OAインストラクターが操作指導をするうえで大切にしていること
これまでのキャリアで一番長くつとめた仕事が、病院の職員向けにおこなっていた電子カルテの操作指導です。
病院が紙のカルテから電子カルテに移行するときに、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、医療事務員など病院の様々な職種の方に向けて電子カルテの利用方法を教えていました。
教える相手はとても頭の回転の早い医師から病院の電子化になじめずキーボードでローマ字入力するのもおぼつかない職員までさまざま。
インストラクターとしてどんなことを意識して、どんな考え方を学んだのかをまとめます。
予定時間にカリキュラムを終わらせることが前提
クライアントから受けた仕事として、まず時間内にカリキュラムを終えることがミッションになります。
特に電子カルテの研修は通常業務の合間を縫って、もしくは夜勤明けの時間を割いて職員さんが参加してくださいます。
慢性的に人手が足りない病院業務。
基本的に業務時間外にわざわざ受講しにきていただくという形になってしまいます。
職員さんから強く求められない限り、予定時間をオーバーすることはできません。
常に終了時間を意識しながら、これは重要だから絶対伝えるというポイントは外さずにやることは一番意識していました。
実際に業務で使うシーンをイメージできる説明を心がける
電子カルテの仕事に就いたばかりの頃は、とにかく先輩が研修で話しているポイントだけは落とさないようにするので精いっぱい。
病院内で電子カルテがどういう使われ方をしているのか現場を見る機会がないうちは、同じ字面の情報をことばで発していてもどうも相手に伝わった実感が持てませんでした。
特に使ったことがないシステムの使い方を教える場合、教わる側は業務のどういう場面でシステムを使うものなのかがイメージできません。
電子カルテの操作指導の仕事は研修で教えるという仕事の他に、電子カルテが本稼働して作業が止まらないように病院の診察室付近で立ち会うという業務もありました。
実際に電子カルテが稼働している場に立ち会う機会が多くなると、病院業務のこういうシーンで電子カルテのデータをこう使うというパターンが見えてきます。
質問がなく立っているだけの時間のときには、それぞれの職種で電子カルテをどのシーンで使うことが多いのか、現場で質問されることにただ答えるだけではなくて、どういう活用のされ方をしているのかもメモっていました。
病院の業務がわかるようになってくると、だんだん操作指導でことばを選ぶときも具体的な事例をあげて説明できることが増えてきました。
小さな発見を積み重ねて、職員さんとの会話がスムーズにできるようになったときがインストラクターとしての仕事が軌道に乗ったと思えた瞬間でしたね。
人は忘れる生きものであると自覚する
操作指導をしていて職員さんによく言われるのが「ここではわかってもさぁ、すぐ忘れちゃうんだよね〜」ということ。
せっかく精魂込めて教えたことがすぐ忘れられてしまうのはインストラクターの立場からするとせつない現実です。。
人はその場で納得してもすぐ忘れてしまう生きもの。
特に教えた方の年齢が上がれば上がるほど忘れやすくなるのは人間の性。
もうしかたがありません。
でもそんなことを職員さんが言っていても、案外謙遜して言ってるんじゃないかと思うこともあります。
やはり一度学んだことを全てが全部忘れてしまっているわけではないんですよね。
「すっかり忘れちゃった!」といわれても気にしないで、インストラクターとしてこちらの伝えるべきことは伝える。
そのために、この授業に集まった職員さんの人数や職種、業務内容をかんたんにヒアリングして、優先順位の低いものは思い切ってカリキュラムからはずし、最低限業務で使う項目だけでも覚えてもらうようにしていました。
メリハリをつけてなんとか記憶に留めてもらいたいなと思いながらやるしかないんですよね。
覚えたことを忘れられてしまうのは悲しいですが、これからシステムを繰り返し使っていけば嫌でも覚えていただけます。
研修直後の「わからない」「難しい」は真に受け過ぎないことです。
大切なのは相手に合った伝え方を考え続けること
インストラクターの中には、限られた時間でできるだけこちらにある知識を早口にしても伝えるというアプローチをする人もいました。
頭がいい人や学ぶことに前向きな人たちばかりならありがたがってもらえることもあるかもしれませんが、残念ながら大多数の人には響きません。
6年のインストラクター経験からその後の仕事でも役に立っている考え方は、相手のレベルに合わせて伝える内容を考えることです。
その後はWebサイトやスマートフォンのアプリの運営の仕事をしていますが
このサイトや授業を受ける相手はどんな人なのか
彼らはこれを読んでスマートフォンやPCでどんな操作をしたいのか
現在本業のWebサイト運営やライターとインストラクターは一見かけ離れた職種ですが、実際に相手が使う場面を考えながら教えたり、表現を考えることはどんな仕事でも大切な考え方であることを実感しています。
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