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【小説】「twenty all」226

 夏の暑い日の、昼下がり。

 河上里香の告別式には、多くの人が哀しみと共に列を成していた。



 難しい漢字が羅列された、聞き覚えの無い難病に罹った彼女は、
 3か月間の闘病生活の末、帰らぬ人になってしまった。




 粛々と葬儀は進み、出棺の時間となった。
 彼女の入った棺を抱えた者の中に、空良の姿もあった。

 散々泣き腫らした後のような顔をした彼は、全ての感情を押し殺して、棺を持っている。
 やがて、霊柩車は斎場へと向かって行った。



「空良君!」
 参列者達が散開し始めた中、人ごみを掻き分けて木全義輝が、空良の元へやって来た。

「大変だったね、何て言ったらいいのか・・・」
 最愛の後輩の死に、彼自身も烈しく狼狽している。

 彼の隣には、同い年位の女性が付き添っていた。
 広田梨緒と名乗った彼女は、空良の手をスッと取った。

「リカちゃんが世話になったんだってね、ありがとう」
 梨緒は、涙を流して空良にお礼を言った。
「あのコ、しっかりしてそうに見えて、人一倍寂しがり屋なトコロがあったから。空良君みたいな後輩がいて、きっと嬉しかったと思うよ」

「ありがとう・・・ございます」
 空良は、二人の先輩に深々と頭を下げた。




 告別式が終わり、
 夢遊病者のような足取りで駅に向かっていた空良を、一人の女子生徒が呼び止めた。

「空良君」

「・・・安崎さん」


 彼の前には、橘女子高校の安崎亜紀子が立っていた。

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