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後発薬メーカーの生き残りを掛けた戦い

とても気になる記事というか、トピックだったのでご紹介。

後発薬メーカーの日医工と小林化工(福井県あわら市)で品質不正が発覚し、業界に不信の目が向けられている。2021年度は日医工に代わり最大手になる見通しのサワイグループホールディングス(GHD)傘下、沢井製薬の沢井健造社長に対応を聞いた。

良い質問がされていて、以下のようなことに対して、沢井社長が答えています。(詳細は日経記事をご覧くださいませ)

・信頼回復にどう取り組みますか。
・薄利多売のビジネスモデルです。品質管理にリソースを割けますか。
・収益力をどう強化しますか。
・国内では成長できますか。

どの質問も多くの人が気になるところで、信頼や品質管理は医薬品を服用する人も気になるところだと思います。

信頼回復への質問へは、現在業界全体で製造工程(品質管理も含みます)全体の再点検を進めている。他社での品質不正問題は、社会インフラとしての医薬品供給責任があるなかでの需要急増プレッシャーで無理が生じたのかもしれないと答えています。

品質管理へリソースを避けるかという質問へは、これから薬価がどんどん下がると同時に、品質管理水準が高まるという状況の苦しさを滲ませています。これは本当に問題だと思っていて、事業継続が難しくなるメーカーが出てくる可能性にも言及しているとおりで、今後診療+医薬品を含む医療費に対する全体的な対応が必要だと私も思っています。

医薬品費を下げるだけ下げる構造だと、限界が来るのは目に見えてます…

個人としては、頑張って医薬品を供給して頂きたいと思いますが、そのためにはビジネスとしてしっかりと成り立つような薬価制度というのを今一度考えもいたいと切実に思います。

最後の2つのビジネスに関する質問への答えは、こうした国内制度下であれば当然の帰結といえると思います。それは、海外展開です。記事にもあるように、「米国は後発薬の使用率が既に9割に達するが、飲みやすい剤形などの工夫を価格に反映できるため成長余地がある。」。工夫して、ビジネスとして成り立つ下地がある国へ出ていくのは至極当然だと私は思います。

一方で、特許が切れる先発薬の市場が7000億円以上あり、成長の余地は十分あるし、これを聞けて少し安心しましたが、薄利多売であることに変わりはなく、心配ではあります。

そして、デジタルヘルス関連の新事業の模索。患者の健康に対して、医薬品だけでないものを利用して貢献すると言っています。

こうして通して読んでみると、ジェネリックメーカーが大変な状況であることに変わりはなく、日本国内での工夫の余地が少ないのが現状です。

これは、私が製薬企業いた10年以上前から言われていたことなので、企業努力でできることを進めていたと思いますが、薬価制度がより厳しくなってくると努力だけでは追いつけないようになりつつあるのだなと思います。

制度的な縛りがかなりキツイのでとても息苦しいと思います。日本国内に医薬品を供給するという社会的な責務という理念だけに立脚するのではなくて、その責務をしっかりとこなせるだけのビジネス規模が実現できるような制度に本当にして欲しいなと願うばかりです。


以前に日本の薬価制度についてのオンライン講座をした時のnoteを張っており来ます。このnoteの中には、発表原稿と発表時の動画へのリンクがありますので、ご活用頂けると嬉しいです。


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