【アパレル人の本心⑤】アウトレットモールで聞いたアパレル関係者の声

先日、地方では緊急事態宣言が解除されたので、久しぶりに近隣のアウトレットモールに足を運んできました。

目的は、市場調査です。ファッションモールの賑わいや買いまわりの傾向など働いている知り合いを尋ねて、現場の状況を聞くことです。

見ていつもと違うなあと思ったのは、大型ブランドは入場制限していたこと、当然ですが、歩いている人、販売員全てマスク姿であること。どこに行ってもそうなので、随分慣れてはきましたがやはり異様な光景です。

店に入るとあまり声をかけられないので、ゆっくり気楽にみることができました。販売員の目を気にしなくていいので楽です。愛想よく受け答えすることに疲れる人にとっては、ずっとこの状況がいいと思っているのではないだろうかと改めて感じました。

まずは、レナウンの販売代行のオーナーのもとに。そのオーナーはアクアスキュータムやダーバンを手掛けているのですが、民事再生はニュースで知ったとのことで、あまりの突然の事態に驚きを隠せないでいました。取引の手数料などもストップしている様子で頭をかかえていました。

私も販売代行会社を立ち上げて経営していたことがありますので、その大変さは重々承知しています。

販売代行というのは、メーカーから店舗運営を委託するビジネスモデルです。おおまかに言えば、

・店舗の出店や商品の管理運営はメーカー
・人の管理運営は販売代行
・メーカーは販売代行に売上の10〜15%を支払う

過去、日本ではバブル時代、デザイナーズブランドブームいわゆるDCブームがおきました。その中核を担ったのが、BIGIグループです。そのBIGIグループが人材確保、育成、管理を店長を経営者、個人事業者にとして独立させた上で業務委託することを積極的に行ったことから業界に浸透。

メーカーの手数料で地方店舗を運営するのは、なかなか厳しいのが実態です。今のアパレル業界は衰退産業であるので。

そんな状況なので、そのオーナーの店舗では、普段では考えられないマークダウンを行っていました。

今もすでにはじまっていますが、全く稼働しなかった春物や中心、メーカーがキャンセルした未出荷商品などが、たたき売られ、ますます洋服のデフレ化が進んでいくでしょう。経営基盤が弱いブランドほど値引きに頼らざるを得ない状況になっています。

いつの間にか難しい話になってしまいました。

その後いくつかの知り合いを尋ねましたが、ブランドによっては、アルバイトや派遣スタッフがいなくなっているところもありました。そもそも販売員は非正規社員多いので、一挙に減って落ち込んでいる店長さんもいました。現実は厳しい。

一方で反動で人が賑わっているブランドもあり、ラルフローレンやトミーヒルフィガー、ディーゼルなどは、かなり売れていたように思います。ブランドロゴの力は根強い。

いずれにしろサバイバルな現象が地方のアウトレットモールにもみられているのは確かです。それもはじまったばかり。3年後、5年後どのような光景になっているでしょうか?もしかしたら、アウトレットモール自体オワコンになっているかもしれません。

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