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【映画メモ】ONODA【#26】

偶然見ることになった映画です。解説は映画.comさんより

太平洋戦争終結後も任務解除の命令を受けられず、フィリピン・ルバング島で孤独な日々を過ごし、約30年後の1974年に51歳で日本に帰還した小野田寛郎旧陸軍少尉の物語を、フランスの新鋭アルチュール・アラリ監督が映画化。終戦間近の1944年、陸軍中野学校二俣分校で秘密戦の特殊訓練を受けていた小野田寛郎は、劣勢のフィリピン・ルバング島で援軍部隊が戻るまでゲリラ戦を指揮するよう命じられる。出発前、教官からは「君たちには、死ぬ権利はない」と言い渡され、玉砕の許されない小野田たちは、何が起きても必ず生き延びなくてはならなかった。ルバング島の過酷なジャングルの中で食糧も不足し、仲間たちは飢えや病気で次々と倒れていく。それでも小野田は、いつか必ず救援がくると信じて仲間を鼓舞し続けるが……。主人公・小野田の青年期を遠藤雄弥、成年期を津田寛治が演じ、仲野太賀、井之脇海、イッセー尾形らが共演。2021年・第74回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品。

https://eiga.com/movie/95139/

この映画を作ったのが日本じゃないというところがポイントです。日本人が作っていたら、もっと変なストーリーになっていたんじゃないかと思いました。戦争から目を逸らすような、もしくは自民党の影響を受けて戦争を礼賛するような、小野田さんを等身大に描けなかったんじゃないかと思います。

この映画では、ホントにこういう感じだったんじゃないかと錯覚するくらい、高潔で狂気をはらんだ小野田さんが描かれていました。

主人公の小野田さんが圧倒的な存在感を出しているのですが、小野田さんともう一人、イッセー尾形が演じる上官の谷口が印象に残りました。小野田さんを勧誘し、教育するときのカリスマ性を持った上官、でも終戦を迎え30年もたった後に戦争と向き合えなかった哀れな老人、この2人を見事に演じ分けていました。

小野田さんを発見したバックパッカーが、上官の命令が無いと帰れないという小野田さんのために谷口を探して訪ねていきます。その最初の出会いで、谷口は戦争から目を逸らします。自分は関係ない。知らないと。そのリアルな演技がとてもよかったです。上官であった頃のカリスマ性はなく、ただの弱い老人に見えます。

きっと、30年たっても戦争と向き合えずに、ただただ封印だけした人がほとんどだったんだと思います。谷口さんはそんな可哀そうな老人の一人だったのだと感じました。そして、ある意味では、小野田さんも敗戦と向き合えず、命令に忠実に生き延びただけでした。現実を受け入れていれば、小野田さんの戦争はもっと早く終わっていたのだと思います。

この映画、すごくいい映画なのですが、2時間経っても全然終わる気配がなくて、あれ?いつまで続くの?となって、結局3時間もありました。シンドラーのリストよりは短かったけれど・・・見るのに体力のいる映画です。

おわり


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