見出し画像

【小説】(最終回)「twenty all」231

「なーに、二人だけの世界を作ってるんですかぁ?」

 道場の中から、静香がニヤニヤと笑いながら茶々を入れる。
 自然と見詰め合っていた空良と佳乃は、慌ててパッと離れた。

「何でもないよ。それより、今夜の射初め射会の準備は出来たのか?」
「心配しないで、もうバッチリよ!」
 観月が、ドンと胸を張って頷いた。

「だからソラ君、礼配で二本とも外すんじゃないわよ。縁起が悪いからね」
「バカ言うなっ!」



 9月のはじめ、
 最終的に、文化センター弓道場の社会人メンバーまで巻き込んだ射初め射会は、夜更けまで続いた。




『弓道場を建てたい』

 河上里香
 国府田空良

 二人の部員が、この想いを胸に抱いて駆け抜けた物語は、ここで幕を閉じた。



 そして、

 この場所から、また新しい「ものがたり」が始まる・・・




【twenty all】 了

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?