A先生と出会ったとき、先生もアラフィフだったと思うんだよね。前に進まなきゃ。

今日も最後まで読んでくれてありがとう。また明日。

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