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3行日記(叫び、京だし、謎)

九月六日(水)、くもり。

きょうの出来事ではないのだが、少し前に商店街を歩いているときに、こんなことがあった。商店街の四つ辻で、おじいちゃんとよぶにはまだ少し早すぎるくらいの男が、酔っ払っているのか、認知症なのか、そういう障害をもった人なのか、くわしいことはわからないが、大きな声で何かを叫んでいた。誰に向かってでもなく。

陽が沈んだころのことで、家路につく勤め人や学生や親子づれでにぎやかな時間帯だった。その男を視界にいれた人たちはみな、まずはっとして、すぐに目線を逸らし、そそくさと逃げるように足早に立ち去ってゆく。子どもの手をひいている人は強く握りなおして。男が何と言っているか聞こうとしたが、うまく聞きとれなかった。平穏な日常でふいにあらわれるこのような男にたいして、一瞬だけ最大限の関心をはらうが、その場を避けて離れてしまえばすぐに、忘れてしまう。

夜、津乃吉の京だしを使って、炊き込みご飯、肉じゃが、巨峰。炊き込みご飯のうえにさらに、ちりめん山椒をのせて食べてみると、うまい。塩っ気がある感じではなく、優しい味。旨味がつまって、身体がしぜんと欲する味だ。チャックの散歩、きょうは素直に神社で湧き水、抱っこしてお通りください。ファミマを右に、ぐるっと回って、団地を通り抜けて帰宅。きょうも猫おじさんはいなかった。消えた猫おじさんの謎。神社の境内で一匹の黒猫と目があった。駅前で地中化される前の電線が派手にこんがらがっていた。

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