最近の記事

『トランスジェンダー入門』_日記20230816 

ジェンダーの問題がやっと注目されてきたものの、あまりそう言った本を読んでこなかった。元々、自分が男だけど体育会系のノリや男らしさが嫌いだった。ここ数年は男社会を考察する本は読んできた。印象的なのは男が男を痛めつけることを描いた澁谷朋美さんの『日本の包茎』や尹雄大さんの『さよなら男社会』だった。男だけの中で過剰に優劣をつけることの傷を負う。そして社会制度上弱い立場(に仕立て上げた)の女性たちに対してさまざまなハラスメントすることでその傷を誤魔化す。そういった傷の連鎖を減らすため

    • 日記20230806

      犬を飼う夢を見た。たぶん柴犬の子犬でとてもかわいかった。どこにでもオシッコをしてしまうので、トイレを覚えさせねばとしているところで終わった。もうひとつは自分が高校生なのか社会人なのかわからなかったけどどこかで健康診断を受診してから投稿or出社するという夢で、どうやら健康診断と会社or学校が真逆の方向にあって、しかも始業時間には遅れてはいけないという酷な設定でとても焦らされた。おかげで気分悪く目が覚めた。学校や会社が出てくる夢が良かったことはない。きっとそれだけ自分のキズになっ

      • 家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった_日記20230804

        昨日は一番やりたい仕事が捗らず、事務的なことを挟みながらやり過ごした。集中したいことに集中できないと眠気も出てきたりして、ダメ人間な気がしてくるけど、それはそれで仕方ないか。そんな時はドラマでも観てしまえ、となった。 うちはテレビがないのでリアルタイムでは見れなかったけど、NHKオンデマンドで『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』を観終えた。 すごく面白く観たのだけど、何が良かったとひと言では言いあらわせない。このドラマを知ったのは文化放送で大島育宙さん紹介

        • さらば、わが愛 覇王別姫 日記20230803

          以前から気になっていた映画で、配信もなかったから忘れていた。文化放送「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」で大島育宙さんが、4Kリストア版を紹介していたのを聴いて公開されていることを知った。調べてあら近くの映画館でも観れることがわかってこれは運命だとすぐに予約した。 主人公は京劇のスターふたり、女方の程蝶衣と男方の段小楼。このふたりを通して清朝→日本→国民党→共産党と支配者が変わっていく激動の時代をみていく。日本の日の丸、現在は台湾の旗になっている国民党の赤と紺の旗、共

        『トランスジェンダー入門』_日記20230816 

          総合と平均:日記20230728

          最低賃金の全国"平均"を1,000円にするというニュースがあった。そもそも低すぎるのに最低1,000円の目標設定くらいできないのだろうか。それはそうとして平均とか総合みたいな言葉が頻発されているような気がする。正確にいうと、誤魔化したり曖昧にする意図でミエミエな使い方が頻発されている気がする。そんな状況が続いてなんだか頼りない政治や政府のイメージが膨らんでいく。 それはそうとして、自分は己の身体をどう感じているのかと立ち止まってみると、平均や総合で表現していると思う。 少

          総合と平均:日記20230728

          日記20230726

          日記を書いてもどうせ続かないのだけど、書くことへの憧れはいつもあるので、たくさん書いてみたいという願望もあるので、とりあえず書いてみようと思う。 書いてみようと思うなんていうのが人に対して書こうとしているのも気に入らない。どうせ読んでもらうことなんてないのだから、勝手に書けば良いのだから。 ジリジリと暑い夏、暑いというより熱いに夏、それでも休みの朝はジョギングに行く。熱帯夜のあとだから、すでにもう暑いけど走る。Apple Watchでラップタイムを確認しながら走るけど、体力

          日記20230726

          『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』アンジェラ・チェン

          『性の進化論』を読んで以来、セックスに関わる社会の仕組みと人間の身体との間に齟齬があると思っていた。すごく端おると、人間の男性の精巣やペニスのサイズがボノボのそれに近いことから、人間のセックスがボノボのそれに近かったといわれる。ボノボのそれはどんなだったかというと、挨拶のように性行するのだった。それは日常的であることであり、さらに乱婚型のコミュニティということになる。母親こそ明確であるものの父親はわからず、その代わりコミュニティで子育てを行うので、オスは全員の子の父親になる。

          『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』アンジェラ・チェン

          『ほんのこども』

          『ほんのこども』町屋良平 講談社 この小説はなかなか読み進められなかった。とても緻密な文章で描写の解像度が高く、かなり深く内省したり、哲学的でもあった。そしてなによりそんな細かな描写の一方で、意図的に曖昧にして読者は宙吊りにされ、距離感を操られているような気分にさせられる。 町屋良平の私小説、と思われる流れがはじまる。生い立ちから最近の創作活動に至るまでを振り返り、最近のかれはどんな評価がなされて、それをかれ自身がどう考えているか、赤裸々に綴っているかのようだった。その後読

          『ほんのこども』

          ゾンビを見る視線

          【 WORKSIGHT 18 われらゾンビ We Zombies 】WORKSIGHT編集部 学芸出版社 ぼくはゾンビ映画をあまり見ていない。だからゾンビについて考えることもなかった。不死身の肉体が迫ってくる恐怖、噛まれたら自分もゾンビになってしまう恐怖、逆に彼らを叩きのめす爽快感みたいなのがあるのだろうか。 品川駅のコンコースを歩くサラリーマンがゾンビのようだと話題になった。その光景は海外からの人々の観光スポットにも客のなっているらしい。職場へと向かうたくさんの人たち、無

          ゾンビを見る視線

          食の記憶を辿りたくなる『オールド台湾食卓記』

          『オールド台湾食卓記ーー 祖母、母、私の行きつけの店』 洪 愛珠・著、 新井 一二三・訳 筑摩書房 2022 ★1 台湾料理をもっと知りたくて読み始めた。食べたことのない料理も、知っている料理や食材の新たな側面ををみる。想像したり、想像もできないことも楽しい。期待が膨らむ。 ぼくが驚いた台湾料理に肉圓(バーワン)という温かい饅頭のようなものがある。表現しようのないので少々失礼な表現になってしまうけど、ミンチ肉の餡を包んでいる生地が片栗粉を入れ過ぎてしまったときの半透明のド

          食の記憶を辿りたくなる『オールド台湾食卓記』

          性と恋愛、ジェンダーの(不)自然?

          『IWAKAN volume 05 (不)自然』REING 前号04で初めて購入した『IWAKAN 』、内容とデザインに圧倒され、05も購入しました。どの記事も写真も好きですが、今号ですごく揺さぶられたのが関根麻里恵さんのコラム『Love? Friendship? What the fuck!!』と、それに続く関根さんと中村香住さんの対談『わたしたちの「クワロマンティック宣言」』でした。ぼくのジェンダー感をアップデートしてくれました。 ★ 1 ★ 性的指向と恋愛指向は別

          性と恋愛、ジェンダーの(不)自然?

          『優しい地獄』を何度も歩いてみる

          『優しい地獄』イリナ・グリゴレ 亜紀書房 2022 イリナさんはルーマニアから日本へ来た。1989年まではルーマニア社会主義共和国だったから、社会主義も社会主義から切り替わりも、資本主義への移行も経験している。多くの社会主義国家は失敗したとされている。いまでは赤狩りとまでは行かないけれど、当然の帰結とばかり過去のものとしたり、社会主義と聞いただけで拒否反応を示す人もいる。その一方で、改めてコミュニズムに可能性を見出そうとする人も出てきた。今年の正月のNHK『欲望の資本主義』

          『優しい地獄』を何度も歩いてみる

          『私たちはなぜ犬を愛し、豚を食べ、牛を身にまとうのか』 …肉食主義とは何か

          『私たちはなぜ犬を愛し、豚を食べ、牛を身にまとうのか』 メラニー・ジョイ著 玉木麻子訳 青土社 ★ 1 ★ 肉を食べたいと思うことは少なくなりました。木綿豆腐や厚揚げでも満足することが多くなりました。それでも唐揚げも好きだし、刺身も好きだし、バターや卵の入ったお菓子も好きです。なぜ豆腐や豆料理だけでは満足できないのでしょう。ヴィーガンメニューは、他のメニューと比べれば旨味や香りに物足りなさを感じてしまうのは正直なところです。でも、動物性の食材を美味しいと感じることが自然な

          『私たちはなぜ犬を愛し、豚を食べ、牛を身にまとうのか』 …肉食主義とは何か

          本当に『さよなら、男社会』したい。。。

          先日こんな場面に出くわした。ある男性上司が女性の部下に指摘をした。社内Slackの発信がちょっとしたトラブルになったからだった。男性のちゃんとやっとけとよ、といった言い草に女性はカチンときた。彼女は確認をとってから投稿したにも関わらず、トラブルの落ち度はあなたにあるかのように指摘されたことが我慢ならなかった。 この女性はかなり弁が立つ。自分の伝え方にも非はあるものの、あなたにも非はあるということを明確に問い詰めた。はぐらかしと問い詰めの応酬が続いた。上司は言い淀みはじめ、語気

          本当に『さよなら、男社会』したい。。。

          B Corp に惹かれ、何ができるだろう

          気になって『B Corpハンドブック よいビジネスの計測・実践・改善』を手に入れました。多くの人は、どうしたらうちの会社もB Corp認証が取れるか、に関心があると思います。その中には、ぼくのように関心を持ちつつも縁遠い人も多いのではないでしょうか。以下は、B Corpに向けた実践というより、ぼくはなぜ気になるのか?ぼくの生活や働き方にどう落とし込むことができそうか?など、つらつら考えたことです。 ★ 1 ★ B CorpのBはbenefitのBです。お客、社員、地域、環

          B Corp に惹かれ、何ができるだろう

          ドゥルーズの入門書を読んでよかったこと

          千葉雅也さんの『現代思想入門』を読んで思ったのは、現代思想がこんなに身近だったんだ、ということでした。現代思想や哲学の普遍的な問いへの興味が定期的に訪れるのです。学生の頃から積読し、たまに読む、そんな繰り返し。面白いけど、日常と接続が見えなくてあまり続きませんでした。 哲学には芸術や宗教のような憧れがあります。ぼくは自分で哲学することはせず、偉大な哲学者たちをそのまま理解しようとしました。とりあえず知識として頭に入れるものと思っていました。入門書で哲学の解説を読んでも、図式

          ドゥルーズの入門書を読んでよかったこと