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なぜ「R&D(研究開発)」の前に「Invention(発明)」がないのか?~元マイクロソフト CTO の言葉から

発明や発想法に関する発明塾の必須参考図書の一つを、最近、皆さまに、新たにおすすめしています。


それは、以下です。


どこかにも書きましたが、一昔前は

「発明?なんか怪しい」
「発明よりもイノベーション、アイデアだけあっても意味ないんだよ」

という感じで、少し邪険に扱われていた

「発明」

ですが、少し風向きが変わりつつあるかなと、感じています。


アイデアだけあっても意味ないのは事実なんですが、そもそも、その

「アイデアが足りない」
「もっと筋の良いアイデアが欲しい」

という声が、よく聞こえてきます。


ならばということで、上記の本を、改めて紹介してみたわけです。

好評のようです。


この本ですが、私は、初版(2006年版)を持っています。たしか、出てすぐに

「面白そうだな」

と思い購入したのですが、その後しばらくして絶版になりました。

よくあります(笑

発明塾内では、楠浦さんが買う/紹介する本はすぐに絶版になる、というジンクスすらあります。

現在は、再版されています。それが上記です。


2010年に、以下論文でも取りあげています。


論文でも、一部を引用し解説していますが、発明塾の原点になる

「発明研究所」

という考え方について、

「元 マイクロソフト CTO」

の ネイサン・ミアボルド が、序文でこのように述べています。

彼とは、一度発明について話したことがあり、

発明とは預言

ということで、意見が一致し、めちゃくちゃ盛り上がりました。当時、発明を預言だと捉えている人は、日本にはいなかったですね。



==以下、抜粋引用

「私たちが生きているのは、発明によって創り上げられた世界なのである。ところが、これほどとてつもない影響力を持つ発明がいたる所でないがしろにされている。」

「その事実をよく表しているのは、テクノロジーに関する仕事がリサーチ&ディベロップメント(研究開発)、略して「R&D」という名でひとまとめにされていることだ。 インベンション(発明)の「I」はどこへ行ってしまったのだろう。」

「応力解析のような解析の手法を学ばせるのは手っ取り早いし、古い発明の原理を理解させるのもさほど面倒なことではない。結果として学生は解析を古い手法しか教えられない発明の創造力を育む教育は、あっても付け足し程度だ。」

元マイクロソフトのチーフ・アーキテクトの Edward Jung と私が感じていたのもそういうことだ。私たちはこの問題をチャンスととらえて、理想の研究所を思い描き始めた。」

なぜ発明そのものが目的にならないのだろうか。発明の才能のある人を雇い、例えば情報テクノロジーやバイオテクノロジーやナノテクノロジー、そのほか何でもいいが、異なる分野を交流させることはできないだろうか。」

発明を楽しんでもらい、そこから革新的なアイデアが生まれるのを期待するのだ。」

「こうして誕生したのがマイクロソフトの発明研究所である。」

==抜粋引用、終わり


同様の課題意識をお持ちの方や、興味ある方には、是非、全文をお読みいただいたいところです。上記の抜粋引用は、下名の論文で引用解説している部分のごく一部ですので、まずは論文をお読みいただいても良いでしょう。


皆さまと、この課題意識を共有したいなと思い、紹介いたします。

最後に、本文からも、僕のお気に入りの記載を抜粋しておきます。

==以下、抜粋引用

★ 楽天思考でいこう
発明家は元来の楽天家だ。それも当然だろう。彼らは自分の脳のエネルギーになるわずか20ワッ トの電力で世界を明るく照らせることを知っている。発想戦略を実行して、泥や雑草を経済活動に変えることができる。最先端テクノロジーの分野なら、一滴の血液から得る情報を時間に変えることができる。今日のハイテクは明日にはローテクになるが、それが発明の宿命だ。

このように考えてくると、なぜ発明はないがしろにされるのかという思いを禁じえないなぜ教育 の各段階で創造的な思考力を身につけることが目標とされないのか。私たちは生まれながらにもっている創造力が大人になるにつれて失われるのを食いとめ、逆に時とともにいっそう創造的になってい かなくてはならない。だから、長生きしておおいに楽しむことが発明家やその仲間には重要なのである。発明家は発明を楽しみ、長く生きて自分の発明がおよぼす影響を一つでも多く見とどけなくてはならない。人間の社会は、おもにその創造力のせいで数千年にわたって盛衰をくり返してきた。今後もそれがますます速度を増してつづくとしても、恐れてはならない。知識はいま、より速くより簡単に全世界に広がる。どの企業も、どの国も、社員または国民の創造力をうまく活用できれば、さらに 上の経済的発展をめざせるのだ。そこで私たちも創造力のエネルギーに火をつけて、そこから何が湧き起こるかを見てみようではないか。

==抜粋引用、終わり


読まれた方、是非、感想をお寄せください。


楠浦 拝


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