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僕の大切な人


小学1年の頃、僕より背がずっと高くて、可愛らしい絵を描く女の子がいた。

その子は、地元の幼稚園や保育園に通っていなかった僕を差別せずに受け入れてくれた根本的に優しいと言った印象の子だ。

彼女が後に、僕を救い僕の親友になるなんて思ってもなかった。




小学1年の頃、私立の幼稚園から普通の公立小学校へ入学した僕は、色んなことに対して違和感を抱いていた。

給食の時、手を合わせる際に誰かが音を出してもやり直しにはならず、当たり前のようにみんながご飯を食べ始めること。

「せんせい、トイレ〜」
と言っても、注意されないこと。

何より、教室が汚いこと。(これが、僕のハウスダストと鼻炎を悪化させた一因である。)

それ以外にも、沢山の価値観の違いがあった。

例えば、僕の隣の席のみどりちゃん(仮名)が、同時では珍しく「かるすぽ」というランドセルを持っていた。
その子は、当然のようにそれを自慢した。

好奇心旺盛な周りの子達は、持たせて欲しい!と言い出した。僕も、持ちたいと言っていたのを記憶している。

「じゃあ、来栖からね」

そう言われて、僕が最初にそれを背負った。
その時の感想は覚えていないが、その後、僕が叱責を受けたのを覚えている。

自由時間が終わった時、一人の女の子がランドセルをまだ背負えていなかったのだ。
そこで僕はこう言った。

「明日も学校あるからいいじゃん」

そのひと言で、女の子は泣き出した。
後から聞いた話によれば、言い方がキツかったそうだ。
でも、僕は悪いことを言ったとも、言い方がキツかったとも思えなかった。
むしろ、励ます気持ちで言ったのに叱られたことに同時矛盾を隠せなかった。

僕はひとりで家に帰ると、安心したように涙を流した。
何も理解できなかった。
私立の幼稚園で無駄に厳しく教えられ、精神がみんなより中途半端に成長した僕は、楽しみだった小学校が少しずつ嫌いになりそうだった。(当時の僕は超前向きだったので、そうはならなかったが…)

その他にも、髪型をイジられたり、性別をとやかく言われたり、酷い鼻炎だったことから汚いなんて言われたりしたこともあった。(ティッシュの処理等はきちんと行なっていたが‥)

そんなちょっとズレていたであろう僕に普通に接してくれたのが彼女だった。

当時は、ちょっと正義感が強くて、堂々としているイメージだった。

でも、実はこんなに長く話しているのに実際とても仲良くなったのは、小5の頃である。

本と歴史と勉強以外に何も興味がなかった僕に、沢山の趣味を教えてくれた。

まず、音楽だ。
ピアノを弾く彼女は、音楽が好きだった。
ボカロとか歌い手を好きになったのも彼女のおかげだ。

そして、漫画。
昔熱心に読んでいたのを、再燃させてくれた。

何より、彼女は僕に好奇心を教えてくれたような気がする。
元々、好奇心旺盛な方の僕は成長するに伴い、色んなものに興味を持たなくなっていた。

ただ、出来る人に成りたくて無心に物事をしていた。
そこに彼女は好きという感情を入れていいことを彼女自体を通して教えてくれた。(多分、彼女は何も思っていないが…)

それ以来、僕は色んなものに興味を持つようになったし、色んなことが好きになった。

こうやって僕が今、noteを書いているのも彼女が教えてくれた好奇心のおかげだ。



言ってもなんのこと?って、顔をしそうな彼女だけれども、僕はありがとうとこれからもよろしくを心から伝えようと思う。


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