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おいしかったお店の話。

やぁ、こんにちは。今日は時間があるみたいだね。

記事を書く時、マグカップにコーヒーを入れ小さいチョコレートを4つほど近くに置いてスタートする。

ちょっとずつチョコレートを消化しつつ、なくなる頃には記事が完成する。
コーヒーは半分くらい残る。

これくらいのペースで書けたらいいんだけどね・・・。
※今日はこの時点でスマホに目移りし、チョコ全ロスト。


レトロ和菓子屋。


和菓子というジャンルのスイーツがある。

だんごとか、おはぎとかそういうやつ。
好きな人は超好きだし、スーパーの出店催事なんかで見かけると爆買いしているマダムなんかも見かけるよね。

市場規模とか調べたかったんだけど、スイーツ全般の大枠しか出てこなかったからよく分かんないわ。

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ただ、洋菓子に比べて劣勢なイメージがある和菓子。

子供の頃、結構家にあった記憶があるんだけどな。
いまいち食べる機会に恵まれない、私はシュークリームがあれば大体満足してしまうから気にはしていないけど。

ということで、本日は和菓子店のお話だよ。

街中にあるお店。


比較的大通りに立ち並ぶビルやマンション。

そのテナント一階部分に古風な和菓子屋がある。
M氏はそこのオーナーで三代目。二代目の時期が短かったこともあり、ずいぶん長い間その店で和菓子屋をやっている。既に高齢だ。

マンションの一階。
手前から奥までテナント敷地、横幅が細い割に奥行きが随分広く感じる。

表の入り口から入ると、正面にカウンター。下のガラスケースにどらやきやきんつば、だんごなどの見本が置かれている。

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右側にはちょっと座る和ベンチとテーブル。
ポットと紙コップが置いてあり、セルフで飲むことが出来る。

だんごなどを店頭で購入し、ベンチで一休み。というお客さんも多く出迎えて来たことだろう。

少し薄暗い店内は静かで、何となく古い家の匂いがする。
お香でも焚いているんだろうか。

カウンターを超えると、奥には製造工場。と言っても大型コンロ3口と製造作業台2つ、保存用冷蔵庫に商品収納用のバットが重ね置きされているくらいだ。

お客さんから見えない部分。


工場部分で、M氏が朝から商品となる和菓子を順番に仕込んでいく。

営業時間になれば、カウンターには奥さんが立ち、空いている時間に出来上がった和菓子を包装し保存箱に収納していく。

工場より更に奥になると、スタッフルーム的な。
休憩が出来そうな部屋が一つ。その奥には搬入用の倉庫となっており、小豆など感想状態の袋が積まれている感じとなる。

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基本的にこの辺りはお客さんでも入ってくることはない為、業者がやり取りする場合に入るくらいのものだ。

私も時々、打ち合わせがてらスタッフルームの方までお邪魔することがあった。とはいえスタッフと言ってもM氏と奥さんくらいしか見たことはない。

M氏の店はもちろんとして、全国的にレトロな和菓子店というのは絶滅危惧種ではないかと感じている。

特に地方となれば、人の流通すら限られてくる為、昔ながらの伝統製造などがあったとしても買い手がつかない。また、和菓子という性質上、日持ちしないことから通販など相性が良いとは言えない。

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もちろん、店主は基本的に生粋のアナログだ。
サーバーやドメインなんてハイカラな話なんて理解の範疇を超える。

基本的に良いものを作り、気に入ってくれるお客さんに食べてもらい、喜んでくれるならそれでいい。衰退し、店舗としてやっていけなくなればそれはそれでいい。

達観している。自身が斜陽の立場にあることと先行きの覚悟が出来てしまっている。私にはまだ早すぎる心情の為、ここの話が出ると言葉が詰まった。

繁忙期。


昔ながらの伝統的な和菓子店ということで、地域の知名度は恐らく高い。

店売りで買っていくお客さんはいるが、年間を通せば圧倒的に売上が上がるタイミングなどもやはりある。

卒業シーズン、端午の節句、桃の節句。
等々、卸売で近隣商業施設に大量販売をしたり、学校などの行政機関へ納品することで売上を伸ばしたりする事がある。

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そう言えば、子供の頃に卒業シーズンとなれば紅白まんじゅうなどが学校から依頼がもらえていたが、こういう店舗が作ってるんだなと大人になって回収する伏線があったりする。

コロナもあって、食関係が特に厳しい環境化に陥る中、M氏は淡々としていた。一応、イートインスペースもあるテイクアウト店として休業手当ももらえる環境だったことは大きく、むしろありがたいくらいだったそうな。

今にしてみれば随分荒っぽい補助制度な気もするがパンデミック。
ある種の場外乱闘は各地で置きていた時代だ。当然にもらっている類似業者ばかりだ。実に羨ましい。

興味を持つ。


コロナ禍、正確にはちょっと前なのだろうけど、その頃にフルーツ大福というスイーツジャンルが爆発的に流行した。

厳密には1980年代にも流行っていたそうで、その名残がいちご大福だそうな。

M氏にフルーツ大福専門店が各地でブームだということを話すと、和菓子にジャンルに当てはまることもあり、興味を持って色々と商品を作り出していた。

結果的に、微妙にブーム手前になりわずかに買って帰る人もいたが二度売れるかといえばそうでもなく、流行り物の一つという感じだった。

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やはりあの手のSNS映えアイテムは専門にマーケティングしている店舗だからこそ売れるというメカニズムがあるのだろう、最近は下火のようだが。

とは言え、やってみたことに価値があったようでいちご大福は何だかんだよく売上を伸ばしていたそう。結局王道に落ち着くのがレトロフリークなのかもしれない。

ある時、興味本位でフルーツ大福店に行ってみてあれこれと目を輝かせながら買ってみたら5,000円くらいした記憶がある。

うーん、和菓子ってこんなに高かったのか・・・と。

これから。


M氏の店は実はもう閉店している。

というのも、マンション自体が老朽化しており取り壊しの話が出ていたそう。結局、住民がいなくなり最後まで残っていた一階テナントの店舗勢は立ち退き料を受け取る形で、閉店または移転となる。

売上不振による廃業だと思っていたら、そんな裏事情をM氏は話してくれていた。結局、原状復帰の費用もかからず敷金保証金も返還。立ち退き料のおまけまでついてゆうゆう廃業ときたもんだよ。

いや、勝手に物悲しい撤退を想像してはいたが、立ち退き料交渉で粘っていたとはね。

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衰退し、店舗としてやっていけなくなればそれはそれでいい。なんてかっこいいこと言いながらちゃっかりしてるよ。このたぬき、大好きでした。

M氏の撤退間際、あっさりしてるようでもうお終い。という表情の裏でどう思っていたかは分からない。恐らくやり尽くしたんだと思いたいところ。

若いあんたは気張って頑張りんさい。そう言われたのが最後。M氏とは会っていない。きっともう会うこともないのだろう。どうかお元気で。

今ではマンションは解体工事真っ最中。これからどんなものが建ち、新しい歴史を紡いでいくのか。見守っていくばかり。

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ここまで見てくれてありがとう。

楽しんでもらえたら最高です。
いつも来てくれることの感謝を禁じえない今日この頃。

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それでは、また。

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