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無職が正義について考える《正義の教室》

ごきげんよう。無職です。

今日は久しぶりに読書感想文を書きます。

この本は以前のnoteでひとこと感想文を書いたのですが、内容がずっと頭の中に残っていました。

他のことをしようにも、ふとした瞬間にこの本のことが頭をよぎるので、
読書感想文でも書いて、成仏させようと思います。







悪☆霊☆退☆散!!!!






本日は、《正義の教室》です。

この本を読もうと思ったきっかけは、単純に著者の本が面白くて好きなこと、図書館でふと目に入ったことがきっかけです。

とにかく哲学関連の本をたくさん読みたくて、選抜された本の一つでもありました。


この本は物語形式で話が進みます。
主な舞台は、とある学校の生徒会室。

登場人物は、
幼馴染に強引に推薦され、まんまと生徒会長になってしまった正義(マサヨシ)と、副会長の徳川 倫理、幼馴染で会計の最上 千幸、ハーフで庶務のLiberty・自由・Freedom の4人です。


名前を見て、「んっ?」と思われた方もいるかもしれないですが、
正義(マサヨシ)以外の3人の生徒会メンバーは、それぞれの性格を表した名前がつけられています。


3人の性格は下記の通りです。

最上 千幸(モガミ チユキ) 
平等を重んじる、功利主義
幸福を重視します。
リバティ・自由・フリーダム(リバティ・ミユウ・フリーダム)
自由を重んじる、自由主義
自由を重視します。
徳川 倫理(トクガワ リンリ) 
人間であれば持っているであろう、良心を重んじる直観主義
道徳を重視します。

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正義の判断基準を持った3人と、とくに正義というものを意識してこなかった正義(マサヨシ) は、選択授業で一番人気がなかった、倫理の授業を受けることになります。


倫理の授業を受けながら、3人それぞれの正義と照らし合わせ、正義とは何なのか?を学んでいく物語です。



第1章で、正義の判断について、例題のようなものが出てきます。

それは、「購買で100円で売っている焼きそばパンを買い占めて、150円で転売することは正義に反するのか?」です。



この問題に対して、3人は次のように意見します。(3人の意見の下に、わたしの率直な感想を合わせて書いています。)

最上 千幸(モガミ チユキ)
「ほら!購買部のおばさんは焼きそばパンが全部売れてハッピー!
転売する人はお金が儲かってハッピー!たくさんお金を出してでも食べたい人は食べられてハッピー!焼きそばパンは自分を真に求めてる人のもとに行けてハッピー!
どう考えても、全体の幸福度、すなわちハッピーポイントの合計値は向上していると言わざるを得ないわ!」

→ 確かに、みんながハッピーになるのは良い。でも、自分が焼きそばパンを買いたいときに、いつもより高かったら嫌だ。


リバティ・自由・フリーダム(リバティ・ミユウ・フリーダム)
自分のお金で何をどれだけ買おうが、買ったモノをどうしようが、そんなのその人の自由なんじゃないかしら?だいたい取り締まるって具体的にどうするの?
(中略)
生徒の自由を守るべき生徒会が、自由を制限するルールを増やしてどうするの!ルールは必要最小限とし、生徒の自由を最大限保証する!

→ うん、買うも売るも自由だと思う。
ただ、こういうことが横行したら、買いたいモノが自由に買えなくなることもあるのでは?(値段が永遠と上がり続けたり?)


徳川 倫理(トクガワ リンリ) 
(手術が1日3回しかできない小さな病院が、手術を受けられる権利を100万円で売っていることを例え話として出した上で、)
これと、焼きそばパンの話とどこが違いますか!?
高いお金を払ってでも手術を先に受けたいという人の幸福を生み出すから、この行為は正義ですか?
(中略)
他者の事情につけ込み、お金を得ること『だけ』を目的として経済活動を行う、これに私たちは不正な感覚を覚える
この気持ちこそが、私たちが自然に持っているモラルであり、道徳であり、正義なのではないでしょうか!?

→ なんか分かる!
焼きそばパンの転売の話が出たときに、転売はダメ。と直感で思った。ただ、なぜそう思ったかを説明しようと思うと難しい。



わたしがこの中で、いちばん共感度が高かったのは、千幸(チユキ)の意見でした。

ただ、2人の意見も捨てがたく、全面的には千幸(チユキ)に賛成できなかったです。
あくまで、総合的に判断すると千幸(チユキ)の考えでした。


改めての説明になりますが、
千幸(チユキ)の意見は政治学的にいうと、
功利主義(平等を重んずる)になります。


第2章から、3人の正義について深く掘り下げられ、説明されていきますが、
文章がとてつもなく長くなるので、内容に関しての感想は、ここまでにします。



正義(マサヨシ)は、3人の意見を聞いてどう思うのでしょうか。
そして、どんな正義の決断をするのでしょうか。



・・・



ここからはタイトル通り、
《正義の教室》を読んで考えた結果、どのような答えが出たのか。発表しようと思います。


わたしの答えは、


「多くの人に幸せになって欲しいと思うが、できれば自分の自由は奪われたくない」でした。


”幸せ”と”自由”という単語が出たことから、功利主義と自由主義が混ざった考えに見えます。


本の内容と照らし合わせてみると、”弱い自由主義”と呼ぶのがしっくりきました。

”弱い自由主義”ってなに?って感じだと思うので、簡単に解説します。
(一部、本の内容を引用しています。)


まず始めに”功利主義”とは、
幸福主義とも呼ばれるそうで、『不平等よりは平等の方が善い』です。

幸福の量を増やすことを一番に考えています。


”弱い自由主義”とは、
『幸せ>自由』(幸せになるために、自由を求めるということ)です。

自由だったとしても、自分が幸せと感じなければ意味がないのです。

じゃあ”強い自由主義”ってなんだよ?ということなのですが、
『自由>幸せ』
(自由を守ることは、結果にかかわらず、正義であり、自由を奪うことは、結果にかかわらず悪である)
です。

何もかも選択は自由で、それが幸せな結果にならなくても良いのです。


この3つを並べてみた結果、
わたしは、”弱い自由主義”に一番近いと思いました。

ちなみに”弱い自由主義”と”強い自由主義”は、著者オリジナルの言い回しのようで、

政治的にいうと、

弱い自由主義=リベラリズム
強い自由主義=リバタリアニズム

と呼ばれるようです。(各国によって、自由主義の境界線は違うらしい)


この本の中で、”弱い自由主義者”は、”自由主義の皮を被った功利主義”と例えられています。
この例えは、すごく分かりやすい。と思いました。


この本を読んで考えた結果、自分の正義が少し分かったような気がします。

今のところは、だからなんだ?という気持ちもあるのですが、いろいろな正義があることを理解しながら、「自分が思う正義はこれ!」というのを、常にもっておくのが大事なのかな。と感じています。


重大な正義の選択を迫られたとき、後悔しなさそう!



・・・



飲茶さんの書かれる本は、本当に面白くてどんどん読み進めてしまいます。
とくに《正義の教室》は、これまで読んできた本の中でも、お気に入りの1冊になりました。

図書館で借りてきたのですが、1度読んでメモ取ってから返却したにも関わらず、また借りてきて読み直しています・・・。

もうこれ買った方が良い?笑


気になった方はぜひ読んでみて、正義について考えてみてはいかがでしょうか^_^/



それでは!



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