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3行日記(鳩時計、早昼、銀杏)

十月二十八日(土)、晴れ。

午前、義理のおばあちゃんが鳩時計を買ってくれるというので、一緒に店に行った。いわゆるオーソドックスな鳩時計ではなく、シンプルなものを選んだ。鳩の鳴き声は電子音ではなく、ふいごにした。音を聞くのが楽しみだ。さらに甘えて、土鍋も買ってもらった。

昼、妻の実家でかんたんなものをいただく。はやびるやな。と言われた。早昼、早く食べる昼ごはんという意味だろうか。冷蔵庫の横の白板に、返り花、水鳥、と書いてあった。返り花は、初冬、小春日のころに返り咲く花のことらしい。やがて来る厳しい冬を思いやる冬の季語らしい。俳句を考えていたのだろうか。

昼、先日チャックの四歳の誕生日を祝ったが、きょうはその続きということで、六地蔵にある犬も入れるカフェに行った。最初は自転車で行こうと思っていたのだが、晴れて気持ちがいいし、チャックなら大丈夫だろうということで歩くことにした。片道一時間半くらいだったろうか。止まることなく歩ききった。到着してドアを開けると、なかには先客が二組いて、どちらの犬からも吠えられた。だが、犬よりも気になるものがあった。店中が阪神グッズで溢れかえっている。もはや犬のコンセプトがぶれるくらいに。壁に貼ってあるサインやユニフォームだけでなく、午後二時を告げる時計のアラームは阪神の応援歌で、二人いる店員さんも阪神のユニフォームを着ていた。チャックには犬の専用メニューから、鶏肉と鶏レバー、大根と人参のゆでたものがセットになったものを注文した。トイレの壁には馬の絵が飾ってあり、とても情報量の多い店だった。

帰るときに近くの神社のイチョウの樹の下で銀杏をひろった。食べるときの黄色い実か、ピスタチオのような殻のついた姿しか知らず、落ちたばかりの銀杏を初めてじっくりと観た。ホオズキのようなオレンジ色で、柔らかくぷにぷにしていた。腰をかがめてひろっているそばから、ガサッと音を立ててさらに何個も、散り敷かれた落ち葉のクッションに落ちていた。おばあちゃんに届けると、剥いて乾燥してもらえることになった。

夜、鶏団子の照り焼き、里芋の炊き込みご飯、玉ねぎスープ、柿。買ってもらった土鍋を使ってさっそく鍋にしようと意気込んだが、あまりお腹が空いていいなかったので、またの機会にした。

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