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『トランスジェンダー入門』_日記20230816 

ジェンダーの問題がやっと注目されてきたものの、あまりそう言った本を読んでこなかった。元々、自分が男だけど体育会系のノリや男らしさが嫌いだった。ここ数年は男社会を考察する本は読んできた。印象的なのは男が男を痛めつけることを描いた澁谷朋美さんの『日本の包茎』や尹雄大さんの『さよなら男社会』だった。男だけの中で過剰に優劣をつけることの傷を負う。そして社会制度上弱い立場(に仕立て上げた)の女性たちに対してさまざまなハラスメントすることでその傷を誤魔化す。そういった傷の連鎖を減らすためには一人ひとりがその流れを減衰させるために、加担しないようにしたい。ぼくも加担しているのだから、意識的になるべきだと思う。

そのあと他のジェンダーについて考えてみたいと思った。そんな中で自分と重ねやすい感じたのがアセクシャルだった。アンジェラ・チェンさんの『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』を読みながら『性の進化論』を読んで以来考えていたことと重ねた。恋愛や結婚の文脈でも、妊娠や出産においても、セックスに絡ませて過剰なストーリーがつくられ、それが社会の根底にあることを考えた。

そして次はトランスジェンダーについて考えてみたいと思って、周司あきらさんと高井ゆと里さんの著書『トランスジェンダー入門』を読み終えた。その前に『トランスジェンダー問題』も読んでいたけど、さまざまな問題の事例に触れることができたものの、基礎知識が整理されているわけではないので面喰らってしまった。さらにイギリスをはじめ海外の事例が多いので、(注もしっかりしているものの)知らない単語は頭に入りにくかった。だから『入門』はありがたかった。

自分は「男らしさ」というプレッシャーが嫌だった。でも、男であるから公共のトイレに行くのも困らないし、(最近は違和感をもつものの)書面での男女の記入もできる。旅行へ行くことを想像してみると(し切れないけど)トランスの方の不自由さ、立ち止まらなければならない場面が多いだろうことがわかる。でもなぜ明確に男女に分けなければならないのかと考えると、それはそういうものだからとしか言えないのではないだろうか。

セックスして子どもができて家族になって、みたいなことは男女を明確にした社会設計だからだと思う。子どもを社会が育てる方向にしていくならば、所有や責任に基づいた家族ではないかたちを模索していくのが良いと思う。そうすれば男女のこだわりは減っていくと思う。誰でも性別を変えられる可能性のある社会、あるいは性別を問わない社会を考えていくためにもトランスジェンダーが抱えている問題を知って考えることは重要だと思う。少なくともぼく自身はこういったジェンダーの問題が話題になっていることに明るさを感じている。


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