【夜は腸だって眠い?今さら聞けない腸の役割とは!?】

腸 名前

腸は、大きく分けると「小腸」と「大腸」の二つに分けられます。

【小腸(しょうちょう)】

腸 テニスコート

十二指腸(じゅうにしちょう)空腸(くうちょう)回腸(かいちょう)の3つに区分される。長さ6mを超える(成人で7~8m)筋肉の管で消化管の80%を占めている。

人間のカラダの中で最も長い臓器ですが、カラダの中では、腸管の筋肉により、3mほどに縮んでいます。

直径は約4cmで、ひだが多く、500万もの絨毛(じゅうもう)でびっしり覆われています。

絨毛の小突起の表面も加えると、全体の表面積は約200㎡(60坪)のもなり、これは、ヒトの体表面積の約5倍で、1.5mの大腸と合わせた内部の総面積は、絨毛の効果もあってテニスコート一面分に相当します。

この広大な表面積を活かして食事で摂取した栄養素は、小腸で消化・吸収されています。

胃の出口(幽門(ゆうもん))から十二指腸が始まり、小腸全体の5分の2が空腸、残りの5分の3が回腸と呼ばれています。

【十二指腸(じゅうにしちょう)】

ファーター乳頭

● 十二指腸は、指12本分を並べた長さということに由来。実際にはもう少し長く25cmほどあります。


● 十二指腸では、酵素・胆汁・膵液などが分泌されている。


● 胆汁は、胃酸を中和しながら脂肪の分解を助けます。腸の潤滑油的な役割を果たすため「天然の便秘薬」とも呼ばれます。


● 膵液には消化酵素が含まれている。

●  食物と混ぜ合わせられ「タンパク質→アミノ酸」「糖質→ブドウ糖」「脂肪→脂肪酸及びグリセリン」といった具合に栄養素を分解します。

●  十二指腸からはホルモンが3つ分泌されます。

<十二指腸で分泌されるホルモン>

● コレシストキニン→脂質の多い物が入ってくると、十二指腸の粘膜から分泌され、胆汁(アルカリ性)や膵液(アルカリ性)の分泌を促進させます。
● セクレチン→胃で酸性になった食べ物が入ってくると十二指腸の粘膜から分泌される。胃酸の分泌を抑えるように働きかけたり、膵液の分泌を促します。
● 胃抑制ペプチド→ブドウ糖や脂質が刺激になって十二指腸の粘膜から分泌されます。

十二指腸は、膵臓ともつながっており膵臓のファーター乳頭からトリプシンやキモトリプシン(消化酵素の一種)を分泌し、タンパク質が分解された生成物質であるペプトン(ポリペプチド)ジペプチドなどに分解し、脂肪は胆汁による乳化作用によってグリセリン脂肪酸に分解されます。

【空腸(くうちょう)】

回腸に比べてやや太く、胃や十二指腸で消化された食べ物をさらに分解し、栄養素が吸収されるのですが、ここでポイントとなるのが絨毛(じゅうもう)と呼ばれる小突起です。

絨毛の表面は、約6000個の栄養吸収細胞で覆われており、その表面にはさらに細かい微絨毛(びじゅうもう)があります。分解されて出来た栄養素は、ここで素早く吸収されます。食べ物は、十二指腸と空腸でほとんど消化を終えます。

内側にパイエル板(集合リンパ小節)がみられることもありますが、回腸に比べて少ないです。

パイエル板は腸管免疫に関わっており、食物アレルギーにもこのパイエル板の情報処理が深く関係しています。パイエル板のお話は別記事でご用意致します。

【回腸(かいちょう)】

● 空腸より細い
● 回腸の方が腸液の分泌が多少多い
● 消化された栄養素の吸収が行われる
● パイエル板が多数みられる

【大腸(だいちょう)】

大腸

● 盲腸、結腸(上行・横行・下行・S字結腸)、直腸に分けられる
● 消化物の残りかすをうんこに変える
● 成人で約1.5mの長さ
● 水やナトリウムの吸収
● 小腸で分解されなかった食物繊維などを発酵・分解して吸収
● うんことしての形を整える
● 直腸に移動すると便意を感じ、排便反射が起き、うんこが出る

大腸に送り込まれたドロドロの消化は、結腸を進む間に水分を吸収され、最初の4分の1の容積になります。

食べ物が口から入り、うんことして排出されるまでの所要時間は約24~72時間といわれています。

乳酸菌や大腸菌など100種類以上の細菌が存在するとされ、胃や小腸で消化されない食物繊維をエネルギー源に分解します。

何らかの原因で水分の再吸収がうまく機能しない場合、水分の多いうんこが排出される状態になり、これを下痢と呼びます。

【盲腸(もうちょう)っているの?】

回盲弁


小腸から大腸に移行する部分を回盲弁(かいもうべん)と言い、回盲弁より下を盲腸と呼びます。

盲腸には、虫垂という5~10cmほどの突起がありますが、中枢が、糞石(ふんせき:うんこが化石化した物、ヒトの消化管内容物が消化管内で固化したもの)や異物が原因で閉塞するのが俗に言う「盲腸(もうちょう):急性虫垂炎(きゅうせいちゅうすいえん)」です。

盲腸は動物によって消化機能を果たすこともありますが、人間の盲腸にはこれといった役割はありません。

急性虫垂炎は、2~3歳から20代位まで発症率が高いですが、男女問わず、高齢者でもなったりしますので、右下腹部が痛んでいて、時間が経つにつれひどくなる場合は、受診しましょう。

急性虫垂炎は、先ほどの糞石や異物で閉塞する他にも、虫垂がねじれて血流が悪化することでも発症します。

【急性虫垂炎を予防する為には!?】

● 暴飲・暴食
● 便秘
● 過労
● 不規則な生活

等をしないように、また、一時的にそのような生活になっても長く続けないように気をつけましょう。

【消化のノルマは9リットル!?消化・吸収の流れ】

消化・吸収

口腔内で咀嚼された食べ物は、食道を通って胃に運ばれ、強酸性の胃酸でドロドロに溶かされます。

この時、十二指腸にある大小のファーター乳頭という弁が開き、胆のうから胆汁、膵臓から膵液が流れ込み、胃から十二指腸に送られたドロドロの食べ物や胃酸と混ざり合います。

胆汁はアルカリ性なので、胃酸を中和することができ、脂肪の分解を助ける働きがあります。

膵液には消化酵素が含まれており、炭水化物やタンパク質をブドウ糖やアミノ酸といった栄養素に分解します。

消化液と消化物は1日に9ℓほどになり、小腸で約7ℓ吸収され、残りの2ℓは大腸で処理され、腸内細菌が食物繊維などを発酵させながら水分を吸収して体外に排出させるためにうんこをつくります。

腸はとても忙しいと思いませんか?もし自分が腸なら、休む時間が欲しいかもしれません(笑)

【腸は24時間営業なの!?】

多くの人が朝昼働いて夜寝るように、腸にもリズムがあります。

1日3回朝・昼・晩ご飯を食べて、夜睡眠をとる方の腸の動きは、1987年の研究報告は以下のような結果です。

● 大腸が亢進→起床直後から朝食後、昼食、夕食後。
● 大腸が抑制→睡眠中

また、デンマーク・オーフス大学肝臓及び消化器科らが2015年に発表した研究報告によると、睡眠は胃腸の運動性に重大な抑制効果があり、胃運動と結腸運動の両方の抑制が明らかに実証されています。

消化管の進行は、覚醒期間と比較した場合、小腸の進行は、睡眠の深さによって変化しませんでしたが、基礎的な結腸の活動は、睡眠段階で著しく減少しました。

このことからわかるのは、大腸も夜は寝る・休憩するということではないでしょうか?

大腸の運動は、腸の筋層の信号伝達から腸を結ぶ神経叢(しんけいそう)や自律神経を介して脳からの刺激など、さまざまなネットワークで調整されています。

例えば過敏性腸症候群(IBS)は、睡眠中の交感神経の活動が健康な方より高いことや、アルコールが睡眠やお腹の働きに影響することがわかっていますので、朝、電車でお腹がギュルギュルしたくない方は、暴飲暴食や不規則な生活を見直す必要があります。

忙しい現代、ストレスたっぷりな生活をしているとついついお酒やたばこの量が増えてしまう方も少なくありません。

会社や家庭でのストレスを発散するように、寝落ちする直前までお酒とおつまみ三昧のあなたの為、カラダは夜寝たいのに、続く飲食で腸はオールナイトになります。

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私たちが自分のストレスを発散させるために行う暴飲暴食は、自分のために尽くしてくれる腸へのDVです。

本来、自分が寝ている時間に無理やり起こされて、やりたくない仕事を強制されたらあなたはどうしますか?

一日位なら頑張れても、それが毎日続いたら病気になりますよね。

だから腸も病気になります。例えばアルコールは80%が腸で吸収されますが、連日大量のアルコールに大量の食べ物は、腸に対するパワハラになりますのでやめましょう。

腸はあなたの家族です。人間の家族や友達とは喧嘩をしたり、疎遠になっても、腸はあなたが生きる事を常に側で支えてくれるパートナーです。

今辛いことがあって、誰も自分の事をわかってくれない!と暴飲暴食気味であれば、思い出して下さい。あなたは、60兆個の細胞で出来ているということを。

細胞は、あなたが痛めつけた分傷つき、あなたが愛情をかけた分期待に応えてくれます。

腸内環境と怒りやストレスのお話は、また別記事で用意しますので興味がある方は読んでみて下さいね。

さて、様々なアプローチから『夜は腸だって眠い?今さら聞けない腸の役割とは!?』をご紹介しました。

免疫細胞の7割が腸に集まっていると言われる位、腸内環境は健康の為に重要です。

腸を労わって健康生活を始めてみませんか?


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