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中小型株派への盛大なる応援歌 〜清原達郎「わが投資術」〜

自分も投資を始めた当初は、その手軽さから、10万円前後で買える銘柄が多い中小型株を中心に取引していました。しかし、実際に経験を積み重ねながら色々と投資のことを勉強していくうちに、大型株や多少割高でも成長株を推奨する意見が多く目について、だんだんとそちらの方へシフト。それでうまくいったものもあれば、うまくいかなかったものもあるのですが、人気銘柄ばかりを追いかけていると「買っておけばよかった〜」と後悔することが多くなり、ちょっとずつ自分の軸もブレ始めていました。

そんなタイミングで出版された「わが投資術」を読んで、やっぱり最初に中小型株に目を付けたのは間違っていにゃかったんだと勇気付けられました。中小型株を中心に800億円もの個人資産を築いた著者の清原達郎さんならではの経験と、数学的なアプローチに裏付けられた運用哲学が詰まっていて、モヤモヤとしていた疑念がとっぱわれました。

主なポイント3つ。

  • 「Counterintuitive(直感に反する)」、常識を疑うことが投資の第一歩

  • 「ネットキャッシュ比率」が割安かどうかの基準

  • 「ベイジアン的発想」でアイデアを強固にしていく

「ベイジアン的発想」というのは、「新しい事実を取り入れて、もともとの自分の考えを調整していく」考えで、それを様々な確率論の例を出しながら説明されている部分などはこの本の真骨頂だと感じました。

また、小型株の成長性は「経営者が9割」とも述べられていて、ただ単に割安で放置されている株を買ってしまうバリュートラップにかからないための鉄則も非常に参考になります。6つ挙げれていたのですが、その中でも特に、「成長によって将来のマーケットを先食いし、潜在的なマーケットを縮小させていないか」という視点は意識したことがなかったので、とても新鮮で参考になりました。

当然、中小型株をやれば誰でも儲かるというわけではないでしょうけど、いち早く情報をキャッチしたり、人が群がっているところに入っていくことが苦手な人、流行りを追いかけて、いわゆる”イケてるグループ”と一緒の行動を取ることに違和感を覚えるようなタイプの人にとっては、割安中小型株というジャンルは非常に相性がいいのではないでしょうか?

どうしても大型株の下位互換的な目で見られがちな割安小型株ですが、大型株にはにゃい優位性もあるのだということが理路整然と語られていて、個人投資家への盛大な応援歌のような一冊となっています。

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