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介護の現場よ あれは私の未来の姿

昨年の某月、実習のため、ある特養に1か月間通いました。

今回は、その特養で暮らす利用者さん(以下、Aさん。
フェイクあり)について書いてみようと思います。

「先生、わたし、もうここを辞めたいんです」


「だからお願いします。帰らせてください」

Aさんに突然こう話しかけられて、驚きました。

先生…?
辞める…?どういうこと?

狼狽えていたら、別の職員の方が代わりに対応してくださいました。

Aさんは認知症で、特養で暮らすうちに
施設を職場だと思ってしまったようです。

そして、実習生である私を、
職場の指導者だと思ったようです。


わたしは機転の利かない実習生だったので、
「え?」と言ったまま固まってしまいました。
後悔。

皆さんなら、どう返しますか?
「ここは職場ではないよ」と訂正しますか?

帰宅願望場面に遭遇するのはあるある


わたしにとっては驚きの展開でしたが、
認知症ではよくある事のようです。

少々胸が痛みますが、出られないように
出口に障害物を置いたりする施設もあるそう。

施設から出たところで、鍵もなければ、家すら
そもそもないこともあるようで。
危険だから、施設から出ないように見守る。

では一方で、

「帰宅したい」という願望はなぜ生まれるか?

これは介護や福祉の現場にいる人にとって、
重要なテーマの一つだと思います。

利用者さんのウェルビーイングにつながりますからね。

帰宅願望の原因や理由としては、認知症の中核的な症状が影響しています。

<短期的な記憶の障害の場合>
自分のいる場所がわからない
周りにいる人がわからない
居心地が悪くて落ち着かない
行きたいところがあるけど行き方がわからない
自分の部屋がどこかわからないなど

<認知症の中核的な症状>
見当をつけることが難しかったり、判断力が低下していたりすることによる不安やあせり、孤独感、恐怖、落ち着かなさなど

<対応>
不安を緩和して、帰りたいという気持ちを和らげます。
 帰宅要求の頻度が減り表情が和らぐこと、不安や焦り、恐怖などを緩和し、心理的に安定してくれば少しずつ帰宅願望は少なくなってきます。

https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/228/s_h25kaigokaisetsu_04.pdf
 
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不安感や焦り、恐怖などから
帰宅願望につながっているようですね。

となると、施設に対して何らかの不満を抱いている可能性も。
居心地がよくないとか。


認知症にも種類があり、
症状も進行の仕方も様々ですが
簡単にでも知識を持っておくだけで、
対応できるケースは増えていくと思われます。

65歳以上の5.4人に1人が認知症患者


高齢になったら、きっとあなたも私も認知症。

家族や施設の方の手を借りて生きることになる
Aさんは、私たちの未来の姿かもしれない

迷惑をかけるくらいなら若くして死にたいだとか
そんなことは言いたくない
むしろお互い様だよねって思ってもらえる生き方をしたい

そして65歳になるまでに
「あー楽しかった!もうボケちゃってもいいや」
って言える人生を送りたい

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