桜島

会いたい景色

あの頃は、毎日見ていた桜島。
穏やかな群青色の海にそびえる堂々たる山肌。
一番の中心地からも望める凛々しい山頂。
外に出れば、窓を開ければ、顔を上げれば、
楽しい時も、嬉しい時も、悔しい時も、悲しい時も、
いつも当たり前に、そこに存在していたあの山。
もう何年、あの山に会っていないのだろうか。
都会の高層ビル街を歩きながら、ふと顔をあげる。
ビルの間から見えるのは、ひたすらに続く他のビルの連続と狭い空。


気が付けば、航空券を予約していた。
意気揚々と窓側席から外を眺める――
…はずだったのに気が付けば着陸の振動で揺り起こされる。
やれやれ、なんてこった。
伸びをしながら空港に降り立つ。
ああそう、この空気だ。
空港から市内行きのバスに乗り込む。
もちろん窓側の席に、今度こそは、と。
遠足に行く小学生のように窓に顔を寄せるアラサーなんて
きっと滑稽に見えるだろう。
それでもいい。
僕は今、無性にあの雄大な姿に会いたいんだ――


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