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半側空間無視を呈する患者の評価とADLについて~論文紹介~


参考文献

前島 伸一郎, 半側空間無視を呈する患者の評価とADLについて, リハビリテーション医学, 1996, 33 巻, 8 号, p. 537-540, 公開日 2009/10/28, Online ISSN 1880-778X, Print ISSN 0034-351X,


はじめに

半側空間無視は劣位半球損傷患者の予後を左右する因子として知られている. 本稿ではリハの立場から半側空間無視を呈する患者に行うべき評価やADLにおける問題点について述べる。

半側空間無視の評価について

・半側空間無視の評価に際しては、机上テストだけでなく生活場面での観察を行うことが重要である。
・無視側にいる介助者に気づかないことや食事の際の片側の食べ残し、
 患側手が体の下にあっても気づかない。
・訓練が開始されると、無視はさらに明確となる。
・車椅子のブレーキ忘れ、歩行時に身体を壁にぶつける、着衣で片袖を通さないなど。
・転倒や骨折などの合併症を伴うことがあり、病院生活を長期化させる原因ともなりうる。

半側空間無視の経過とADLの検討

 脳出血患者について半側空間無視の経過とADLを検討した
 <結果>
 出血量が30m1まで:一過性で消失
     40ml超える:残存するものが多い
     70mlを超えても消失するものがある。
     ただし、年齢がいずれも50歳以下であった.
・半側空間無視が残存するものはADL到達レベルが悪かった.
・慢性期での検討:USN患者ではADLが自立に達しないことが多かった。
・すなわち、USN患者のADL到達レベルは決して高いとはいい難い。
・しかし、半側空間無視だけが単独で影響しているのではなく、重度の麻痺  
 等の劣位半球症状を伴うことにより、更にADLの低下をきたすようである

おわりに

半側空間無視という症候を興味本位でみるのではなく、
片麻痺患者に付随する障害の一部分症状として評価するべきであろう。

結論

・半側空間無視患者はADLが自立しにくい要因となりうると考えられます。
・責任病巣としては、側頭葉・頭頂葉領域と考えられてきましたが、最近で 
 は前頭葉や連合・交連線維なども関与していると考えられています。
・頻回に出会う障害でもあり、詳しく調べて対応したいですね。
・半側空間無視に関しても、連合線維の記事のようにまとめていきたいと
 思います。

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