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文化遺産の未来を考える:首里城跡地から発掘された光

今回は琉球大学様と一緒に進めておりますデジタルアーカイブに関する記事となります。
琉球大学様から今回のご依頼を受けた際に、その重要性と可能性に弊社は深く感銘を受けました。デジタルアーカイブは、文化や歴史を保存し、将来の世代に伝える貴重な手段です。私たちは、このプロジェクトに積極的に取り組むことで、琉球大学様と共に文化遺産の保存と普及に貢献したいと考えました。


首里城の火災がもたらした損失と今できること

首里城の悲劇的な火災は、沖縄の歴史と文化にとって計り知れない損失をもたらしました。消失した文化財の数は200点近くあったそうです。消失による影響には以下のような問題があるかと思います。

  1. 歴史的連続性の断絶:文化財は過去と現在をつなぐ架け橋です。これらが失われることで、歴史の一部が永遠に失われ、後世に伝えることが困難になります。

  2. 教育的機会の喪失:文化財は教育の場で非常に重要な役割を果たします。これらを通じて、若い世代は自国の歴史や文化を学び、理解を深めることができます。

  3. 観光産業への打撃:文化財は観光の大きな魅力源です。その喪失は、地域経済にも影響を及ぼす可能性があります。

まず今できることとして、過去の遺産を記憶し、尊重することが重要です。

また、現代の技術を活用して復元や再生を行う取り組みを行い、消失した文化財のデジタルアーカイブや伝統工芸品の復元プロジェクトなど、できることはたくさんあります。文化や歴史に対する関心を高め、その価値を広く認識し、地域の教育や観光活動を通じて、遺産に対する理解と支援を促進していくことができるのではないでしょうか。

首里城跡地から発掘された光

今回3Dモデル化をご依頼いただいたのは首里城の跡地から発掘された直刀でした。
発掘された直刀は、当時の武器や文化について新たな洞察を提供し、首里城とその周辺地域の歴史的な重要性を示すでしょう。
この発見は、我々が過去の遺産を尊重し、未来の世代に継承していく責任を再確認させるものとなっています。

首里城跡地から発掘された直刀

この直刀が沖縄本島にやってきた経緯や製造された背景について、成分分析が行われることによって歴史が明らかにされるとのことです。具体的には、この直刀がどの時代に製造されたものなのか、どの地域の工房で作られたのか、その素材や製造技術について詳細に調査される予定です。

成分分析は、直刀に使用された金属やその他の素材の組成を調べることで、製造時期や製造地域を特定するのに役立ちます。また、製造技術や文化的背景も明らかにすることができます。これによって、直刀がどのような経路で沖縄本島に伝わり、どのような文化交流があったのかが解明されることが期待されています。

成分分析の結果は、首里城の歴史や周辺地域の文化に関する新たな知見をもたらし、沖縄の歴史研究や文化遺産の保護に大きく貢献することでしょう。

フォトグラメトリ技術を使った3Dモデリング

フォトグラメトリという技術を使用して、3Dモデルを作成しました。
まず、200枚以上の写真を、異なる角度から撮影し、直刀の全体像や細部を網羅するように心がけました。
次に、撮影した写真をコンピューターで処理し、フォトグラメトリ技術で直刀の精密な3Dモデルを生成しました。
また、文化財に負担をかけないために、今回は片面ずつスキャンを行い、スキャンした片面のデータを結合することで、直刀の全体像を完全に再現することができました。

このモデルは、直刀の形状や表面の細部まで忠実に再現されており、その歴史的な価値をより深く理解するための貴重な資料となっています。

持ち手の底
刃先部分

こちらが完成した3Dモデルです。
(実際にブラウザ動かしてる映像の一部で恐縮です)

出来上がった3Dモデル

このように3D化することで様々なメリットが生まれてくるかと思います。

  1. 全方位からの観察:3Dモデルは、通常では見ることのできない裏面や細部まで観察することを可能にします。

  2. 無限のアクセス:物理的な制約がなくなるため、世界中の人々がアクセスし、学ぶことができます。

  3. 保存状態の永続:物理的な劣化や災害から影響を受けることなく、文化財を永遠に保存することが可能になります。

まとめ

失われゆく物や事をどうやって残していくかを真剣に考えないといけないと考えております。
幸いにも現代の技術であれば、アプリやサービスなどを活用すればスマホ一つで(ある程度は)3D化できる時代です。
そういったものを活用して、一つでも多くの文化財を後世に残していくことが、歴史を紡ぐ上で重要なのかもしれません。

KURUMは、一つでも多くの日本の文化財をデジタル化し、これらの貴重な遺産を後世に伝えるために尽力していきます。首里城の古刀の3Dモデル復元は、この重要な使命の第一歩です。私たちの取り組みが、失われた宝物を未来へとつなぐ架け橋となることを願っています。

最後に

弊社では現存するもの、しないもの、形あるもの、ないものをデジタル化するという目標を掲げてふるさとデジタルというプロジェクトを発足しました。
(ちょっとずつ進んでます)

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