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【映画メモ】グランド・マスター【#44】

解説は映画.comさんより

「ブエノスアイレス」「花様年華」のウォン・カーウァイ監督が初めてカンフーを題材に取り上げ、ブルース・リーの師匠としても知られる伝説の武術家イップ・マンの物語を描く。1930年代の中国。引退を決意した北の八卦掌の宗師(グランドマスター)・宮宝森(ゴン・バオセン)は、一番弟子の馬三(マーサン)と、南の詠春拳の宗師・葉門(イップ・マン)を後継者の候補と考えていたが、バオセンの奥義を受け継ぐ娘の宮若梅(ゴン・ルオメイ)も自ら名乗りを上げる。しかし、野望に目のくらんだマーサンがバオセンを殺害。ライバルでもあるイップ・マンに惹かれていたルオメイは、その思いを封印して父の復讐を誓い、後継者争いと復讐劇は複雑に絡みあっていく。出演はトニー・レオン、チャン・ツィイー、チャン・チェンら、香港・中国・台湾のスターが集結。

https://eiga.com/movie/57641/

ここで出てくる宮宝森(ゴン・バオセン)というのは、宮宝田がモデルですよね。たぶん。

で、このブログにあるように、「台湾の八極拳で有名な、劉雲樵も一時期、宮宝田から、教えを受けました。」の劉雲樵がカミソリのモデルです。で、この劉雲樵さんにも学んだ人に一時期、ほんの1~2年ですが八極拳を学んでいたことがあります。基本しかやってないので、学んだと言っていいものかどうかも悩ましいですが。

詠春拳の葉門(イップ・マン)と交流なんてあったのかな?その辺りは創作も入っているのでしょう。北派と南派の交流は、末端ではあったのでしょうけど、あんまり聞いたことがないです。

懐かしく思って、武術関係者を色々検索していたら、有名な方々が結構亡くなられてて衝撃を受けました。そのうちの何名かは若いのに・・・発勁は体を震わせるように発力するので、脳が揺れて、あまり身体によくなという話を聞いたことがあります。なので武術家は早く死ぬと。確かに、発勁を練習しすぎると頭痛がすることもよくあるので、あんまり身体によくなんだろうなというのは感じてましたが、色々衝撃でした。

さて、グランド・マスターに戻って、チャン・ツィー演じる宮若梅(ゴン・ルオメイ)の八卦掌の美しさは素晴らしいです。ちゃんと練習したんだなと分かります。もちろんトニー・レオンも。

アヘンが出てくるのですが、アヘン戦争ってこんな時代?って思っていたら全然違いました。アヘン戦争は1840年から1842年。グランド・マスターの舞台は1930年代、日中戦争の前夜という感じです。日中戦争でもアヘンは重要な役割を果たしていたんですね。

昭和12年(1937年)に勃発した日中戦争―。広大な中国で、日本は最大100万もの兵力を投入し、8年に渡って戦争を続けた。武力による戦闘のみならず、物資の争奪戦、ひいては金融・通貨面でも激しい闘いを繰り広げた。
「戦争はどのようにして賄われたのかー」。最新の研究や資料の発掘によって、これまで全貌が明らかにされてこなかった中国戦線の「戦争経済」の様々な側面が浮かび上がっている。その一つとして注目されているのが、当時、金と同様の価値があるとされた阿片(アヘン)である。

https://www.nhk.or.jp/special/detail/20080817.html

NHKスペシャルでもやられています。昭和12年ということは、「満州アヘンスクワッド」ですね。

第二次世界大戦前の満洲国を舞台に、主人公の日方勇が、ヒロインの麗華らと共に阿片の密造に手を染める姿を描いたクライム・サスペンス作品である。

あらすじ
昭和12年、関東軍として満洲国に移住してきた日方勇は、察哈爾での軍事演習中、砲撃に巻き込まれた中国人の少年を助けようとしたところ、隠し持っていた銃で撃たれ、右目を失明する。戦力とならなくなった勇は、前線から強制的に撤退され、満蒙開拓義勇軍への転属となるが、彼の母親がペストに感染してしまう。母親の命を助けるために大金が必要になった勇は、偶然にも陣内が管理している阿片芥子の栽培場を発見し、勇を口封じしようとした陣内を殺害し、商売目的で阿片を製造することを決める。その後、勇が精製した阿片を麗華が経営するアジトに持っていき、金銭交換を要求するが、麗華はその阿片に目をつけ、勇と共に阿片の製造をすることを決意する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%80%E5%B7%9E%E3%82%A2%E3%83%98%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%89

形意拳、八卦掌、八極拳に関してはかなりいい感じに描かれているので、武術ファンは必見です。今さらですが。詠春拳についてはあまり詳しくないのでよく分かりませんが、上記の北派武術がかなり良くできているので詠春拳だけ適当ということも無いでしょう。

最後に、八卦掌の「六十四手」という技が誰にも伝えられずに失われていくところは、武術愛好家としては惜しい、めちゃくちゃ勿体ない感じがしましした。せめて伝書だけでも。今なら動画だけでも!ってなります。ただ、時代や、置かれた状況を見ると、武術に限らず色々なものが失われていったんだろうな、そしてこれからも失われていくんだろうなと、寂しく思いました。

おわり


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