見出し画像

【詩】睡蓮とアマガエル

真夏の暑い日中に
お寺の池では睡蓮が咲く
暑くてぼやけた視界に
大きなみどり大きなみどり
無造作な手洗い場の
蛇口をひねって水をだす
指でふさいで睡蓮に水をまく

ばらばらばらばらばら

夕立みたいな音がして
睡蓮が水を玉にしてはじく
アマガエルが困った顔で
となりの葉へゆっくり動く

夏はそこいらじゅう光だらけで
どうして何もかもまぶしくするんだろう

あなたがまぶしく見えたのも
照り返しの乱反射が
差し出した手の上で
色とりどりだったから

木陰で左をむくと
見たこともない目が
少し笑う
くちびるの先が触れただけ

眠そうな睡蓮とアマガエル

蝉だけが響く

蝉だけが響く


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?