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『ゴジラ-1.0』観てきました

遅ればせながら、『ゴジラ-1.0』を劇場で観ました。とても良かったです。やはりこの手の映画は劇場に限ります。迫力が違います。

見終わった第一印象は「ゴジラは人間の愚かな欲の象徴だ」ということです。

ゴジラの破壊は戦争の破壊と同じです。ゴジラが銀座で暴れてビルを破壊するシーンとウクライナやガザの街がミサイルで破壊されるシーンが重なりました。時代背景が戦中戦後なので、いっそう考えさせられました。

ゴジラはもともと、深海で生き延びていた約1億4000万年前の恐竜だった。 それが度重なる水爆実験によって眠りからさめ、水爆エネルギーを全身に充満させた巨大怪獣となって人類に襲いかかるのであった。 この怪獣は、最初に姿を現した大戸島の伝説によって「ゴジラ」と呼ばれた。

長谷川賢二のページ

私は1957年生まれです。子どものころ戦争の影は残っていました。父も母も空襲の体験がありました。ごくたまに戦時中の話をしました。

ちばてつや先生の『紫電改のタカ』や横山まさみち先生の『人間魚雷回天』など戦争ものの漫画を読んで、戦争の悲惨さに慄いていました。

弘前公園の桜祭りでは傷痍軍人の方がハーモニカを吹きながら寄付を求めていましたが、子供心には恐怖を感じたものです。

米ソの冷戦は第三次世界大戦、核戦争の恐怖をいつも抱かせていました。だからソ連崩壊とベルリンの壁崩壊にはこれで第三次世界大戦、核戦争の恐怖から解放されると喜んだのでした。

しかし現実には戦争や紛争は終わらず、なんとか世界大戦の危機は乗り越えてきていますが、グローバル時代と言われても、世界が一つになる事はなく、昨今はまたナショナリズムが台頭してきていて、新たな不安が生まれています。

そんな時代に『ゴジラ-1.0』が欧米でヒットしているのは意味深いと思います。

『ゴジラ-1.0』は生きる勇気と力を教えてくれました。人々の叡智でゴジラは倒されます。

VFXの映像はワクワクし、伊福部 昭さんの初代ゴジラの曲は心に響きます。

YouTubeでインタビューや取材を興味深く観ました。ホイチョイ・プロダクションズの馬場康夫さんと山崎貴監督との対談での撮影の裏話や、テレ東のWBSの取材が面白いです。

『ゴジラ-1.0』は『シン・ゴジラ』の真逆をやったのだそうです。シン・ゴジラの官に対して民。陸に対して海。集団のドラマに対して個人のドラマ。なるほどなぁと思いました。

子役の永谷咲笑(さえ)ちゃんが名演でした。撮影当時は2歳だったそうです。撮影は皆さん苦労したようです。

VFXチームは主メンバーが35人で、特に若者が活躍。20代の野島さんは海のシーンにこだわり、5ヶ月間ずっと海のVFXを作っていたそうです。1カットのデータ量が5テラバイトと半端ないのです。そういう若い人の才能を引き出していく山崎監督は素晴らしいですね。野島さんはアカデミー賞の授賞式にも参列していました。

山崎貴監督の人柄が良すぎてファンになりました。今は YouTubeでこういうコンテンツが観れるのはファンには最高ですね。

さっそく山崎監督の『アルキメデスの大戦』をAmazonプライムで見ました。冒頭不沈艦戦艦大和が沈没するシーンのVFXが圧巻でした。これもまた先の大戦が題材の映画です。

「追い詰められた時、戦争をしないという選択を国民は許してくれない。人々は日露戦争の勝利に未だ酔いしれている」

「日本の憑代(よりしろ)となる船『ヤマト』」

という台詞が印象的でした。

改めて『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズも見直したいと思います。

●思想としてのゴジラ/徳島県立博物館及び徳島県立鳥居龍蔵記念博物館 長谷川賢二のページ
https://museum.bunmori.tokushima.jp/hasegawa/manyu/godzilla.htm#

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