【小説】「straight」096
「部長のねーちゃん、やるじゃないか!」
モニターを見た営業課長は、柚香の活躍に飛び上がって喜んだ。
「このまま、いきそうだな」
稔流も、二本目の葉巻に火をつけて、満足そうに頷く。
「さすがは元駅伝選手、いい指導をしている」
「ええ、これで仕事の方も頑張ってくれると、言う事無いんですがね」
彼女達を鍛える為、悠生が自分の仕事時間を割いていた事を思い出した課長は、ふうっと溜め息をついた。
「ところが、そうでもないんだな、これが」
「は?」
言葉の意味が分からなかった課長は、稔流に説明を求める。
それには答えない代わりに、彼は一冊の冊子を手渡した。
「今大会の要項だ」
稔流は一瞬、謎解きを出題する子供の様な表情をして言った。
「最後の頁を見てみろ」
「は、はい」
課長は慌ててページをめくった。
そこには、大会を運営する上での協賛者・団体が記載されている。
「次はメンバー表」
冊子の中程、出場選手名簿の中から、桔梗女子学園を捜し当てる。
「何か、感じないか?」
稔流に促され、それを見比べていた課長は、「ああっ!」と叫んだ。
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