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イエナプランから学ぶ実践【哲学編】

 前回の投稿でも少し触れたことですが、私のクラスでは時々哲学対話の時間を設けています。答えのない問いに対して、自分がどう思うか、自分ならどうするかといったことをみんなで話し合う時間です。
 今回の問いは「おなかが空いたら(お金がなかったら)、泥棒してもいい?」というもの。これも子どもたちが考えた問いです。この問いでは、Noを選んだ子が多かったです。泥棒は犯罪だし、捕まる悪いことで、絶対にダメという価値観が強いのだなと思いました。また、誰かに相談すればいいんじゃないかという意見もありました。一方で、命の方が大切で、生きるためならいいのでは?という子もいました。
 哲学対話をした後は、私自身の考えも、「これが正解ではないけれど、先生はこう思うよ」と伝えます。この哲学対話をした日の新聞に、たまたまホームレスの人にご飯を配るボランティアをしている大学生の記事が載っていたので、そのことも紹介しながら、私の考えを伝えました。この大学生がボランティアを始めたきっかけはこうです。街中で叫びながら倒れる女性のホームレスを「やばい人だ」と目を逸らした。そしたら、男性のホームレスがその女性を助け、「目の前の人一人助けられないのか」と咎められたそうです。女性は性的暴行を加えられるのが怖くて、夜も眠らずに立っていたら倒れたそうです。その件をきっかけにリヤカーに食事を乗せてボランティアを始めたそうです。この食事を楽しみにしている男性ホームレス(62)は、「脳梗塞で手足が不自由になり、会社に勘弁してくれと言われて仕事を失った。食事はありがたい。」と言っていたと書かれていました。そんな記事を簡単に説明しながら、「みんなもいずれ老人になるし、病気や怪我で働きたくても働けなくなるかもしれない。老人はいなくなればいいなんて言ってる有名人もいるけど、それって本当に幸せな社会なのかな。みんなが幸せになれる社会の仕組みが作れるといいよね。そもそも、お金をたくさん持っている人が必要ではないものを買って贅沢してるから、お金のない人が生まれるんだよね。格差のない(持っている人と持っていない人がない)社会にできるといいよね。」と話しました。
 誰もが幸せに安心して暮らせる社会は、誰にとっても幸せな社会で、そんな仕組みをつくれる人になってほしいと願っています。現代は格差がどんどん大きくなり、世界の富のほどんどを約1%の富裕層が握っていると言われています。日本は、子育てや福祉が充実していない国です。そんな社会を、未来を担う子どもたちに変えていける力を育てたい。子どもたちに説明するには、少し難しい面もありましたが、何かしら子どもたちの心に届いていたらいいなと思います。私自身も、もっと勉強して、声を上げていかなければと思いました。

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