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山下由
2019年8月2日 14:28
雲たまに思い出してしまう変な記憶がある。僕は小学校低学年くらいで実家の台所のテーブルで母親と向かい合わせに座っている。なにかジュースのようなものを飲んでいて、夕方の少し前くらい。母親の後ろの小さな窓からはやわらかく日が差し込んでいる。母親は僕を見つめていて、何で見てくるんだろうと思いながら僕はジュースを飲む。彼女は目をつむって何か考え事をしたりもする。唇から少し歯を出して右手の中指の背を当
2019年7月29日 14:42
かわいい。こんなこと自分で言うのはちょっとはばかられるような風潮があるけど気にせず言うと僕は子供の頃とてもかわいい男の子だった。小柄で童顔、黒目がちで笑うと綺麗に両側にそろったえくぼが現れる。くるんとカールする癖のある前髪、髪も長くて女の子とよく間違えられた。「かわいい、かわいい」とよく言われていた。自分では自分のことをかわいいと思わなかったが、「かわいい」と言われることはわかっていたので、そ
2019年7月16日 00:20
新宿の東南口の大きな階段のたもとに酔っ払ったサラリーマンのおじさんが寝ていた。倒れてるといってもいいほどに大の字だった。誰も近寄らない。一人の外国人の男の人が「大丈夫?」と声をかけ抱き起こした。おじさんは「ほっといてくれ」と言って立ち上がり、どこかに行ってしまった。外国人の男の人は「どうして誰も助けないの?」と周りにいる人たちに呼びかけた。僕も何もしなかった一人だ。若い男が彼に親指を立てな