哲学ダイアグノーシス_-_コピー

note版 哲学ダイアグノーシス 第九号 デカルト

<note版>

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<哲学ダイアグノーシス>

第九号 デカルト


皆さんは『ブレードランナー』(原題:Blade Runner)という映画をご存知でしょうか。1982年に公開されたアメリカ映画で、最初に公開されたオリジナル版以降もいくつかの異なるバージョンが公開された、熱狂的なファンの多い映画です。原作はフィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(原題:Do androids dream of electric sheep?)、監督は『エイリアン』や『ブラック・レイン』など独特な世界観で知られるリドリー・スコット、主演は『スター・ウォーズ』シリーズや『インディ・ジョーンズ』シリーズで有名なハリソン・フォードです。2017年には実に35年ぶりに続編『ブレードランナー 2049』が公開され、話題となりました。

この映画は、重大な哲学的問いを含む作品です。たとえば劇中、登場人物……いや、厳密にいえば「人間」ではないので、登場「人物」といってはいけないのかもしれませんが(笑)、ある言葉を言うシーンがあります。

我思う、故に我在り。

これは、R・デカルト(René Descartes、1596年~1650年)の言葉です。デカルトの哲学については、以前、フロイトについてお話した際に、ご紹介しましたね(詳細はバックナンバー第三号をご参照ください)。今回は、デカルトのこの言葉に含まれる問題について、『ブレードランナー』の中でこの言葉が持つ意義をヒントにしながら、お話します。

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