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【Audible書評】氷点(三浦綾子)

子供の頃は、進んで読書することはありませんでした。読書とは、「夏休みの読書感想文を書くために強制的に読まされるもの」でした。そんな読書嫌いだった私が、小説にハマるきっかけがありました。

大学時代は、横須賀から飯田橋までの2時間通学。暇つぶしのため、大学の図書館で何気なく手に取ったハードカバーの本が、この『氷点(ひょうてん)』でした。なぜ小説に関心のなかった自分が、全く知らない作家の分厚い小説を手にしたのか、覚えていませんが、図書館の棚で黒っぽいカバーを手にした場面は記憶に残っています。いつも電車の中で寝るだけだった私が、生まれて初めて車中で夢中になって本を読み、読書の喜びに感動した覚えがあります。

そんな小説との出会いから、30年以上経過。ストーリーは完全に忘れてしまったので、Audibleで読み直しならぬ聞き直しすることにしました。

あらすじや書評は、一切読まないことをおすすめします。その方が、衝撃の展開を楽しみつつ、敬虔なクリスチャンだった三浦綾子さんからの深い問いかけに思いを馳せることができると思います。このAudible版では、複数の声優さんが役柄ごとに演じてくれるので、ラジオ劇を聞いているようです。
戦後の旭川が舞台で、登場人物がデフォルトで着物を着ているとか、郵便が主な通信手段だったりと、時代の趣も感じられます。

大人になって、改めて読んだ(聞いた)感想。「登場人物の嫉妬からくる、ありえない思い込みと誤解で、おかしな判断を積み重ねて展開されるストーリー・・・ちゃんと話し合えば、そんな事件にならなかったんじゃないの??」と、元も子もないことを思ってしまいました。

昔の日本人は、心のうちをさらけだすことが苦手だったのかしら・・・


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