マガジン

  • I Know I Throw?

    小説を書きます。 目指すのは他者他人.

最近の記事

自分にとっての朱が見つかったのに、存在を認識した瞬間からそれは色がわる。彩度明度の摘みを微々たる力で回される。運命じゃない、その人の手によって、歩みによってだ。重なったはずの靴音は、今もそうとは言えない。あんなに知ったかぶったのに、違っていく爽快感にボクは青ざめる。ひかれ、光れ。

    • またねえ

      違うお題で書こうとした。 変えた行為が持つ感情は照れではなく、いわゆる、の枠に収めてやりたくなかったから、勝手な愛なんだ。 深夜に牛丼屋に参ることがある。夜働くので、サマになると言ってしまえばそれまでだが、アウターの上から首に巻きつけるスヌードはそうでもない。 ドメスティックブランドのそれは凄く自分っぽい。無駄に長くてだだっ広く、何より色合いと砂嵐をかましたような画素の粗さがこの上なく好きだ。 調べると2015-2016シーズンの物だった。君の名は"紫キャベツのスヌード"

      • 一本道

        なんて根性がないのだろうと、わずか3センチほど食べかけた伊達巻の残骸を見て、今年も自分と鏡合わせになる。 コンビニで見かけた弁当一つを優に越す値段のそれを食べたくなった。おせちなんてしばらく箸を伸ばしていないせいか、なにか憧れてしまったのだから仕方ない。 問題はこの体型をした、たとえばヨウカンとかあるいはさけるチーズみたいな? 一本二本としか数えようのない形をしたものを、最後まで食べきるのが苦手だ。 飽きる。飽き果ててどうしたって残飯と化す。 とはいえ伊達巻と横並びしてい

        • 耳が何を欲しているのかは自分の現状に大きく左右されると思っている。そこで固有のアーティスト名をあげられたなら、はやり歌と共に自らを紐解くこともできたのだろうけど。 やすい女性声優の歌声をすがるように耳に垂れ流していた頃があった。安っぽいというより聴きやすいというほうが合っている。やすい曲だったのさ。 よく泣いていた 朝となく夜となく区別のない空を眺め、労働者を乗せるだけのマイクロバスを待つバス停で。これから働くのかとっくにくたびれたのかわからない疲労感だけいつも携え、そこ

        自分にとっての朱が見つかったのに、存在を認識した瞬間からそれは色がわる。彩度明度の摘みを微々たる力で回される。運命じゃない、その人の手によって、歩みによってだ。重なったはずの靴音は、今もそうとは言えない。あんなに知ったかぶったのに、違っていく爽快感にボクは青ざめる。ひかれ、光れ。

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        • I Know I Throw?
          4本

        記事

          風邪と低気圧偏頭痛

          なんだろうな。 書きたくないことを書こうとしている。 恐らく、音声認識でデバイスに話しかけるように少し吐露する気分。 つい先日、初めて会う人と三時間ほどのお喋り会があった。お喋りする目的をもって集ったのでそこに後ろめたさはなかったんだけども、自分の不得手が隠せなかった。 自分の不得手とは自分のことを開示すること。 もうね。すごいよ。そこにいた一人がライター兼インタビュアーみたいな本職な方で。 ボクに対してたくさんハテナを投げ掛けては、その実に迫ろうとするのも、もはや無意識

          風邪と低気圧偏頭痛

          仏の名は何度変わるのだろう

          ◯◯よ。お前は死ぬまでに三人の嫌いな奴に出会うだろう。その度に改名するがいい。最初の名を『丸の内◯◯』(マルノウチマルマル)とする。 そう言い遺し、俺が生まれてからわずか十日後に病死したのがクソ親父だった。母『丸の内恭子』は女手一つで俺を育て、たくさんの愛をくれた。 その愛を全て受け止めもせず、俺は多くの人間を嫌う奴に育った。だからわざわざ嫌いな三人をピックアップしてやる話なんかどこにも無いんだ。誰よりも、クソ親父が一番嫌いだったから。 逆に色恋沙汰でも話そうか。高一の時

          仏の名は何度変わるのだろう

          水の難階

          今日、要らない普通自動車免許の更新をしてきた。ぴったし誕生日からひと月で、今日の日付が書かれたハガキを受付で見せると「危なかったね」次からは気を付けてよ、と顔で言われた。それが老婆心なのか役職仕事なのかはさておき、取得から五年半で一度も運転してない奴が自動車を運転する権利を継続させた事実は、それなりに危ないのだけど。 ボクは足りないことだけでできている。できてないな。 その一つが運転、クルマ。好きな人を目的地やあるいは気ままにドライブへ連れていったりできないのだ。 怖いから

          水の難階

          それもゆとり

          名古屋に住んでいるときだった。 当時がミニマリスト全盛期であることは、書店で働いていたので知っていた。 店頭に並びまくるその系統の書物を手に、 「ミニマリストなのに本買っちゃうとか矛盾してない?ww」 みたいな立ち読み客のセリフが、全くときめかなかったっけ。 ボクは無いもの暮らしをしていた。六畳と銘打たれた部屋はいびつな五角形で、それに満たないのは一目瞭然。あるのは布団、冷蔵庫、電子レンジ。押入だけは整備されていたのでそこに衣服を突っ込む。あとは段ボール1個。たしかこの中に

          それもゆとり

          結果のない今日は、エンドレスじゃない-1

          無いんteenは覚めるしかなかった 私は大学を辞めることになりました。好かず食わずのキャンパスに最後は両親と足を運んでいました。 学生証という主に映画館くらいでしか提示しなかった身分証を、学生支援課の窓口にて返還したのですが、私はあの時から自らのことを「無いんteen」だなんて呼び始めましたね。 無いものとはなんだったのでしょう? 大学生活の一年と二ヶ月のうちで持ち得た、たった三人の学友とたった五つの単位という過少な数字でしょうか。 学歴というフィルター突破パスでしょ

          結果のない今日は、エンドレスじゃない-1

          詩的に夢の国

          ボクが東京ディズニーリゾートに忍び寄るようになったのは、千葉県民になったここ二年の話。 それまでの22年間のうちに行ってみたいという気も起こらず、関西人らしくテーマパークならUSJに、えっちらおっちら出向くだけだった。 それでもまあ、ミーハーなものでこの二年で四度、ランドとシーに入園した。 交際する彼女に連れられ、そして自らの嫌がらない意思に従って、楽しげな空間でメモリアルな時間を咀嚼していた。 ボクはおもうことが多い人間ではあるものの、他者他物と干渉する機会がめっぽう

          詩的に夢の国

          ボクは文字数で終わる呟きが嫌い。話し言葉の『知らんけど』や『ま、自分のことなんですけどー』みたいに、最後を自虐や濁す言い方をする文化がそのまま表れてると思うから。 ネタにマジになんなよ笑 って返されても 故人らは五七五で面白さを生んだから、 現代人クソツマンネって思う ←自由律

          ボクは文字数で終わる呟きが嫌い。話し言葉の『知らんけど』や『ま、自分のことなんですけどー』みたいに、最後を自虐や濁す言い方をする文化がそのまま表れてると思うから。 ネタにマジになんなよ笑 って返されても 故人らは五七五で面白さを生んだから、 現代人クソツマンネって思う ←自由律

          同居が楽しいのは、仕事から帰ると部屋の衣替えがされてる時。 布団シーツが変わったりクッションが増えたり、いいじゃ〜んって思う。 これはどうぶつの森の感覚に近い。セーブデータごとの住人が居て、勝手気ままに部屋を創る。 一緒が一番!より、好みを持ち寄るのが次世代のライフスタイルっぽい

          同居が楽しいのは、仕事から帰ると部屋の衣替えがされてる時。 布団シーツが変わったりクッションが増えたり、いいじゃ〜んって思う。 これはどうぶつの森の感覚に近い。セーブデータごとの住人が居て、勝手気ままに部屋を創る。 一緒が一番!より、好みを持ち寄るのが次世代のライフスタイルっぽい

          話そうボクらの生理現象

          これは人間の話。小三の元旦、ボクは属する少年野球団で初めて元旦登山に参加した。そして山登りの最中、ウンコを漏らした。オムツを卒業してから初めてのことだった。 あの日は寒かった。日の出に間に合うよう朝四時から体を動かし、豪勢な食事をため込んだお腹を急激に冷やしたのが原因だと思う。 サラッと書いてはいるが、相当肝も冷やしたはずだ。 言語化できない、この初体験のおぞましさだけ伝わってほしい。 だってまだ2合目に達する前から、股にウンコが流れているんだぜ。道中トイレは無い。 こ

          話そうボクらの生理現象

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          春は何色の信号だ

          春は何色の信号だ

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          多分これでも、感動しちゃったって意味なんだ

          書きたかったことがあった。ボクの中に立派に建っていたはずだ。 しかし今日、横から前からチンケなそれをかっ喰らう存在と相対し、結果【なんじゃらほい】みたいな気分になった【ボク】を、これより文字にしていく。 ハヤカワ五味さんを体感する正直なところ、こんな見出しをつけたくない。 他人を語る行為が得意ではないし、そうするに足るサーチが不十分であるから、結果「何言ってんだこいつ?」と思われてしまうのは、非常に辛いことなので。 もっと正直に言ってしまうと、名をあやふやにして未来ど

          多分これでも、感動しちゃったって意味なんだ

          春色のジブンは、きっと目に留まる。

          高校の卒業文書(全校生徒に配られるお便りみたいな紙に、卒業生らが各々一言述べたもの)に、ボクが残したのは「最後は裏切る男」でした。 イケてる奴じゃない奴のこういうノリは、読み手に訝しげな思いをさせるのが関の山ですが、ボクとしては6年経った今でも、それ以上のキャッチコピーもないと思っています。それは伏線ともいうんだろうな。 この記事はボクが絵描きのホリプーさんに、似顔絵を描いていただいた記事のエピローグです。 マジックの種明かしというより、伊能忠敬の【日本地図とその制作過

          春色のジブンは、きっと目に留まる。