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週末論(シューマツレディオ)

 作品を伝える手段は、必ずしも物語や絵だけでなくて良いのではないかと思います。実は週末論を描いているとき、なんとなくそのシーンに自分なりのBGMのようなものがあります。それは直接読み手に伝わることはありませんが、線に、色に、きっと影響は出ていて間接的に何らかの雰囲気作りに関わっているような気もするのです。 
 今回は「シューマツレディオ」と称しまして、いくつかプレイリストをご紹介させていただきます。それは、週末論の中で流れているかもしれない音楽であり、キャラクターの誰かが聴いているかもしれない音楽であり、さらには週末論の世界を飛び出して私たちの日常と混ざり合って「こんなシーンで流れるだろうな」という個人的な感覚での選曲です。
 また違った角度から、作品を好きになっていただけるきっかけになれば幸いですし、シンプルにラジオ感覚で楽しんでいただければと思います。


🦊 WEEKEND SKIP

好きなモノと 好きな人と 週末を軽い足取りで過ごすプレイリストです。週末論のオープニングテーマのようなイメージです。物語でもモチーフとしてOasisやRadioheadといったバンドが登場しているのですが、実はキツネのベースになる音楽はUKのロックだったりします。とはいえ洋楽・邦楽もごちゃ混ぜですが、時折そんな背景が垣間見える選曲も併せてお楽しみいただければと思います。


🍬 RAINY AND LUCKY

雨が降ったなら お気に入りの傘をさせばいいと思えるプレイリストです。ちょっと憂鬱な雨なんだけど、どこか前向きな感覚になれるようなイメージです。「WEEKEND SKIP」よりも少しだけテンポを落として過ごしたいときに。ちなみに全てのプレイリストが2時間くらいに調整していますので、週末のシーンに合わせて是非。


🌃 JUMP OFF

この世に別れを告げる瞬間に 頭の中でゆっくりと流れるプレイリストです。誰かに感謝しながらとか、何かを思い出したり、後悔したり、人の数だけ色んな最期があると思います。なんなら明日、世界の終わりが来るかもしれない。生きている自分にとっては想像でしかありませんが、最期のシーンには こんな曲が流れるのかもな、なんて思いを馳せることがあります。


🌝 LIGHT ROASTED COFFEE

仕事を抜け出した午後に 浅煎りのコーヒーをお供に聴きたいプレイリストです。もちろんその時によって違いますが、浅煎りのコーヒーはリラックスしながらも、ちょっと都会的で大人な雰囲気を感じることが多く、そんなイメージで選んでいます。次の「DARK ROASTED COFFEE」とも併せて聴いていただければと思います。


🌚 DARK ROASTED COFFEE

深い思考に更けながら 深煎りのコーヒーをお供に聴きたいプレイリストです。先の「LIGHT ROASTED COFFEE」は、これから親しくなっていく誰かと会うかもしれない高揚感だとしたら、「DARK ROASTED COFFEE」は一人で落ち着いて考えたり、あるいは親しい誰かとじっくり語り合ったりというようなイメージで選んでいます。


😿 HOLD BACK CRYING

涙がこぼれ落ちないように 顔を上げたら流れるプレイリストです。失恋、別れ、失敗、怒り。泣きたい理由は様々で、泣きたい時は泣けばいいんだけれど泣いたら負けのような気がしたとき、バラードを中心に「泣くんじゃない」と自分に言い聞かせるような選曲のイメージです。


🎈 GET EXCITED

ワクワクする時間が始まるときに 号令をかけてくれるプレイリストです。誰かと会う前に、ドライブの一曲目に、気分良く仕事をスタートしたいときに、良いことがあったときに、悪いことがあっても一瞬でも何とかなる気がしたときに。自分に自信を持てたり、未来に期待できたりするようなイメージです。


🎇 DON'T LOOK BACK

それが希望でも絶望でも 振り返るのをやめて 進むときのプレイリストです。比較的スローテンポのセレクトで「HOLD BACK CRYING」に近いイメージですが、あちらが何かを受け入れる段階なら、こちらは受け入れた後に歩き出す時のイメージです。過去は変えられないからこそ、振り返らないで進むしかないという決意を感じます。


🔥 GET FIRED UP

やる気を奮い立たせるときに ボリュームを上げたいプレイリストです。「GET EXCITED」が楽しいことをする前に聴くなら、こっちは困難を前に聴きたい曲でしょうか。というと少し大袈裟ですが「さあ、気合い入れて仕事するぞ」だったり「勉強するぞ」だったり、自分に気合を入れるシーンにはこちら。


💘 MY HEART ACHES

胸が苦しくなるような 好きの気持ちに寄り添うプレイリストです。学生時代のような甘酸っぱい気持ちに浸りたいときに、まさに今そんな恋をしている人に、たとえそれが叶わない恋や困難な恋でも。言わずもがなですが、恋愛と音楽の相性は凄まじくて、シーンに合わせて スローテンポでアップテンポでドキドキさせてくれるのです。


🚬 DRY LAUGH

くだらない世界を笑うしかないときに 聴こえてくるプレイリストです。伝わらない、上手くいかない、社会や他人に対する無力感、諦観。悲しいとかそういうものを通り越して面白くもないのに笑っている。そこまで来たなら、いっそ開き直ってもいいのかもしれない、なんて思ったり思わなかったり。そんなイメージの選曲です。


🚂 MAKE A VOYAGE

新たな旅立ちの日に 背中を押してくれるプレイリストです。いろんな旅立ちのシーンがあります。友人との旅行も、目的地の無いひとり旅も、新生活のスタートも、何かから逃げ出すことも、あるいは立ち向かうことも。そこにはきっと、不安と、期待と、そわそわした浮遊感とが混ざっているように思います。そんなときに一緒に旅をしてくれる曲たちです。


🍳 GET UP EARLY

早起きが出来た朝に トーストが焼きあがるのを待ちながら聴くプレイリストです。実際2時間も聴きながら待っていたらトーストが燃え尽きちゃいますが、気持ちの良い一日が始まるようにと、早起きが苦手な自分でも頑張って午前中から気持ちを盛り上げたい時の選曲です。


🍸 NIGHT TIME

夜が深まって 氷が溶けてゆく時間に流れるプレイリストです。大人の時間だったり、寝る前のリラックスする時間だったり、そんなシーンに流れるイメージです。キツネはお酒が飲めないけれど、きっとこんな曲で雰囲気を楽しんでいるのかもしれません。


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 大好きな曲を選んでいると、気づけばたくさんのプレイリストになってしまいました。アーティストやジャンルは恐らく偏っているでしょうが、それこそが作品や私自身の個性として感じていただけるのではと思います。「ファッション」はそのひとを表現するひとつですが、「音楽」もまたそうなのではないでしょうか。「好きな服」からその人を想像できるように、「好きな音楽」からもそれができるのだと感じます。

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 『ジョジョの奇妙な冒険』第5部で私の好きなセリフがあります。出会ったばかりのトリッシュを守るために組織に対し次々と仲間たちが反旗を翻すのですが、それに対してフーゴは、ろくに話したこともない女のために組織を裏切るのは正気じゃない、と反対します。そして、この大きな選択を迫られた場面で「オレたちは、トリッシュがどんな音楽が好みなのかも知らないんだぞッ!」と言います。
 ほんのちょっとした言い回しではありますが、非常に印象に残っているシーンです。好きな音楽を知ることはその人を知る本当に身近な第一歩であり、同時にその些細な要素が、もしかすると自らの命まで懸けるきっかけにすらなり得たのかもしれない、なんて考えてしまうのです。

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 日常でも作品の中でもいろいろな感情やシーンがあり、その瞬間ごとにきっと素敵な曲が流れます。週末論を読んでくださったみなさんなら、その瞬間にどんな曲をかけてくれるでしょうか。服を選んだり、コーディネートしたり、その感じ方がそれぞれ違うように、音楽もまた人の数だけ感じ方や楽しみ方があるのだろうと思います。

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 と、このあたりで今週のシューマツレディオはそろそろ終了のお時間です。楽しんでいただけましたか? それでは また次回お会いしましょう。
良い週末を。

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Yuki Kurosawa
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