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【実践報告】ペンパルさんへの手紙を書く

ペンパルっていう仕組みは、もう時代遅れかと思っていましたが、なかなかどうして。この時代に手書きのお手紙のやりとりは、メールよりも心が触れ合えるものなのかもしれません。


■学習者プロフィール

居住地:シンガポール
経歴:専業主婦。家族ぐるみで日本旅行好き、日本文化ファン。彼女は日本の文房具が大好きで、マステやレターセットのコレクター。
語学:英語ネイティブ、日本語はN4、今は中級の入り口くらい。
目標:日本旅行で、レストランやお土産屋さんなどでお店の人と必要最低限の会話ができる。ペンパルさんに日本語で手紙が書ける。

■レッスン内容: 時候のあいさつ

彼女の趣味の一つは、世界各国のペンパルにお手紙を書くこと。もう廃れているかと思っていた、手書きのフィジカルな手紙交換が、いまでもしっかり存在していたことにも驚き!その相手探しは、オンラインですけどね。

ヨーロッパの方と数名、日本人の2人(先方はシンガポール大好きらしい)と手紙・葉書の交換をしているとのこと。
初中級には若干チャレンジングですが、短い「時候の挨拶」を教材にすることにしました。一年中夏のようなシンガポールの方にとって、四季の移ろいを言葉と写真で感じていただく、いい機会になるかなと思ったからです。

■レッスンのポイント

まだ初中級ぐらいなので、堅すぎないカジュアルな時候の挨拶にカスタマイズしたサンプルを提示します。

  1. 準備として、「時候の挨拶 ◯月上旬 カジュアル」などでWEB検索し、例文集を探します。

  2. その中から、使えそうな例文を選んで、さらにやさしい日本語にカスタマイズします。

  3. カスタマイズしたやさしい時候の挨拶と、背景情報(後述)を合わせて、レッスンプランに入れて、事前に送ります。

  4. 時候の挨拶と、自分のメッセージとを組み合わせて、はがきに収まるくらいの短いお手紙を仕上げてもらいます。

やさしい時候の挨拶では、ChatGPTも使ってみました。試行錯誤した結果、最終的に使ったスクリプトを貼っておきます。完璧なものは出揃いませんが、半分ぐらいはそのままいける感じでした。

シンガポール在住のシンガポール人の主婦が、日本人へ手紙を書きます。 あまり難しい単語を使わないとてもやさしい日本語で、7月の中旬から下旬にぴったりの時候の挨拶を書きたいです。 手紙の冒頭に書く例文を10個ぐらい挙げてください。 「お世話になっております」は使わないでください。

ChatGPTに入力したスクリプト

例文検索と、GPTの提案を踏まえて授業で提示した、
やさしい時候のあいさつ(一部)

<まだ梅雨が明けていない場所の人へ>
例)7月後半になりますが、(ペンパルさんの住んでいる場所)ではもう梅雨が明けたころでしょうか。
暑い夏も間近となり、そろそろセミの鳴き声が聞こえ始めるころでしょうか。など

<梅雨が明けた場所の人へ>
(ペンパルさんの住んでいる場所)では、梅雨が明けて、暑い夏が始まりましたか。
(ペンパルさんの住んでいる場所)では、梅雨が明けて、シンガポールのように暑い季節になったでしょうか。
ようやく梅雨が明けて、にぎやかなセミの声が聞こえ始めるころでしょうか。
◯◯では、暑い日が続いていると聞きました。元気にお過ごしでしょうか。

時候のあいさつの背景情報として、「この季節には、こんな花が咲いています。日本人は、よくこんな話をします。○月はこんな行事があります。この季節は、こんな気持ちになります。」といった、季節に対する日本人の一般的な感覚を説明し、話し合います。

その上で、ペンパルさんが住んでいる場所の天気予報や、桜予報とか梅雨入り・明け情報など見たりしながら、時候の挨拶を含めた短い手紙を仕上げてもらいます。

書き言葉ならではの文法事項にも、少しずつ慣れてきています。
例)〜な季節になりました → 〜な季節「と」なりました
例)そろそろセミの鳴き声が「聞こえるころ」、もう梅雨が「明けたころ」
(そろそろ+辞書形+ころ=「前」、もう+た形+ころ「後」)

レッスン終了後、「チャレンジングだけど、楽しい」フィードバックをくれます。ペンパルさんも、彼女の手紙を楽しんでくれていることを願いつつ。

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