(77)レスパイト入院④

認知症科での入院は、老人ホームなどの施設と違って、暴れだしたり言うことを聞けなかったり徘徊が激しいため、ご利用は難しいですと言われてしまうことはないのだろう。義父の認知症には大きく波があるので、きっと看護師さんを困らせていることもあるはずだと思うが、まだ1度も病院からそのような連絡はない。在宅時には、家族のことがわかり素直な状態のときもあれば、イライライライラしてずっと怒っているときもあり、家族全員のことが他人に見えているときもあった。家族のことも認識できて、普通に穏やかに会話できる瞬間があっただけに、入院させることが申し訳ないようにも感じてしまうのだが、やはり同居しているものにしかわからない苦労もある。特に同じ部屋で過ごす義母はしんどかっただろう。何度も義父から逃げるために2階に上がってきていた。リビングに布団を敷いて寝かせてあげたこともあった。ソファーで寝かせてあげたこともあった。夜中や明け方にダイニングで座っているときもあった。日中も2階にあがってきて過ごすことが増えていた。それほど同じ部屋で過ごすことに耐えられなくなっていたのだ。そして、私も、いろいろな世話をする中で義父に理不尽に怒られ、嫌な気持ちになることが増えてきていた。義父の言っていることが違うとき、そのまま聞いてあげればいいこともあるが、それが誰かに迷惑をかけそうなときは訂正しないといけないこともある。間違えてるよ。違うよ。と伝えることで義父はさらに機嫌を悪くし、「お宅さん言ってることは、完全に間違えてはります。私は絶対にに◯◯していません!絶対に法に誓って知りません!」などと大声で言われる。もうその場から出て行くしかないこともある。、そんなことを義母も毎日繰り返されて、同じ部屋にいるのがしんどかったのだろう。あまりの忙しさにどんどん忘れてしまいそうになるが。こうやって書き留めていくことで、思い出すことができる。そうだ、いくら出不精だった義父のために、在宅で介護することにこだわっても、そうすることで義母が苦しむのなら、それは正解ではないのでは…。そう思っていたことを思い出した。義母は、今年に入ってだいぶ痩せた。もしかしたら、それには義父との生活のストレスが影響していたのかもしれない。そう思っていたことも忙しくて忘れていた。ケアマネジャーさんも、そして契約予定だったデイサービスのスタッフさんも、親身になって背中を押してくれた入院だ。私はこの入院が意味のあるものだった、と思えるようにしないと。こんなことばかり考えている。

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