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【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第7話

「こんな話、誰も信じる訳ないよね」
「そうね」
 再び風の森へと戻って来た、悠生と久深。
 彼は肩に掛けたバッグからカメラを取り出して、セッティングを始めた。

「今でも数年に一度、風吹橋を見かけたという情報が寄せられているらしい」
 地元の観光局に問い合わせた内容を、彼女に伝える。
「良い写真をフレームに収めて、次のコンテストで最優秀賞を狙う。君のお兄さんが受賞作品を見れば、必ず戻ってくるさ」
 まさに一石二鳥、と鼻唄交じりで機材を組み立て始めた悠生に、久深はポツリと呟いた。
「……優しいのね」
「ん?」
「他人事なのに、どうしてそこまでしてくれるの?」


「……瞳」
「ひとみ?」
 聞き直した彼女に、悠生はアカンベエの格好をして言った。
「浅緒さん、いい瞳してるじゃない。夢を追っている者同志、助け合うのは当然だよ」
「あ、ありがとう」
 少し的を外れた回答だったが、久深は感謝の意味を込めて、深く頭を下げる。
 彼女の耳に、ポツリとした呟きが聞こえて来た。

「……同じ思いをさせたくないし」
「え?」
「何でもないよ」
 優しく微笑む悠生。
 彼女の瞳には、その笑顔が何故か哀し気なものに映っていた。

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