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人生学び続ける祖父

祖父から小包が立て続けに2度届いた。
「書類を送りますので参考にしてください。ゴミも入っていますのでそれは捨ててください」と電話口で言っていて、冗談だろうと思っていたら、本当にゴミが入っていた。
ゴミというのは私が無情な孫なわけではなくて、訪問販売お断りのシールなんかが5枚も入っていたのだ。
(私が今住んでいるところに訪問販売なんてしに来る人がいたら、よほど行き詰まってるんだろうなって同情してしまう)

祖父は昔から、「新聞の切り抜きをするのが好き」な人だ。
本人は勉強しながら役に立つと思ったことを取って置いてるんだろうが、中身をよく見たこともない私は、「まめな人だなあ」くらいにしか思っていなかった。

私が会社を辞めて次の道に進むと言った時、他の家族と同じように祖父も反対した。
でも頭から否定するのではなく、まず私の考えを聞いて、その考えを尊重しながらもその会社で働き続けられる方法を提案してくれた。
「CSR室なんてのがあるよ、地方創生に取り組んでいるみたいだよ」などという風に。
結果的には、その案は私を納得させるには到底及ばなかったので(生意気にも)、聞き入れずに終わった。

今回届いた小包の中には、SDGsについての新聞記事の切り抜きや、低炭素社会検定のテキストが入っていた。
きっと私が話の中で、自然がとか環境がとか言ったのを聞いて、祖父なりに興味を持って勉強してくれたんだろう。

もう70歳も超えているのに、新聞の切り抜きをノートにまとめていたり、大学の特別講義を聞きに行ったり、シンポジウムに行ったり、学ぶことをやめない人なんだな、と感心した。

大学の教授に、25歳で人の思考は固まってしまうから、それまではスポンジになってとにかく学びなさい、と言われた。
25歳をとっくに過ぎた祖父の姿勢には、尊敬するものがあると、そう感じるようになった。

「長期休暇で帰省するときには、考えを聞かせてほしいので来てください」とメッセージが添えられていた。

祖父ととことん語り合おうと思った。祖父を納得させられるくらいに、私も勉強しないとな。

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