自然災害と不可分の死について/すずめの戸締り
『すずめの戸締り』のタイトルに主人公である鈴芽の名前が入っているのは、亡くなった母の喪失感をどのように乗り越えるのかという鈴芽の個人的な物語であるからだ。そして、タイトルにある”すずめ”との表記は、物語を進行させている鈴芽を指しているのか、あるいは母を失ったばかりの幼少期の鈴芽を指しているのかを曖昧にさせるため、あえてひらがな表記しているのだろう。それは物語の構成から読み取ることができ、常世に入ってしまった幼少期の鈴芽は、結果として、物語を進行させている現在の鈴芽から母の形見