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博士課程の学生支援本格化の狼煙となって欲しい

日本の科学技術力低下に歯止めをかけるためには、研究者人口を増やすということも非常に大切な目的だと思っています。その為の一つの施策として、インターン支援を文科省が始めるらしい。

文部科学省は博士課程の学生の企業への就職を増やすため、有給インターンシップ(就業体験)を支援する。日本は就職難を懸念して博士課程に進まない若者が多く、博士号取得者数で米国や中国に水をあけられている。国が率先して就職環境を整えることで、研究者の裾野拡大につなげる狙いだ。

こんな具体的なことを始めるのか~って思いながら記事を読みました。

私も博士号取得後、アメリカのNCI(国立がん研究所)、産総研とアカデミアで数年研究者生活をしたものの、アカデミアで研究者を続けることを止め、国内製薬企業に移った経験を持つ身からすると、日本における博士号取得者の低迷は、記事にもあるようにその原因は完全に就職難にあると私も思います。

そもそも、アカデミアに常勤の研究ポストや企業での採用も少ないし、非常勤の博士研究員では立場は不安定で、お給料は低いので、生活がままならない人が多いとう現実があります。

今回は、企業での博士号取得者の受け入れを増やすことを目的とした施策になりますが、やらないよりはましですかね。

どのようなことを始めたかというと、10月から「ジョブ型インターン」の仲介支援サービスを始めた。とのことで、国が有給のジョブ型インターンの支援事業をするのは初めてらしい!

企業がしっかりとジョブディスクリプション(職務内容)を開示し、それに応募すると2か月以上を有給で働くことができる。いま、そのマッチング中で、早ければ12月からインターンが始まるとのこと。

事業を推進するための協議会にはトヨタ自動車や花王など45社と、東京大や早稲田大など45大学が参加している。
当面は理系学生を対象にする。2023年度に理工農学系の博士課程学生で少なくとも120人の参加を目指す。30年度までに年730人以上に増やす。

博士号取得者が企業の方々に知られるような施策は全体としてはプラスになると思っています。

結局は、人と人という個別事案になるとは思いますが、良い人(新しい研究分野に強い、仕事が出来る、コミュニケーション力が高いなど)が博士号取得者に多いという評判が広まると、企業での採用も増えてくると思っています。

ただ一点釘を刺しておきたいのは、しっかりと統計を取っておいて欲しいという点です。全体で何人の博士号取得者が誕生し、その後どのような職(アカデミア、企業、留学など)についたのか、その内の何名がインターンに応募したのかなど、可能な限りデータを取っておいて欲しいなと。

正直言うと、個人的な繋がりがある人の身の振り方は知っていますが、どうなっているか知らない人もいます。こうしたデータ整備をしておくことで、国の施策の予実管理をしっかりとしておくためにも必要だろうと思うからです。

上手くいかないこともあるのは分かっていますが、うまくいかなかった時こそ、その理由をしっかりと振り返って、次の施策に繋げるということもやってほしいなといつも思っています。


最後に、科学技術力の低下を止めるには、今回の記事ような出口側の話もありますが、もちろん入り口側の話(どうやって理系に進む人や研究者を増やすのかなど)もあります。今回は趣旨が少しずれますが、以下のようなnoteも書いてありますので、ご興味があればどうぞ。


#日経COMEMO #NIKKEI #科学技術力の低下 #博士号取得者 #キャリアパス #インターン  

この記事を読んでいただいたみなさまへ 本当にありがとうございます! 感想とか教えて貰えると嬉しいです(^-^)