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君の物語 9 膝の上

猫は膝の上が好き。
いやいや、ルゥは絶対に乗ってくれない。
唯一乗るのはムギの膝。
〈猫が膝から降りてくれなくて足が痺れた〉なんていう幸せな猫あるあるは、私には無縁のもの。
膝どころか抱っこもさせてくれないし。
手を伸ばすと〈ちょっとやめてくれませんか?〉と迷惑そうにするりとかわされる。
嫌がるものを無理矢理抱き上げるような、野暮なことはしたくない。

それから、猫は隙間に入るのが好き。ルゥも〈よくそんな場所を見つけたな〉と驚くような隙間に収まっていることがある。
たまに変な所に入り込んで出られなくなってしまうことすらある。そんな時はムギを呼びに行くしか手立てがない。
私が救出しようと手を伸ばしても〈なんだよ、なんなんだよ?〉と、ただ戸惑った顔をされるだけだから。
ムギになら大人しく引き上げられてくれるのに。

私の膝や伸ばした足に乗ってくるときもあるにはある。
けどそれは踏み台として。
または通り道の障害物として。
きっと家具みたいなものなんだろう。

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