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(5分で読める!)「トレイルブレーザー」とは、「本気で社会を変える」新規事業担当者への称号


楠浦です。かなり前に読んでいたのですが、なかなか紹介できず、悶々としていた書籍が一つあります。それがこの

「トレイルブレイザー」(マーク・ベニオフ著)

です。

個人的には、3冊保有している(!)僕のイチオシ「完全なる経営」(マズロー)に次ぐ名著だと思っています。著者のマーク・ベニオフは、CRM(顧客管理)クラウドサービスの「セールスフォース」の創業者CEOです。セールスフォースには、いろいろ思い入れがあるのですが、前置きが長くなりそうなので、本題に入ります(笑)。

書籍の内容だけでなく、「トレイルブレイザー」(社会を変える時代の開拓者になろう!)という考え方に、非常に共感を覚えたので、それについての備忘録的なものになっています。もちろん、書籍の要約としても、ご活用ください。

「トレイルブレイザー」とは、「開拓者」という意味

そもそも、「トレイルブレイザー」という単語、聞きなれませんので、調べてみたら「開拓者」という意味だそうです。

いきなり余談で恐縮ですが、前職のナノテクスタートアップで大変お世話になった、創業時の社長の名前が、まさにこの「拓」でした。正確には「道を拓く」という名前で、ああ、この人はそういう星の下に育った方なんだな、何かのご縁だなと思いました。

「トレイルブレイザー」とは、「本気で社会を変える」ためのビジネスリーダー

マーク・ベニオフは、著書「トレイルブレイザー」日本版の前書きで、以下のように語っています。

世界をより良い場所しようと促すパイオニア、イノベーター、生涯学習者でもあるトレイルブレーザーたちが、私たちを未来へ導いてくれる瞬間です」

そして、はじめに、の部分には、こう書いています。

成功(doing well)と善行(doing good)が同義である文化をいかにつくるかについても述べている」

さらに、第1章には、こうあります。

「当時は、利益を上げるか、変化を起こすプラットフォームになるか、企業はどちらか一方を選択しなければならないと考えられていたが、これは大きな誤解だ」

この3つを、僕は以下のように統合して理解しました。

社会をより良くする新規事業(ビジネス)を、自ら提案し、推進し、その中で学び、成長し、成功し、地球と社会のより良い未来を実現する人が、トレイルブレーザーだ」

ただ、マーク・ベニオフの中では、次で紹介する「信頼」が一つのキーワードになっているようで、新事業に限らず、すべての職務においてあてはまることだ、としています。

「ビジネスは、社会をより良くするプラットフォーム」(マーク・ベニオフ)

なんですね。

「トレイルブレイザー」とは、「信頼」「カスタマーサクセス」というバリューの具現者

マーク・ベニオフは、著書「トレイルブレイザー」の中で繰り返し

企業文化の中心に、社会の役に立つこと、を据えた」
「バリュー(価値観)として、信頼・カスタマーサクセス・イノベーション・平等、の4つを定めた」

と語っています。ちなみに

「カスタマーサクセス」

は、マーク・ベニオフの口癖です。すべての事業は顧客の成功のためにある、だから、顧客の成功を測定しなければならない。そういう話です。いわゆるサブスクリプション型ビジネスは、「解約」(チャーン)というアクションにより顧客が不満を持っていることが可視化されるので、「モノを売る(売り切り)」ビジネスよりも、カスタマーサクセスを意識せざるを得ないのがポイントです。

でも、中には「解約手続きが非常に複雑でわかりづらい(笑)」など、「解約しづらくする」ような仕組みになっているサービスもあるように感じます。

「信頼」

を損ないますね。信頼を損なってまで、利益を得る必要はない、とマーク・ベニオフは言っています。信頼の方が大事である、と。解約しづらい仕組みなんて、カスタマーサクセスにもつながりませんしね。すごくわかりやすい考え方です。

「信頼」が一番最初になっているのには理由があるようで、第一章で、マーク・ベニオフは以下のように述べています

信頼は、皆さんの会社の中で皆さんにとって最高のバリューでなければなりません。そうでなければ、何かしら問題が起こります」

確かに、社員の精神衛生にもよくありませんしね、、、。

ちなみに、僕が企業内発明塾で指導するときは、サブスクで継続的に売り上げがある方が良い、という短絡的な議論になりそうなときは、

「サブスク(サブスクリプション)は、カスタマーサクセスのためのツールだと考えてください」
「その上で、サブスク型の事業にならないか、考えてください」

と指導しています。実際、解約する顧客と向き合って、サービスを継続的に改善するのは、結構大変です。でも、「売り切り」というビジネスモデルを捨てることで、「焼き畑」化(とりあえずいったん売れればよい的な発想のビジネスになること)を防ぐと考えれば、「カスタマーサクセス」は、自社の成功とイコールになります。

これに関して、弊社もセールスフォースに学んだ点がありますので、末尾で紹介します。

「トレイルブレイザー」とは、「知識を共有」して、「自ら成長していくコミュニティ」を作る人

セールスフォースでは、2003年から「ドリームフォース」という、顧客やパートナー企業を交えたイベントを開催しています。最初はどうやら、いわゆる「製品展示会」的な意図で始まったようですが、現在は以下のような場になっています(第1章から抜粋)。

「実際に、ドリームフォースが大規模になればなるほど、セールスフォースに関する部分は少なくなる。今日では、私たちの顧客のお祭りで、それぞれの成功を大いに楽しみ、新しいスキルを身につけ、テクノロジーとイノベーションの幅広いトレンドを学び、社会問題を話し合うために足を運ぶ場となっている。」

上記の記載の直後に、興味深い記載を見つけました(第1章から抜粋)。

「こうしたトレイルブレーザーたちは、自分自身の成功だけを考えているのではない。他の人たちにとって、それぞれのビジネスやキャリアを別のレベルに引き上げる刺激になればよいと思っている。」

マーク・ベニオフにとっては、

ドリームフォースに参加する顧客やパートナー企業も、トレイルブレーザー

なんだということが、分かりました。

第2章では、以下のように語っています。

「私がセールスフォースで学んだことがあるとすれば、誰かに手を差し伸べ、バリューを共有することによって、自ら成長していくコミュニティをつくる力が生まれるということだ。わが社の誰もが、トレイルブレーザーになるために、より大きな責任感、発言力、自在に使えるツールを自分は持っていると信じている。」
「言い換えると、知識は共有しこそ本当に力を発揮するのである。」

知識を共有し、自ら成長していくコミュニティを作る

これが、「トレイルブレーザー」なんですね。

「トレイルブレイザー」について、さらに詳しく知りたい方は

セールスフォースさんのHPでどうぞ(笑)

紹介文がほんとに秀逸なので、引用させてください。

どんなビジネスであろうと、バリューはしなやかで強い企業文化の基盤であり、あらゆるレベルの従業員の士気を高め、人生最高の仕事を引き出すとベニオフは指摘します。また、今後不可避な困難にも打ち勝つことのできる強い企業文化を育てたいと考えている人に向けて、アドバイスやベストプラクティスも紹介しています。
ビジネスの世界では、職場の外で起きていることを傍観し、知らないふりをしていられる人など誰もいません。これからの時代、私たちがより大きな善に対して貢献しない限り、利益や進歩は持続可能なものにはなりません。『トレイルブレイザー』は、経営者でも小さなチームを率いるリーダーでも、あるいはIDバッジを首に下げたばかりの人でも、誰もが変化の担い手になれる方法を伝授します。
https://www.salesforce.com/jp/trailblazerbook/

「セールスフォース」に関する想い出と、学んで弊社が変わったこと

全く余談なので、無視してくださって結構なのですが、僕が「セールスフォース」という企業を知ったのは、2011年頃だったと思います。ある企業様で、「企業内発明塾」を開催するにあたり、SNSの導入をお願いしました。

当時、日本企業の多くは「仕事でSNS使うって何?」という感じだったと思います。そして、何に使うか以前に、「セキュリティーは大丈夫なの?」「情報がダダ洩れになるんじゃないの?」ということで、IT部門の方から拒絶反応が出る。その企業様でもそうでした。あれこれ探して、「これだったらとりあえず、稟議をあげて頂いても問題ないかも」と思ったのが、「セールスフォース」の「チャター」というサービスでした。セキュリティー面では問題なさそうで、機能的にもまずまずでした。

セールスフォースの本社にも、何度も確認に行きました。弊社が売るわけではないのですが、変なサービスはお客様に勧められませんしね。先方の担当者は、「何に使うんですか?」「そんなことに使えるんですか」と興味津々で、「だったらこういう機能もあると便利かもしれません、開発サイドに要望を出しておきます」と、まさに「カスタマーサクセス」「信頼」そのもののやり取りをしていただきました。プロジェクト期間内だけで、ID数も5つぐらい、使い方も先方の意図とは全く異なる、というありさまですから、担当者の方からすれば、面倒極まりない問い合わせだったと思います。

その後も、セールスフォースの当時のご担当の方とは、ずーっとやり取りをさせていただいておりました。

そのせいかどうかわかりませんが、セールスフォースの株式を、若干数だけ保有しています。ちなみに、セールスフォースのティッカーシンボル(株式市場での略称)はズバリ「CRM」です。社名の略称ではなく、分野そのものずばりのティッカーシンボルって、個人的には大好きです。

株式保有と前後して、セールスフォースの決算報告を毎回見るようになり、僕はなんとなく「カスタマーサクセス」について定期的に考えるようになりました。すると、その時のビジネスの進め方が、なんと「焼き畑的」なものであるか、気になって気になって、どうしようもなくなってきました。その後僕は、「焼き畑」的な事業はやめよう、と社内で宣言し、顧客と直接対話して顧客の成功を支援するための仕組みを作り、サービス内容も大幅に変更しました。現在、「企業内発明塾」では「必ず成果が出る仕組みがある」「成果が出れば人は育つ」と宣言しているのは、その結果です。道のりは容易ではありませんでしたが、大転換して正解でした。

マーク・ベニオフ、見た目は暑苦しいおっさんで営業系・体育会系な雰囲気が濃く、若干アレルギーがあるのですが(笑)、ビジネスリーダーとして注目すべき人物かもしれません。人を見た目で判断してはいけません(笑)

セールスフォースの方がご覧になって、クレームが来ませんように、、、


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楠浦 拝


P.S. 私と会社の自己紹介はこちらです。



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