見出し画像

第20回「本を売る」ことに魅せられて 

 2007年(平成19年)1月8日、志夢ネットのオーナー会議。僕は本部からの報告事項として、①志夢ネットの売上②共同仕入れ・第三商品・共同購入の実績③主要出版社の売上・前年比④契約出版社の実績と報奨金など資料を用いて説明しました。一方、各オーナーからは2006年の総括と2007年の抱負を語ってもらいました。しかし、誰ひとりとして資料の一枚もないって、この方々は本気なのでしょうか?とても不安です。

翌9日は、日本書店大学の新年定例会。近藤さんからバトンを受け取った新幹事長の所信表明。田辺学長の講演。そして、出版評論家の能勢仁先生の講演が好評でした。
取次の財務諸表を徹底比較。貸借対照表によると売掛金に対し貸倒引当金がA社のほうが多いのは、不良債権化する書店が多いことを意味している。営業外収益はA社のほうが桁違いに多いのは、版元にリベートを要求している金額が高いから。売上割引がA社のほうが少ないのは、書店への歩戻しが少ないことを示している。なるほど企業戦略がしっかり数字に表れてますね。

1月10日、朝から電話、メールでの問い合わせ、注文が殺到。18店舗に対して、一人で全部受けているのだから、仕方がない。
『僕は妹に恋をする』が入荷しない。
『愛の流刑地』がなくなった。
『華麗なる一族』が・・・
年末売れた商品の重版手配で午前中は潰れました。中には年末に案内したにも関わらず、まだ在庫があるから大丈夫と断ってきたのに、結局足りなくての追加もあります。本部の仕入とは何ぞやということを考えさせられます。商品がないと「入ってこない」となじられ、その商品を手配しても「ありがとう」のひと言もない。ベストセラーは手配できて、あたりまえ。できないと文句をいわれる。辛い立場なのです。

1月11日、今年も東京国際ブックフェアが7月5日~8日まで東京ビックサイトで開催されます。去年は、このイベントにあわせて同じ会場で「本の学校・出版産業シンポジウム」を開催し、多くの業界人が参加してくれました。今年は東京国際ブックフェアの主催者から会場を無料で貸すので、同様のイベントをやって欲しいとの依頼がありました。ということで書店会館に集合。日書連・書店新風会・日本書店大学・JPIC・エディタースクール・日本出版学会など業界団体が集結し企画会議。さぁ頑張るぞ。

1月16日、直木賞は、あの『半落ち』で揺れた2003年以来4年ぶりの「該当作なし」一方、第136回 芥川賞は、青山七恵『ひとり日和』(『文藝』2006年秋季号)が受賞。青山七恵は2005年、大学在学中に書いた『窓の灯』で文藝賞を受賞。『ひとり日和』は第二作目でした。

1月29日、朝一番の問い合わせは・・・
「ウシオのJDR110V40WLW/K」と同等品のハロゲンランプの価格を教えてほしいと店からメール。早速取引している業者と連絡。価格は790円(税抜き)ちなみにウシオのハロゲンランプ定価で買うと2730円 。他にもツイン蛍光灯のオーダーをもらい。業者へ連絡。店に納入した価格の3%が本部にキックバックされる仕組み。
蛍光灯以外にビニール傘なども本部にリベートが入るしくみで第三商品を扱っているのです。

2月22日、山林をもってるわけでもなく、もちろん株の配当金があったわけでもないが、2箇所以上から給与があるので、きちんと確定申告してきました。 2箇所あっても低所得ですが(泣)忘れないうちに納税も済ませました。
さて、これから働くか!

2月23日、「本の学校出版産業シンポジウム」の日程が7月7日(土) に決まりました。僕の誕生日(*^◯^*)昨年は責任販売制がメインでしたが、今年はどうするか! .....ということで版元の青弓社さんの会議室をお借りして企画会議。この時、文化通信の星野渉さんを中心にメンバーが集結。僕は日本書店大学を代表して参加しました。岡部友春さん。会議室をお貸しくださり、ありがとうございました。
さて、書店業界は今や戦国時代。
混迷の中で今注目されている書店チェーンの経営者数名をパネリストとしてシンポジウムを行うことになりました。果たして、こちらの出演依頼を受けてくれるか?

ところが、この年7月7日、大型書店、ナショナルチェーンはじめ集英社の本をたくさん売った書店は集英社のご招待でワイハに遊びに行ってた。というオチが!

イメージ画像

この時、ハワイに行かずにご登壇いただいたのは、大垣守弘さん(京都・大垣書店)、世良與志雄さん(広島・フタバ図書)、高須博久さん(豊橋・豊川堂)、高野幸生さん(TSUTAYA)でした。

またメインのシンポのほかに分科会も4テーマ開催されます。そのひとつの分科会を僕が担当することになりました。来週は、その出演依頼で忙しくなりそうです。

3月1日、新規書店の開店ラッシュと増床が続きます。今月だけで10000坪増える計算。

3月2日 紀伊國屋書店新潟店  645坪※移転増床
3月2日 ジュンク堂書店新宿店 1750坪※増床
3月3日 ジュンク堂書店新潟店 1300坪
3月9日 丸善日本橋店 1000坪
3月10日 紀伊國屋書店前橋店 968坪
3月10日 ジュンク堂書店三宮店 1450坪※増床
3月12日 紀伊國屋書店流山店 932坪
3月13日 紀伊國屋書店横浜ららぽーと店 570坪
3月15日 コーチャンフォー新川通り店 1250坪
3月16日 ブックファースト八王子店 205坪
3月22日 紀伊國屋書店名鉄ビル店 240坪

業界紙を参照

3月10日、3月末は大手取次の年度末。売上予算を達成しようと新刊以外の商品を勝手に送りつけてきます。取次としては「売れ筋」だから送って何故悪いと開き直っていますが、送られたほうの書店は自分で頼んだ商品じゃないから売る気にならないし、しかも在庫がある商品も多いのです。当然のことながら返品になります。ところが、月内に返品入帳されないので結局書店の在庫となります。しかし、取次だけが悪いわけではありません。出版社も同じく年度末の会社が多く、取次同様に売上をたてたいのです。健全な出版社なら節税のため逆に新刊点数を減らし在庫を圧縮するのですが、取次同様売上がたりない出版社が多いので、書店への送りつけに同意し商品を供給しているのです。売上がたりないもの同士の利害が一致し、この悪事は半年ごとに繰返されています。今に始まったことではないが、さながら悪代官と悪徳商人が結託して罪のない町民や農民たちを苦しめる姿に似てますね。今こそ出版業界にも黄門様か遠山の金さんが必要なのです。桃太郎侍でもいいかな・・・

山手樹一郎『桃太郎侍』春陽文庫

3月19日、志夢ネットで「脱ケータイ小説」をテーマに文芸書のフェアを企画。第1弾として文藝賞を受賞した若手の作家のフェアを実施しました。ケータイ小説そのものを否定しようという企画ではありません。むしろ文芸書の棚に足を向けてくれている中学生や高校生に「ホンモノ」の小説を読んでもらいたいというのが趣旨。最近の文藝賞の受賞者は、ケータイ小説の作者や読者と同世代でもあります。ケータイの横組みではない縦組みの小説を手にとってもらいたいのです。

今回のフェアの著者、文藝賞の受賞年、受賞した時の年齢、受賞作は以下のとおり

青山七恵 2005年22歳『窓の灯』
生田紗代 2003年22歳『オアシス』
岡田智彦 2002年29歳『キッズ・アー・オールライト』
白岩玄 2004年21歳『野ブタ。をプロデュース』
中村航 2002年33歳『リレキショ』
羽田圭介 2003年18歳『黒冷水』
伏見憲明 2003年40歳『魔女の息子』
三並夏 2005年16歳『平成マシンガンズ』
綿矢りさ 2001年17歳『インストール』
山﨑ナオコーラ 2004年26歳『人のセックスを笑うな』

看板と帯、POPは志夢ネットオリジナル


4月5日、今年も本屋大賞の受賞式に参加しました。佐藤多佳子『一瞬の風になれ』(講談社)が大賞を受賞。受賞式は明治記念館での立食パーティー形式。日頃とは違う華やかな別世界。気分はシンデレラです(笑)啓文社の児玉憲宗さんと再会。僕らは遠くない書店の未来について語り合いました。そして、そのまま2次会も参加して、束の間のひとときを楽しみました。

第4回 本屋大賞は佐藤多佳子さん
手作りPOP ランナーが動きます

4月19日、志夢ネット待望の新店が山梨県甲府市にできます。と言うことで棚詰めの手伝いで出張。ブックスなにわの佐藤店長も、遥々東北から手伝いに来てくれました。棚を創るのは楽しいですね。今日は、コンピュータ書とビジネス書を担当。明日は文芸書の手直しです。終わったあとはスタッフと一杯。これが一番の楽しみです。

4月20日、甲府出張2日目。昨日に続き棚詰め作業。開店前ですが雑誌や新刊配本など毎日取次からの便があります。午前中は、みんなで雑誌の棚詰め。午後になると宅配業者から大きな荷物が何箱も届きました。小学館や講談社の回転ラック、そしてポプラ社から届いた大きな箱の中身は「かいけつゾロリ」の着ぐるみ一式。「かいけつゾロリ」との記念撮影は開店イベントのひとつなので・・・
早速、社長にかぶってもらいましたが、似合わない(笑)

4月22日、「◯◯書店が自己破産しました」その第一報は、業界紙の記者からの電話でした。「えっ」携帯を持つ手がふるえました。
「草彅さんの知り合いですよね。何か聞いてました」
どうやら記者さんは親切で電話をくれたのではなく、取材だったようです。業界紙の記者も難儀な商売です。このような不幸があった場合、嫌な顔をされると知りつつも周辺の取材を続けなければならないのです。
僕は「何も知りません」と答え、電話を切りました。
でも知らないというのは嘘。
昨年末から調子が悪く、その書店の社長は近藤さんの後任として日本書店大学の幹事長を務めていましたが、ずっと会合を欠席していました。
破綻の原因は「急激な出店」と業界紙はネットで配信しています。
しかし、その出店の中には経営危機の書店を救済するための買収も含んでいました。
「買いませんか」と持ちかけたのは取次。
ところが、買収した店舗は赤字を解消できず、テコ入れしている間に既存店舗も調子が悪くなってきたのです。
取次に助けを求めると「買収は反対したのに無理をするからですよ」と手のひらをかえされたそうです。
近年、取次による書店の子会社化は増大の一途を辿っています。救済のための支払いの猶予や資本の注入、そして役員の送り込みや経営権の奪取など形態は、いろいろです。元の社長は従業員扱いというケースもあるそうです。今回の取次の対応は、どのレベルだったのかはわかりません。
既に売却先も決まっていた矢先で、取次にとって自己破産は寝耳に水だったようです。
ということは、取次の対応が余ほど腹に据えかねるものだったのでしょう。丸裸になることと同然の対応だったから、最後の抵抗で自己破産を選択したのでは?!
自己破産した社長が見つめた闇の深さは如何ばかりか・・・

4月23日、週末は、自己破産した書店の件で電話が多く精神的にまいりました。
自己破産したということは、奥さんとは離婚なのかな? いつも奥さんが選んだ洋服を着ていたオシャレな社長さんだったので、どうなったか心配。
でも、そんな心配や感傷とは別に日本書店大学の臨時会議で穴のあいた幹事長のポストを至急決めるよう指示がきました。
会社の倒産とは、人の「死」と同じ。お葬式の最中に故人が抜けたポストをどうするか相談しているようで嫌でした。
そういえば『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』でもオカンの通夜の晩に原稿の督促を受けてるシーンがあったけど、嫌な編集者だよなと思いながら読んでいました。今日の僕は、その編集者と一緒。
何度も何度も人の不幸を電話でしゃべりまくったのです。
幹事を務める他の書店のオヤジたちに電話をかけまくり、全員の了解をとりつけて新幹事長を選出したのです。嫌な1日でした。

4月25日、天真堂書店甲府国母店オープン。日販の社長である古屋文明さんがお祝いに駆けつけてくれました。古屋さんのご出身が山梨のようです。甲府市内は激戦区です。ガンバレ小菅社長!

天真堂書店甲府国母店

5月13日、志夢ネットオーナー会議①2006年度の試算表について②監査報告③2007年度予算案について④慶弔金規程について⑤天真堂書店甲府国母店出店について⑥各オーナーからの近況報告(売上・生き残り対策・競合対策・社員教育・広報・短期計画・その他問題点)⑦本部からの報告⑧本部への要望(各オーナーから)

翌14日、日本書店大学の例会。加賀谷克美 先生「日米のディズニーで教わった販売と感動のサービス」講演。

小学館コミック課「コミックの販売事例」の講習。田辺学長の講演「業界の最新動向」
夜は前幹事長の近藤秀二さんの慰労会。僕はこの年3月に開業した六本木のミッドタウン東京へ行き、近藤さんへの餞別としてリッツ・カールトン東京のデラックスツインルームの宿泊券を購入。このツインルームは僕の家より広いじゃん(笑)

リッツ・カールトン東京の宿泊券

5月15日、日本書店大学の会員25名を連れて河出書房新社を訪問。(狭い)会議室に通されると、社長の若森繁男さんが迎えてくれました。若森社長は営業出身です。POSがない時代に営業を率いていた頃は、毎日来る書店からの注文短冊を会議テーブルの上で、北は北海道から南は沖縄まで、地域ごとに分けて並べ、どの地域から注文が多かったかを確かめていたと言ってました。僕も明日香出版社で営業をしていた時に、日経特約店の資料を参考に地域別の書店ランキングを出したり、地域ごとのシェアを計算したりしていました。当時はパソコンがない時代なので全て手書きの資料を作っていたことを思い出しました。データが今のようにないアナログ時代は「感性」が重視されていましたが、一方で数字もおさえて、自分の肌感覚が間違っていないか検証していたのです。

5月25日、セブン&アイ・ホールディングスのCEOである鈴木敏文は、イトーヨーカ堂に入社する以前は、書籍取次のトーハンで働いていました。トーハンを辞めたのちにイトーヨーカ堂に転職したのです。
その鈴木敏文は、この頃トーハンの副会長に就任しています。
かなり以前からトーハンの社外取締役でしたが、いつのまにか副会長という社長よりも偉い地位にいたのです。
そんな矢先にイオングループの未来屋書店がトーハンから日販へ帳合変更のニュースがありました。業界紙には「業務効率化を理由にあげている」と書かれています。(『文化通信』2007年5月24日)

もっとも16年後の2023年9月、未来屋書店は日販を離脱して再びトーハン帳合に戻るのです。今度は何が原因なのか?
僕も経験がありますが、帳合変更で大変な思いをするのは現場です。経営者は、わかっているのだろうか?

6月5日、日本書店大学「店長パワーアップセミナー」第1講は、TBSの「王様のブランチ」でお馴染みの筑摩書房専務の松田哲夫さん。多くのベストセラーを生み出した松田さんの編集者人生をお話していただきました。
第2講の渡辺由佳さんは、元テレビ朝日のアナウンサーです。かんき出版で『スラスラ話せる敬語入門』を出版し既に5万部売れています。接客用語や社内での言葉遣いなど美しい日本語の話し方をご講演いただきました。
第3講は、ブックストア談をプロデュースした青田恵一さんです。テーマは今どの書店にも共通で必要な「競合店との闘い方」です。
そして、最終講は日本書店大学の学長 田辺 聰がつとめました。

青田恵一『たたかう書店』

「店長パワーアップセミナー」終了後、続いて、「志夢ネット交流会」を夕方開催。出版社33名にご出席いただきました。

明日香出版社 奥本 達哉さん
アートン 上田奈実さん
MCプレス 鈴木俊介さん
MCプレス 深澤高志さん
河出書房新社 菊池真治さん
かんき出版 吉田和史さん
技術評論社 足立幸雄さん
幻冬舎 岡濱信之さん
光文社 加藤純士さん
主婦と生活社 今井陽敬さん
主婦と生活社 井上 敦さん
主婦の友社 神 輝哉さん
小学館P・S 苅和誠二さん 
祥伝社 大内丙午さん
新潮社 本間隆雅さん
草思社 鈴木葉子さん
ダイヤモンド社 井上 直さん
大和書房 瀬戸起彦さん
東邦出版 柳ヶ瀬 肇さん
永岡書店 番匠国男さん
ナツメ社 小川博史さん
日本経済新聞出版社 玉井 淳さん
日本文芸社 八巻光行さん
PHP研究所 河崎 亮さん
扶桑社 大島 猛さん
双葉社 大杉竜男さん
文化出版局 杉崎成樹さん
文藝春秋 濱 宏行さん
文献社 吉村英仁さん
ベレ出版 小林克美さん
ポプラ社 遠藤正夫さん
メディアファクトリー 大河原實穏さん
日本洋書販売 伊豆丸洋一郎さん
お忙しいところ、ありがとうございました。

交流会の場で、第2回「志夢ネット大賞」を発表しました。志夢ネット大賞は、志夢ネットで仕掛け販売・重点販売した商品を供給してくれた出版社の営業マンを称える賞。どんなにいい作品でも商品が入らなければ売れません。日頃、黒子となって書店を支えてくれている出版社の営業マンに感謝をこめて感謝状と賞品を贈りました。

今回の第1位は河出書房新社の『きちんと生きてる人がやっぱり強い!』

第2位は主婦の友社の『0円・50円・100円めちゃうま節約おかず302』

第3位は新潮社の『水曜の朝、午前三時』でした。  

店舗表彰は、平成18年度、伸び率104.9%の天真堂書店塩山店が最優秀賞を受賞し、表彰状と賞金を獲得しました。
業界全体が右肩下がりの時代に志夢ネット全体としても、既存店だけで102.9%でした。

6月15日、宮城県塩釜市にあるブックスなにわ塩釜店の佐藤個史店長からメールが届きました。メールの内容は、宮城県で先行上映している映画「アヒルと鴨のコインロッカー」に合わせて実施している「伊坂幸太郎フェア」の結果。実は、この店は映画のロケ地でもあるのです。本屋に『広辞苑』を盗みに行くシーンがありますが、その本屋のシーンをブックスなにわ塩釜店で撮影したのです。映画を観たお客様が聖地巡礼で店を訪れ「裏口を写真に撮っていいですか?」と声をかけてくるとのこと。文庫判の『アヒルと鴨のコインロッカー』は、この間100冊以上売れてPOS導入後文庫部門歴代売上No.1になったと報告書には書かれています。

また単行本も著者サイン本40冊は即完売。さらに、この期間『広辞苑』も3冊売れたとのこと。誰が買ったの??? この映画を観ようと無理やり仙台に出張しようと思っていましたが、もう少しの辛抱。 東京では6月23日公開。初日に観にいくぞ!

7月6日、今日は本業そっちのけで明日の準備に専念。いよいよ明日、東京ビックサイトで「本の学校出版産業シンポジウム」が開催されます。このシンポの準備をはじめたのは、昨年暮れなので半年以上もこのプロジェクトに関わっていたのです・・・
おかげさまで第1部のシンポジウムは、400人以上の申込がありました。第2部の分科会も多くの業界人が参集します。

僕が企画担当の第4分科会のテーマは
「若手書店人の力―現場発のコラボレーション」
パネリストは本屋大賞実行委員会の白川 浩介さんと酒飲み書店員大賞の中心人物である高坂 浩一さんと森見登美彦書店応援団まなみ組の仕掛け人である高橋 美里さんに参加していただきます。
さらに、この豪華パネリストたちに鋭い質問を投げかけるコーディネーターにWEB本の雑誌「帰ってきた炎の営業日誌」で有名な杉江由次さんに登場していただきます。

杉江由次『炎の営業日誌』無明舎出版

しかし、このメンバー皆さん多忙です。なかなか直接会っての打ち合わせが難しいことから2ヶ月前からmixi内にメンバー限定のコミュニティをつくり、いろいろ書き込んできました。
いやぁ~楽しみだ。

mixiのコミュニティで準備

【本屋大賞とは】
「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本」をキャッチコピーとする本屋大賞は、売場からベストセラーをつくることを目的に発案された賞。運営は書店員有志で組織する本屋大賞実行委員会が運営。選考は年一回。現役の書店員の投票のみで大賞を選出。

【酒飲み書店員大賞】
「文庫ベストセラーを作れ!」をテーマとする書店員共同企画。選考方法①参加書店員が一人一作品を推薦。②推薦図書を参加書店員がすべて読んだ上でベスト三作品を投票。③投票の集計結果により大賞作品を決定。④大賞作品の推薦コメントを集め参加書店全店で拡販。第一回受賞作は『ワセダ三畳青春記』高野秀行著。

【森見登美彦書店応援団まなみ組とは】
森見登美彦著『夜は短し歩けよ乙女』は『野生時代』に連載中から一部の書店員の話題となり、高橋美里氏を中心に物語の舞台である京都先斗町の地図の作成等、チェーン店のわくを超えて同じ本を販促する応援団を結成。企画参加書店は、ときわ書房聖蹟桜ヶ丘店・ときわ書房本店・オリオン書房ノルテ店・ジュンク堂書店京都BAL店・紀伊國屋書店新宿本店・紀伊國屋書店新宿南店・三省堂書店八王子店・三省堂書店京都駅店・恵文社バンビオ店・ブックファースト渋谷店・ブックファーストアトレ大森店。

7月7日、今日は七夕、本の学校・出版産業シンポジウムの第4分科会がはじまりました。

杉江ー森見登美彦さんの前は、道尾秀介さんの応援団もやっていたそうですね。
高橋ーはい、道尾秀介さんの『向日葵の咲かない夏』など今までに出た書籍の既刊掘り起こしのようなことを書店員の横のつながりを使った連動企画として始めたことが、今の「森見登美彦書店応援団まなみ組」の前身になります。
ー中略ー
杉江ーあと、高橋さんのところは、飾り付けも凄いんですが、それらをいつお作りになるんですか。
高橋ーこれはPOPなんですけど、著者の直筆です。それもすべてコメントが違います。ペーパーの裏には『夜は短し歩けよ乙女』の舞台である京都の地図を載せていますが、その地図を拡大してパネルにしたり、紙粘土を作ったり、仕事が終わったあとで工作しています。

『書店の未来をデザインする』唯学書房より

本の学校・出版産業シンポジウムは無事終了しました。
白川さん(本屋大賞)高坂さん(酒飲み書店員大賞)高橋さん(まなみ組)そして、司会の杉江さんありがとうございました。
また次もお願いします。
なお今回のシンポジウムにつきましては、記録集を作って販売しました。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。

本の学校・編『本の学校・出版産業シンポジウム2007記録集 書店の未来をデザインする』唯学書房

東京ビックサイトでの懇親会後。僕ら分科会のチームは新橋にてニ次会。皆さんから「私たちは、草彅さんの手のひらの上で転がされただけ」「草彅さんはハラグロいから『笑ゥせぇるすまん』の喪黒福造ですね」と言われたり、杉江さんからは「マイクタイソンのプロモーターだったドンキングですね」と呼ばれましたが、楽しい楽しい43歳の誕生日でした。

後日、「本の学校出版産業シンポジウム」のアンケート集計が終わりました。

以下は、第4分科会の感想です。

いろいろと考えさせられる内容で、とても勉強になりました。

豊富な知識と熱意をもって仕事をなさっている3人の書店員さんのお話が伺えて、とてもためになりました。

書店員の方の本音の部分がみえ、本作りの参考になりました。

とても楽しいお話を伺うことができました。

面白かったです。

それぞれの講師の方が自店だけでなく、本屋全体として、あるいはお客様へ提案したいという思い・スタイルで活動されていることに深く共感しました。

メーカーである出版社と卸である販売会社は、もっともっと書店様の現場のことを知る必要があると思っています。お客さま(読者)と直に接している書店様がかかえていらっしゃる問題点、業界への要望をとらえてそれを自社のサービス内容に活かしていくために、こうした勉強会はとても参考になるし、刺激になります。また業界若手の方が集まって、これからの業界のことを討論しあう場ももっとあっていいと思っています。このしかけを業界三者でできないものかと・・・今日改めて強く思いました。これからも業界を元気にしていきたいです。

若手書店人たち、売場の第一線で活躍されている方々の生の声を聞けて、仕事上のヒントをもらえた気がします。

第4分科会:なかなか、普段生活していく中で、よい本はどの本だ、といった話を共有できる機会は多くないので、書店員同士で良い本の情報を交換できることを羨ましく思います。版元の営業の方も、他社の本でも良い物は良い、と認め合う姿勢が肝要な気がします。いずれにせよ、本に携わる者は、良い本を常に探求していくのが好きでないとならないのだと感じました。

仕事を楽しむ、ご自分たちが楽しみながら仕事をしていらっしゃるのだな。決して楽しいことばかりではないと思いますが、その先にひとりでも多くの方に本と接してもらいたいという“思い”を感じました。

受講者のアンケートより抜粋


大好評ですね。企画してよかった。
こうして、その後も本の学校に僕は関わっていくこととなりました。その辺の話は、またどこかの機会に!

それでは、今回はこの曲で終わりましょう。
連続ドラマ「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」のエンディング曲。
コブクロ「蕾」(作詞、作曲:小渕健太郎)

柔らかな日だまりが包む背中に
ポツリ話しかけながら
いつか こんな日が来ることも
きっと きっと きっと
わかってたはずなのに.....

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?