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【そろそろ終盤】アンソロジーとは対バンライブである。

宣伝してきた本が事実上発売されたので、そろそろこのシリーズもまとめに入ろうかと思っている。

文芸誌「棕櫚」はいわゆる「アンソロジー」である。一冊の本が大勢の作家の作品で成り立っている。したがって、個々の小説作品はおよそ20〜30分もあれば読み終えるほどの短編が中心となっている。同人誌とも呼ばれる。そして

アンソロジーとは、対バンライブである。なんか急にすいません。

僕はもともと小説よりも先にインディーバンドで音楽をやっているのでこうなる。一応馴染みのない方のために説明すると、インディーのライブというのは一晩に複数のバンドが出演する「対バン形式」と呼ばれるイベントが一般的で、だいたい各バンドの演奏時間は30分というのが定番である。殆どのグループは頻繁にワンマンを開催して会場を満員にできるほどの集客力が無いから、というのがその事情の主たるもの。そのため多くのミュージシャンは、主催イベントと称して音楽性が近かったり互いに認め合った実力を持った出演者を4〜5組ほど集めて、対バンライブというものを行う。

しかし、お客さん目線で考えた場合にいつも課題となるのが、チケット料金と演奏時間の兼ね合いによるお得感、俗に言うコストパフォーマンスである(あまりこれ好きな言葉では無いけれども)。

東京都内のインディー界隈であれば、ライブハウスへ入場するにはドリンク代を含めて平均的に三千円ほどかかる。これは、もしも単一の出演者だけが目当で入場した場合、たった30分の演奏のために三千円の費用がかかるという事。果たしてこれ、内容に見合ったものなのだろうか。多くのインディーミュージシャンが一度は悩む問題だと思う。いや悩まなければならない問題だと思う。この問題は定期的に界隈で議論になったりもする。自分も何度も考えたし、何度もメンバーとも議論を重ねた。

最終的に、僕の答えは、こうだった。

自分の演奏を目当てで来てくれた方々へ、自らの限られた時間での演奏を聴いてもらって「来てよかったな」と思ってもらう。そのために力を尽くすことを諦めない。

 更に

他の出演者も時間の許す限り観ていってもらえたなら、全体的に楽しかったし、むしろお得なイベントだったな、と思ってもらう。そのために気を配ることを諦めない。

さて、アンソロジー文芸誌「棕櫚」の価格は1,000円。
ブッキングは、作家でありマルカフェの中の人でもある、中川マルカ氏である。

そんなわけで、僕は棕櫚に小説を書かせてもらう時も、対バンライブの時と同じ気持ちで作品を出させてもらっている。僕の作品は読んでもらいたいが、全体的にも楽しんでもらえたならとても嬉しいです。

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