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アウシュビッツ、知りたかったら行けば良いよ。

ある人が最近「アウシュビッツは捏造だと思う」と発言し、それに対してポーランドにあるアウシュビッツ記念館が公式に忠告の返信をした件が話題になっていた。僕は2018年の秋にたまたまこのアウシュビッツ記念館を直接訪れる機会があったので、少し発言させてもらおうかと思う。

自分の目で直接見たものしか信じないというつもりでなるべく生きている。言うは容易いがこの世の全てを見ることは不可能だし、ましてや過去に起こった事を自分の目で確かめることは決して叶わない。でも、どこかに物的記録が保存されているのであれば、判断の精度を上げるため、それを自分の目で確認しに行くことだったらできる。ポーランドにはそれが存在する。

人類は時に何故こんなにも残酷で非道になれるのか、そして何故それを繰り返すのか、という事を一度でも考えたことがあるならば、このアウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館は訪れておくべき場所の筆頭にあると思う。それで何か結論が出るとは限らないけどね。

アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館はポーランドにある。ここへ行くには、ポーランド南部のクラクフ(Kraków)という古都に滞在し、そこから現地ツアーで行くのが良い。クラクフという街はそれ自体すごい観光地で美しいので、普通の海外旅行気分で気楽に行っても良いと思う。日本からだったらヨーロッパ主要都市から乗り換えれば1~2時間で到着できる。クラクフからアウシュビッツまでは車で片道一時間余り。一般的なツアーであれば、基幹であった第一収容所とその後建てられた最大敷地面積を誇る第二収容所ビルケナウの両方にガイド付きで連れて行ってくれる。日本人ガイドの方も一名いらっしゃるそうだ。

アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館は想像以上に観光地化(と言って良いのかわからないが)されていて、大型バスが何台も並び、何百人もの来訪者があった。人にもよるのかもしれないが、僕の参加したツアーのガイドは感情的になったり偏った私見を述べることもなく、淡々と、確認された事実のみを説明してくれた。ここには未だに収容所で当時起きたことを追調査する研究チームがいて、調査を続けていると聞いた。正確な数字は揺らいでいるものの、アウシュビッツでは100万人以上が亡くなったと言われているので、その調査はおそらくいつまでも終わることはないだろう。

ツアーでは様々な施設や資料をくまなく見せてくれる。有名なガス室の中にも入ることができる。写真撮影はほぼ自由だが、普通の観光地みたいにあまりたくさん撮影する気分にはならなかった。それは自分なりの哀悼の意だったかもしれない。

僕がどう思ったかは詳しく書かないでおくが、やはり行く前と後では、かなり自分の理解が変わったように思う。

短く言うならば、これは他人事では決してないこと。自分だって場合によっては加害者にも被害者にもなり得ること。それを踏まえて、どう生きていくか。そういう思いを強くして帰ってきたという事は、最後にお伝えしておきたい。

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